1日午後3時40分ごろ、東京都練馬区の民家から「息子を刺し殺した」と110番があった。駆け付けた警察官が胸などから血を流している男性を発見。警視庁練馬署は殺人未遂の疑いで、同所に住む元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(76)を現行犯逮捕した。
男性は40代くらいで、搬送先の病院で死亡が確認された。同署は、男性は熊沢容疑者の長男とみて確認を進めるとともに、殺人容疑に切り替えて調べる。
同署によると、熊沢容疑者は「包丁で刺したことに間違いない」と容疑を認めている。男性は上半身を複数回刺され、1階の部屋で、布団の上にあおむけに倒れていた。近くで包丁も見つかった。妻と息子の3人暮らしとみられる。
現場は東京メトロ有楽町線平和台駅の南東約650メートルの閑静な住宅街。近所の男性(86)は、熊沢容疑者が妻と近くのスーパーに出掛ける姿をよく見掛けたという。「10年ほど前に引っ越してきたと思うが、息子の姿は見たことがない」と驚いた様子だった。
熊沢容疑者は東大卒。67年に農林省(現農水省)に入り、経済局長などを経て、01年1月に事務方トップの農林水産事務次官に就任。だが、牛海綿状脳症(BSE)を未然に防げなかった責任を問われ、02年1月に事実上更迭される形で辞任した。問題への対応の甘さを指摘されながら、約8900万円の満額の退職金で、国民の猛反発を招いた。さらに同2月、食肉関連団体への「天下り」を決めながら一転して辞退するなど、認識の甘さを批判をされた。05年4月から3年半にわたり、チェコ大使を務めた。