穏やかなるかなカルネ村   作:ドロップ&キック
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50話到達~♪
ここまでこれたのも、皆さんの応援のおかげです。

さて、50話到達記念という訳ではありませんが、万を辞して”あの男(サムライ)”の登場です。




第50話:”刀剣志士”

 

 

 

唐突だが、”カルネ村の七星剣”という名詞を皆さんは覚えているだろうか?

基本ユグドラシル基準で大体Lv30~Lv40の間にいるこの世界の基準なら明らかに猛者であり、色んな意味で頂点にいるモモンガ(Lv100、ダークウォリアー&アインズの受肉時はLv99)、その妻のキーノ(Lv80以上は確実。漆黒聖典隊長と互角かそれ以上?)という例外的な規格外戦力除けば、カルネ村の主力である5人と1体と1匹だ。

 

既に法国の先遣隊や陽光聖典相手に無双を披露したエモット姉妹にゼロにデイバーノック、そしてハムスケ。

 

残るグとブレイン・アングラウスは、その迎撃作戦時は村を離れていた。

トロールのグは配下のトロールを引き連れ、リザードマンたちの住むひょうたん湖にカルネ村の通商隊の護衛として向かっていた。

普通の人間にとっては相変わらずのデンジャラス・ゾーンなトブの大森林なので、このぐらいの護衛は必要だ。

それにグはエンリと直属のゴブリン兵団(愉快な仲間達)に調伏される前は、これでも”東の巨人”として森林の支配階級の一角を担っていたのだ。

現在、プレート・メイルをゴ・ギンばりに装着し、大剣もより長く大きく高性能なものを賜って当時と大分イメージは変わったが、それでもグにとっては森は勝手知ったる自分の縄張り。地の利も実力も十分、まさに護衛として適任だろう。

 

しかも今回の取引は割と重要なのだ。

ひょうたん湖南部を生存域とするリザードマン五部族連合はカルネ村の技術協力もあり、生簀(いけす)による魚介類の養殖が軌道に乗り、自分たちの食糧自給をまかなうだけでなく宝石の原石や砂金、岩塩などと並ぶ交易品の一つとしてまで放出するまでに至っていた(カルネ村は変わりに通常は酒類やチーズやバターなどの乳加工製品などを放出。物々交換を成立させている)。

だが、その食料と富の収奪を狙ってか湖の北部を縄張りとするトードマン達が、ここ最近活動を活発化させているのだ。

 

そのため、今回のカルネ村通商隊が運んでるのは、いつもの嗜好品を含む食料ではなく村のドワーフたちがリザードマンたちの体格に合わせて打ち鍛えた武器の数々だった。

 

もしかしたら、近々戦になるかもしれない。

五部族連合上層部はそう考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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さて、では一方ブレインはと言えば……

 

「あん?」

 

そうカルネ村七星剣の一人、騎乗し先頭を走っていたブレイン・アングラウスは、村がもう見える距離にあるのに率いていた部下達を止め、下馬を命じた。

 

「何だか妙な気配がしやがるな……」

 

そして街道沿いにある草むら……その一点を睨みつけるように目を細め、

 

「《神域》《領域拡大》《指向性領域》」

 

《神域》は五感を鋭敏化させ自分を中心にした半径6m以内の半球状の空間のあらゆる事象、それこそ空中を漂う粒子の微細な振動すらも捉える超高感度センシング・エリアを展張する武技だ。

そして、モモンガの使う強化魔法(あるいは魔法強化スキル)である《ワイデンマジック/魔法効果範囲拡大化》を参考に編み上げた、精神力を消費し探知範囲を拡大する《領域拡大》。

そして半球状に展開されるセンシング・エリアの範囲を絞り、指向性を持たせることで探知距離を延伸する《指向性領域》。

その結果……

 

「やっぱ、いやがったか……」

 

そして添えるように三尺三寸の堂々たる刀身を持つ大業物、愛刀”()()()()()”の長束(ながつか)に手をかけた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

ブレインと彼が任務前に指名した騎馬術に優れた数名の冒険者登録をしている村人は、ギルド史上最大規模の冒険者チーム”カルネ村修道会”として請け負ったエ・ランテルと王都を往復する通商隊の護衛のためにカルネ村を離れていた。

 

護衛任務自体は、特にこれといった波乱はなかった。

確かに、通商隊馬車の御者(ぎょしゃ)の男がその盗賊団の一員……”死を撒く剣団”なんて大層な名前の傭兵団を名乗っていたが、マーケットがある戦時以外は荷馬車強盗やらが生業なので普通に山賊扱いでよいだろう。

 

そしてブレイン、御者の合図と共に襲い掛かってきた40名余りを「()()()()()()()()()()()()()()()」のだ。

さて、ここで名前倒れの”死を撒く剣団”には残念なお知らせがある。

この男に出会った瞬間、いや彼が守る荷馬車を襲うと決めた瞬間から、”死を撒く剣団”の運命は決まっていたのだ。

 

盗賊の片棒担ぎだった御者にモモンガより授かった”支配の手鐘(ドミネート・ハンドベル)”で洗いざらいを吐かせ、部下たちに馬車の護衛を任せるとそのままアジトまで道案内をさせる。

 

”死を撒く剣団”は、当然のように護衛を皆殺しにするつもりだったし、”カルネ村修道会”という最大規模の白金級冒険者チーム存在も知っていた。

だからこそ、組織の半分以上である40名もの人数を差し向けたのだ。

 

だが、彼らは知らなかった。

七星剣に数えられる者達の「()()()()()」を。

いや、誰が想像できるだろうか?

王国より遠く離れた地で、人間の10倍の身体能力を持つとされる万を越えるビーストマンの群れに立ちはだかり、悠然と勝利を刻む者達がいることを……

 

ビーストマン相手にも容赦なく振り下ろされる七振りの剣……その一太刀であるブレインが、()()()4()0()()()()()()()に苦戦するはずも無いのだ。

 

言うまでも無く、アジトに(たむろ)していた残る30名あまりの盗賊達も全て速やかに襲撃役たちの後を追うこととなったのだ。

性処理用に監禁されていた女たちを連れ出し、再び馬車へと合流したときのセリフは、

 

「つまらん連中を斬っちまったなぁ」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

ブレイン・アングラウスという剣士が御前試合にて周辺国最強と謳われることになるガゼフ・ストロノーフとの戦いに敗れたのは、今から4年と少し前のことだ。

 

その御前試合を愛妻(キーノ)との王都見物(デート)がてら、不可視の魔法をかけ見物していたモモンガは、即座にスカウト。

ガゼフに負けたことで自分に絶対の自信を持っていたブレインは茫然自失としていた。

そんな時、アーグランド評議国特使という肩書きで現れたアインズ・ウール・ゴウンに誘われるまま向かったカルネ村で待っていたのは、目の前に現れたのは本当の生きる伝説……刃を交える必要もないほど圧倒的な存在感を放つ英雄”ダークウォリアー”だった。

 

 

 

もし、この時出会ったのが原作のモモンだったら、ブレインはシャルティア戦同様に心を圧し折られていたかもしれない。

だが、ダークウォリアーはこの世界に現れて100年近く経つ……そう100年近く戦い続け、年齢に見合った老獪さも老練さも兼ね備えた超一流の戦士だ。

だからこそ初めての敗北を知り、挫折との向き合い方がわからないでいた青年に語りかける言葉があった。

 

『お前の限界はそこでいいのか? それで満足なのか? そこで満足なのか?』

 

『お、俺は……』

 

『だが、今見えてる強さ(ガゼフ・ストロノーフ)……その強さ(ガゼフ)の先にある強さが見たいのなら、その道標くらいは俺が立ててやろう』

 

『俺にも目指せるのか? 英雄の領域が……?』

 

だが、その言葉に漆黒の甲冑をまとう戦士は、

 

『英雄の領域? 馬鹿を言うな。そんなものはただの通過点だ。お前の才覚ならその程度でなら容易いだろう。だが、その程度で満足なのか?』

 

『なに……?』

 

『お前に見せてやるといったのは、英雄の先にある”()()()()”という奴だ。ブレイン・アングラウス、心せよ。その道は果てしなく遠く険しい。だが、』

 

小さくニヒルに笑い、

 

『俺がその場所へ連れて行ってやる。どれほど時間がかかろうがな』

 

 

 

その後に語るべき言葉は、さほど多くは必要ないのかもしれない。

強いて言うなら……同じ剣客ということもあり、「ダークウォリアーと最も多く剣を合わせたのは、カルネ村の内外を問わずブレイン・アングラウスだった」と後世の歴史書には書かれている。

 

カルネ村の七星剣が世にその名を知らしめる頃、『前衛の中では”修道拳闘士(グラップラー)”ゼロと双璧をなす』とまで謳われ、ダークウォリアーより賜ったその二つ名は、”刀剣志士(ジ・サムライ)”……

 

刀でその志を貫き、剣にてその士魂を示し続けた修羅……それがブレイン・ジ・サムライ、あるいはサムライ・アングラウスと語り継がれるブレイン・アングラウスの伝承だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございました。

ようやく出せましたブレイン・アングラウス♪ 実は作者的に屈指のお気に入りキャラなんですよ(^^

そしてお察しの通りクレマンティーヌvsブレイン・ジ・サムライのバトルが始まりそうな……?


前書きにも書きましたが、投稿開始して1ヶ月と少々、このシリーズもどうにか50話目に到達しました。
この話数まで詰まらず書けたのは、作者的にも珍しいんですよ。
これもホント、感想書いていただいたり、高評価つけていただいたり、お気に入り登録してくださった皆さんのおかげです。

正直、皆さんの応援が無ければあっという間に執筆モチベーションが枯渇して、当初の予定通り短編で連載打ち切ってたでしょうから(^^

まだまだ酷いオチが待ってるエ・ランテル篇は始まったばかり、アルシェと双子、その愉快な仲間たちが出てきそうな帝国篇は書きたいしで、まだまだ続きそうですが、これからも応援していただければ嬉しいです。



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