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第11回 | フォルクスワーゲンの最新車デザイン・性能情報をお届け

新型VWゴルフ──40秒に一台が売れている車が刷新

世界中で40秒に1台が売れている車。それがフォルクスワーゲン『ゴルフ』だ。史上最も成功した欧州車とされ、1974年のデビュー以来の累計販売台数は3331万2123台(2016年末時点)。この数字を平均すると、世界中で誰かが40秒に1台、『ゴルフ』を購入していることになるという。最新モデルは2013年に発売された7代目。いわゆる『ゴルフ Ⅶ』だ。そして今回、デビューから4年目にして大幅なマイナーチェンジが施され、さらに熟成した一台として市場に投入された。

マイナーチェンジされた新型『ゴルフ』は最新デジタル技術と運転支援システムを採用

日本発表時点の導入モデルは、ハッチバックの『ゴルフ(トレンドライン/コンフォートライン/ハイライン)』、ステーションワゴンの『ゴルフ ヴァリアント(コンフォートライン/ハイライン/Rライン)、ステーションワゴンの『ゴルフ オールトラック(4モーション)』。そして、スポーツモデルハッチバックの『ゴルフ GTI(6MT/6DSG)』、ハッチバックの『Golf R(6MT/7DSG)』、ステーションワゴンの『Golf R(ヴァリアント)』の全5シリーズ、6モデル、12グレードから構成されている。

進化点は大きく分けて、(1)最新デジタル技術による次世代インフォテイメントシステムの採用(2)自動運転を見据えた運転支援システムの採用(3)高品質と上質の双方を高めた内外装のデザイン(4)スポーツモデルの『GTI』と『R』のパフォーマンス向上──の4点だ。

「最新デジタル技術による次世代インフォテイメントシステム」では、デジタルメーターに12.3インチの大型ディスプレイを採用。「クラシック」「燃料消費&走行可能距離」「効率」「性能&運転支援」「ナビゲーション」の5種類のプログラムがあり、そのいずれかを選択することで表示される情報の内容やグラフィックが変化する。

純正のインフォテイメントシステム「Driver Pro(ドライバープロ)」もスクリーンが大きくなり、視認性が向上。また、全面フラットなタッチスクリーンへと進化したことで、使い勝手も増した。この「ドライバープロ」には、フォルクスワーゲン初採用となるジェスチャーコントロール機能も搭載された(下の写真は左ハンドルの欧州仕様)。

「自動運転を見据えた運転支援システム」では、渋滞時追従支援システム「Traffic Assist(トラフィックアシスト)」が一部車種を除いて標準設定された。それにより前後および横方向の車の動きを制御できるようになり、ドライバーがステアリングを握った状態ではあるが、自動的にステアリング操作と加速とブレーキングが行われる。さらに、全車標準装備となるプリクラッシュブレーキシステムには、新たに歩行者検知機能を追加して一段と安全性を高めた。

モチーフは変えず、フェイスリフトでさらに精悍になった『ゴルフ』のエクステリア

「高品質と上質の双方を高めた内外装のデザイン」は、車好きなら特に気になる部分だ。外装のデザインは細部をリフレッシュ。『ゴルフ』らしい伝統的なデザインモチーフは変えず、ラジエーターグリル下端の細いクロームのラインをそのままクロームモールとしつつ、左右ヘッドライトの内部にまで延長し、ヘッドライトを上手く縁取った。

このヘッドライトには、従来のキセノン式に代わって、LED ヘッドライト(一部車種オプション)を装着した。バンパーは前後ともにデザインを一新。フロント下部のクーリングエアインテークは、これまで以上にボディのワイド感を強調する。細部のデザインを変更したが、全体的には、よりスポーティーでシャープな印象を与えることになった。

内装の変更は必要最小限だ。人間本位のエルゴノミクス(人間工学)により考え抜かれた無駄な装飾が無いシンプルなインテリアを踏襲している。

新型『ゴルフ』は、マイナーチェンジながらも次世代のVWの戦略が透けて見える一台

「スポーツモデルの『GTI』と『R』のパフォーマンス向上」は、パワーアップされたエンジンに象徴される。『GTI』の場合、最大トルクは350Nmと変更はないが、最高出力は、先代モデルから10psアップして230psとなった。『R』と『R ヴァリアント』は、最高出力が30psアップして310psを実現。最大トルクは、新開発された7速DSG(湿式)仕様のトランスミッションを搭載したモデルのみ20Nmアップの400Nmへと強化された。

VWにとって最も重要なモデルである『ゴルフ』シリーズの刷新は、マイナーチェンジといえども、単なるモデルチェンジに留まらない。いわく「VW 史上最大の商品攻勢のスターティングモデルであることに加え、今後のVW を牽引する重要な役割も同時に担っている」とのこと。VWが目指す方向性は、新型『ゴルフ』に採用された「最新デジタル技術による次世代インフォテイメントシステム」と「自動運転を見据えた運転支援システム」などからも垣間見える。

日本には累計約85万台以上が輸入・販売されている『ゴルフ』は、日本で最も親しまれ、愛されている輸入車といってもいいだろう。細部に至るまで徹底したリフレッシュが行われたことで、7代目『ゴルフ』はより完成度を高め、熟成された。マイナーチェンジとはいえ、『ゴルフ』のキャッチフレーズである“「ゴルフ」を超えるのは、いつも「ゴルフ」”をしっかりと継承した一台となった。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第29回 | フォルクスワーゲンの最新車デザイン・性能情報をお届け

ゴルフ誕生45周年──史上もっとも成功した欧州車の秘話

フォルクスワーゲンは、アウディやポルシェなどを含めたグループ全体の販売台数がおよそ1083万台に上る世界最大の自動車メーカーだ。「Volkswagen」という社名は、ドイツ語で「国民車」を意味する。その業績を支えているのは、「世界一の小型車」といってもいい『ゴルフ』。デザイン、エンジン、走り、あらゆる部分で完成度が高く、ヨーロッパのCセグメントの頂点に君臨し続けている。その『ゴルフ』が誕生45周年を迎えた。

もっとも成功した欧州車。世界中で誰かが40秒に1台、『ゴルフ』を購入している!

初代『ゴルフ』がドイツ・ヴォルフスブルク工場で量産を開始したのは、1974年3月のことだ。以来、今日までに販売した台数は3500万台以上。この数字を計算すると、世界中で誰かが40秒に一台、『ゴルフ』を購入していることになるという。ゆえに、「史上もっとも成功した欧州車」とされている。日本国内でも依然、高い人気を集めている。

メイン写真が初代の『ゴルフI』。50代以上には、いまだにこの初代モデルのイメージが強い人もいるのではないか。下の写真は1991年に発表された3代目『ゴルフIII』だ。

ナチス政権による「国民車計画」で生まれた『ビートル』の後継モデルとして誕生

フォルクスワーゲンは、戦前にナチス政権による事実上の国策企業として設立された自動車メーカーだ。アドルフ・ヒトラーは「国民車(フォルクスワーゲン)」計画を提唱し、それに従い、かの有名なフェルディナント・ポルシェが先進的なメカニズムをもつ流線型の小型車を開発した。そのクルマがのちの『タイプ1』、つまり『ビートル』である。

『ゴルフ』は、この『ビートル』の後継として開発されたハッチバック型のコンパクトカーだ。デザインを担当したのは、あのジョルジェット・ジウジアーロ。しかし、当時は『ゴルフ』が生産台数で『ビートル』を凌ぐほどの人気モデルになるとは、誰も考えていなかったに違いない。下の写真は、1997年に発表された4代目、『ゴルフIV』だ。

フォルクスワーゲンが明かしたビッグニュース。今年10月に新型『ゴルフ』が登場

フォルクスワーゲンは、5月にドイツで開催した年次株主総会において、ビッグニュースを明らかにした。今年10月に、8代目となる新型『ゴルフ』を初公開すると発表したのだ。同社が公開したティザースケッチを見ると、外観上は現行モデルと大きく変わっていないが、次期モデルは新開発の48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載されるという。

『ゴルフ』のキャッチフレーズは、「『ゴルフ』を超えるのは、いつも『ゴルフ』」。モデルチェンジをしても、きっと『ゴルフ』は「世界一の小型車」であり続けることだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Volkswagen AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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