低レベルな教育に悩むカンボジアの大学生たち
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【10月7日 AFP】カンボジアの21歳の大学生、チューム・サボーン(Chhum Savorn)さんは、卒業まで2年を残しながら、将来に暗たんたる思いを抱いている。
サボーンさんは、貧しい祖国の発展に貢献したいと願い、経済学を学んでいる。しかし、教室を埋めるのは、学業には無関心でカンニングで学位を稼ごうとする学生ばかりだ。学生を教える教授たちのレベルも低い。
「こんな低レベルの授業ではカンボジアの発展を助けることはできないばかりか、就職もできず、家族を支えることさえできない」とサボーンさんは話す。
カンボジアの高等教育は、利益ばかりを追求して教育の質をおざなりにした結果、卒業生で職につけるのは10人に1人という現状にある。サボーンさんのように高い向上心を抱く学生の多くが失望に追いやられている。
カンボジアでは1970年代、知識層を敵視した旧ポル・ポト(Pol Pot)政権によって教育機関は全て廃止されたが、その後の復興とともに教育機関も徐々に復活しつつある。2000年には10校だった中等教育機関が、今では国公立、私立合わせて70校にまで増えた。
だが、提供される教育プログラムの質はお粗末なものが多いと、教育スポーツ省のマク・ゴイ(Mak Ngoy)氏は言う。「高等教育を提供する機関が増えていることは、好ましい状況だが、教育の質の向上には非常に苦慮している」
カンボジアでは5年前、大学の質を審査する国家委員会の設置が検討された。しかし、政府からの独立性が確保できないとして世界銀行(World Bank)が同委員会設立への援助を取り止めたため、カンボジア大学の質は劣化の一途をたどっている。教育スポーツ省はこれまで、大学と名乗りながら相応の教育を提供していないと判断した4つの高等教育機関に、閉鎖命令を出している。
教育スポーツ省の調べによると、高等教育機関で学ぶカンボジア人の数は、8年前の2万5000人から現在は13万5000人以上と、学位を求めるカンボジア人は急増する一方だ。しかし、大学卒業後に職につける者はわずか10%にすぎず、2桁台の経済成長を遂げながらも、カンボジアは貧困から抜け出せずにいる。
正規の資格を持つ教師の側も、お金を払って学位の取得だけを目的とし、勉学の重要性に気付かず、不正手段で単位を得ようとする学生が多すぎると嘆く。
アジア開発銀行(Asian Development Bank、ADB)のマ・ソプヒープ(Ma Sopheap)氏も、質の高い学位保持者を輩出できなければ、海外からのカンボジアへの投資も鈍ると懸念を示す。「このまま低質の教育が続けば、カンボジア経済にも悪影響を及ぼす。そうなれば、もはやカンボジアが貧困から脱する手段はなくなる」(c)AFP
サボーンさんは、貧しい祖国の発展に貢献したいと願い、経済学を学んでいる。しかし、教室を埋めるのは、学業には無関心でカンニングで学位を稼ごうとする学生ばかりだ。学生を教える教授たちのレベルも低い。
「こんな低レベルの授業ではカンボジアの発展を助けることはできないばかりか、就職もできず、家族を支えることさえできない」とサボーンさんは話す。
カンボジアの高等教育は、利益ばかりを追求して教育の質をおざなりにした結果、卒業生で職につけるのは10人に1人という現状にある。サボーンさんのように高い向上心を抱く学生の多くが失望に追いやられている。
カンボジアでは1970年代、知識層を敵視した旧ポル・ポト(Pol Pot)政権によって教育機関は全て廃止されたが、その後の復興とともに教育機関も徐々に復活しつつある。2000年には10校だった中等教育機関が、今では国公立、私立合わせて70校にまで増えた。
だが、提供される教育プログラムの質はお粗末なものが多いと、教育スポーツ省のマク・ゴイ(Mak Ngoy)氏は言う。「高等教育を提供する機関が増えていることは、好ましい状況だが、教育の質の向上には非常に苦慮している」
カンボジアでは5年前、大学の質を審査する国家委員会の設置が検討された。しかし、政府からの独立性が確保できないとして世界銀行(World Bank)が同委員会設立への援助を取り止めたため、カンボジア大学の質は劣化の一途をたどっている。教育スポーツ省はこれまで、大学と名乗りながら相応の教育を提供していないと判断した4つの高等教育機関に、閉鎖命令を出している。
教育スポーツ省の調べによると、高等教育機関で学ぶカンボジア人の数は、8年前の2万5000人から現在は13万5000人以上と、学位を求めるカンボジア人は急増する一方だ。しかし、大学卒業後に職につける者はわずか10%にすぎず、2桁台の経済成長を遂げながらも、カンボジアは貧困から抜け出せずにいる。
正規の資格を持つ教師の側も、お金を払って学位の取得だけを目的とし、勉学の重要性に気付かず、不正手段で単位を得ようとする学生が多すぎると嘆く。
アジア開発銀行(Asian Development Bank、ADB)のマ・ソプヒープ(Ma Sopheap)氏も、質の高い学位保持者を輩出できなければ、海外からのカンボジアへの投資も鈍ると懸念を示す。「このまま低質の教育が続けば、カンボジア経済にも悪影響を及ぼす。そうなれば、もはやカンボジアが貧困から脱する手段はなくなる」(c)AFP