労働法に詳しい竹花元弁護士のコメント
育児介護休業法26条が、就業場所の変更を伴う配置転換には子の養育や家族の介護の状況に配慮しなければならないと定めている。育休明けの配転命令が有効であるかは同条の趣旨を踏まえて検討する必要がある。この点、現在明らかになっている事情を前提とすると、今回の配転命令が違法とまではいえない可能性が高い。
正社員で転勤を伴う配置転換が無効となるのは、会社に不当な目的がある場合や従業員の不利益が大きすぎる場合だ。不当な目的とは会社が退職に追い込むことなどが該当し、従業員の不利益には親の介護や子どもの特別な病気などで引っ越しできないことなどが該当する。判例も、配置転換を無効としたのは家族の介護や病気に対する特別な治療の場合が多い。
ただし、もし社内メールのやりとりなどで会社が『男性なのに育休をとるなんて』という意図があって転勤させたということを立証できれば、パタハラと認定でき、この配転命令も無効である可能性が高い。
従業員には退職の自由がある。退職の自由には「いつ退職するかの自由」も含まれており、会社が退職日を強制的に指定することは認められない。正社員であれば基本的に14日以上前に申し出れば、いつでも退職できる。
また、有給休暇は従業員の権利であり、申請したら希望日に当然に取得できるのが原則である。例外的に会社が有給休暇の取得日を変更できる場合があるが、「事業の正常な運営を妨げる」ような相当に限定的なケースでにしか認められないし、仮に変更が認められても他の日に有給休暇を与えないといけない。
退職直前に有給休暇を一括消化する場合には、会社が替わりの日を指定することができないので、取得日の変更は認められず、従業員が求めたらその通りに付与しなければいけないと考えられている。
会社が退職日を一方的に指定したり、従業員からの有給休暇の申請を拒否していたとしたら、明らかに法律(民法、労働基準法)違反である。
[追記:2019年6月3日 18:25] 弁護士のコメントを追加しました
[追記:2019年6月3日 19:10] 弁護士の「退職の自由と有給休暇の権利」に関するコメントを追加しました
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コメント39件
あき
転勤は10回くらいしました。引っ越しを伴う転勤を1週間前に通告されたこともあります。
育休は取った事はありません。家は買った事はありません。しかし、育休を取った人には、家を買った人には転勤がない権利があるとすれば、私のように育休を取らない、
家を買わない人はどうなるのでしょうか?平等に扱われるということは転勤辞令はいかなる場合も普通に受けるのが当然です。...続きを読むつばめさん
私は大手通信会社の子会社でスタッフ12名の部長でしたが、育休取得に入る2日前に突然異動を内示され、復帰の際には完全に干された状態でした。育休を取得したことに後悔は一切ありませんが、結果、復帰後半年で退職をしました。これが日本の実情だと思いま
す。...続きを読むz
育児休暇とったら追放されるのが日本の実情なのか。子供なんかつくってたら自分が死んじゃう世の中。
urashimahanako
この社員さん夫婦よりにバイアスかかった発言多いですが、そもそも、この人たちこの会社では転勤があり得ると言う事を了承して入社したんですよね?
それでいざ転勤と言われたらそれが嫌だと?
だったら、最初から転勤一切ない会社に入ればよかったのでは?
...続きを読む世の中なめてるよね。
うちの父なんか、入社してから何十回も国内海外合わせて本当に急な出張、駐在など言い渡されて1度も逆らった事ありません。
父の時代はそういう時代でした。
しかも、Twitterで愚痴をつぶやいたりもしませんでした。
だってそれを了承して入社した会社なんですから。
この人たち、世の中なめてませんか?
確かに有給取らせないのは違法かもしれないけど。
それにしても、カネカの方は妥当な対応しているのに叩かれてかわいそう。
慎太郎
開発業務
こういう記事をみるといつも思うのですが、人を使う立場の部長職・課長職の教育がなっていない企業が多すぎます。 この記事を読む限り辞める前に有休消化しますといったときに「そんな甘いことを言わせるな」と言った上司が少なくとも一名おります。 それも
かなり上のほうに。部下はそれを諭す気にもならないというところでもう修復不能。...続きを読むコメント機能はリゾーム登録いただいた日経ビジネス電子版会員の方のみお使いいただけます詳細
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