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第74回 | 大人のための最新自動車事情

モテの秘密は音にあり──女性が昂るエンジン音とは

「声のいい男はモテる」とはよく聞く話だ。心理学的には、低くて太い声は女性に安心感を与え、男の魅力につながるという。タレントに例えると、福山雅治や阿部寛といったところだろうか。これには理由があり(諸説はあるが)、体が大きい生き物ほど声が低いことから、本能的に自分を守ってくれると感じるそうだ。言われてみると、たしかに福山雅治も阿部寛も体が大きい。では、車はどうだろう? 車の音といえば、やはりエンジン音とエキゾーストノートだ。40代のカーガイなら、F1マシンやスポーツカーの奏でる音がCD化されたことを覚えているかもしれない。じつは、車の音も、女性にモテるうえで重要な要素になるという。

イタリアの高級スポーツカーが奏でるエンジン音は「女性の性的興奮」を呼び起こす!?

10年ほど前の話になるが、イギリスの高級自動車保険「Hiscox(ヒスコック)」が委託した研究に興味深い結果がでた。それは「高級車のエンジン音は、女性の性的興奮を呼び起こす」というもの。

もう少し具体的に示せば、イタリアの高級スポーツメーカー3社、マセラティ、フェラーリ、ランボルギーニのエンジン音を40人の男女に聞かせたところ、全員の唾液中のテストステロン値が上昇。特に女性はその傾向が強かったという。テストステロンは男性ホルモンの一種で、男女を問わず分泌される。男女ともに性衝動を高める働きがあるといわれており、また「テストステロンの値が高い男は女性にモテる」といった研究結果もある。ちなみに、同じ実験でフォルクスワーゲン『ポロ』のエンジンを聞かせると、男女ともに全員のテストステロンの値が下がったという。

では、車種によるテストステロン値の上がり方に男女で違いはあったのか? 結論からいえば、あった。女性のテストステロン値が上がったのは、マセラティだった。「車に興味がない」と答えた女性も、マセラティのエンジン音を聞くとテストステロン値が上がったという。ある意味、マセラティは女性を興奮させる音を奏でる名車なのだ。

マセラティサウンドとヴァイオリンの名機「ストラディヴァリウス」の深い関係とは?

マセラティのエンジン音に女性が反応する──その結果を聞いたとき、さもありなんという感想を持った。なぜなら、マセラティサウンドには、ある特徴があるからだ。キーワードは「ストラディヴァリウス」だ。

ストラディヴァリウスは、いわずとしれたヴァイオリンの名器。じつは、マセラティジャパンがサウンドデザインラボ合同会社と中央大学の音響システム研究室に依頼した調査では、マセラティの加速音とストラディヴァリウスの演奏音には、「迫力があり、創造力をかき立てる(主観評価)」「脳を活性化させる効果がある(客観評価)」「音響特性として、明瞭な整数次倍音がある(物理評価)」の3つの共通点があったという。これがテストステロンの増加につながったどうかは定かでないが、ストラディヴァリウスが奏でる音色のような心地よいエンジン音に、酔いしれないわけがない。

ちなみに、先ほどの自動車保険会社の研究で男性のテストステロン値が最も上がったのはランボルギーニのエンジン音。女性はテストステロン値が高い男に惹かれるという説もあるが、ランボルギーニを運転してテストステロン値が上がれば、女性にモテやすくなるかもしれない。

官能的な音だけではなく、静粛性を高めて会話を愉しむことのできる車も女性にモテる

マセラティ、ランボルギーニ、フェラーリに限らず、自動車メーカーがエキゾーストノートにこだわるのは、今や当たり前になっている。

たとえば、日産『スカイライン』やBMW『i8』は、マイクが車内の不快なエンジンノイズ音を集め、スピーカーから逆位相の音を出すことでノイズを軽減。電子的に合成した望ましいエンジン音を発してくれシステムを採用している。トヨタ『86』やスバル『BRZ』、マツダ『ロードスター』、レクサス『IS』などのスポーツカーは、エンジンの吸気音を意識的に室内に引き込み、加速時のエンジンサウンドを強調して響かせる仕組みなどを採用している。また、500台限定で発売されたレクサスのフラッグシップスポーツカー『LFA』は、「音をブランドにすること」を目標としてエキゾーストノートが作り込まれた。

そして、ハイブリッド車やEVが普及し始めた今、車が奏でる音には、少し変化が現れ始めている。官能的な音を紡ぐのではなく、静粛性を高める努力がなされているのだ。ガソリン車ならエンジン音や排気音によってかき消されていた風切り音やロードノイズが耳に触るようになったことが理由のひとつである。静粛性を高めるためには、空気抵抗を減らして風切り音を低減させたり、タイヤからの騒音を低減するために発泡材などを採用して外部からの音の侵入を減らしたり、吸音材を厚くして室内の音を吸収したりする工夫が取られている。車内が静かになれば、会話もスムーズになり、音楽をより愉しむこともできる。これも、ある意味、女性にモテる車の音のひとつかもしれない。

モテる車というと、とかくデザインやステータスの話になりがちだが、エンジン音やエキゾーストノートも大事な要素のひとつ。スペックやデザイン、価格に左右されがちな車選びに、「女性をアゲる音」といった要素を入れる大人の余裕があれば、他の男たちとはひと味違った差別化ができるかもしれない。

Text by Tsukasa Sasabayashi

Photo by (C) Maserati S.p.A.

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第130回 | 大人のための最新自動車事情

エモーションEV──バタフライドアの電動スポーツカー

ポルシェ初の量産EVスポーツカーとして話題の『タイカン』は今年生産を開始し、驚異的なスペックを誇るテスラのスーパースポーツカー『ロードスター』も2020年の発売を予定している。EVスポーツカーは、いま旬を迎えつつあるカテゴリだ。そうしたなか、アメリカのフィスカーがCES 2019で初公開した『エモーションEV』が予約受付を開始した。バタフライ4ドアが特徴の高級フルEVスポーツは、いったいどんなクルマなのか。

BMW『Z8』やアストンマーチン『DB9』のデザイナーが手がけた高級スポーツEV

フィスカー『エモーションEV』は、ヘンリック・フィスカー氏の手によるエレガントなデザインの高級EVスポーツカーだ。フィスカー氏はデンマーク出身の著名なカーデザイナー。BMWに在籍していた当時に『Z8』、EVコンセプトモデルの『E1』などを手がけ、アストンマーチンでは『DB9』『DBS』『ヴァンテージ』のデザインを担当した。

その後、独立してメルセデス・ベンツやBMWをベースにしたコンプリートカーやハイブリッドエンジン搭載のオリジナルモデルを製作するが、じつは、テスラで『ロードスター』『モデルS』の2モデルの開発に参加したこともあるようだ。そのせいというわけではないだろうが、『エモーションEV』のデザインはどこかテスラに似た雰囲気もある。

ともあれ、スタイリングは「美しい」のひと言に尽きる。とりわけ特徴的なのは、開くとドア側面が蝶の羽のような形に見える「バタフライ4ドア」だ。同じ上部に向かって開くドアでも、縦方向に開くシザースドアと違い、バタフライドアは外側が斜め前方に、内側が下向きに開く。駐車スペースに苦労する日本ではなかなかお目にかかれないドアだ。

バッテリーはリチウムイオンではなく炭素素材コンデンサ。多くの先端技術を搭載

面白いのは、バッテリーに多くのEVに採用されるリチウムイオンではなく、炭素素材コンデンサのグラフェンスーパーキャパシタを採用したことだ(全個体充電池搭載モデルもラインナップ)。1回の充電あたりの最大走行距離は約640km。急速充電の「UltraCharger」に対応しており、9分間の充電で約205km分の容量までチャージ可能という。

EVパワートレインは最高出力700psを発生し、最高速度は260km/h。このスペックを見ると、テスラ『ロードスター』のようなEVスーパースポーツではなく、あくまでスポーティカーという位置づけなのだろう。全長5085×全幅2015×全高1465mmのボディは軽量のカーボンファイバーとアルミニウムで構成され、駆動方式は四輪駆動だ。

このほか、ADAS(先進運転支援システム)としてクアナジー製LIDARセンサーを5個搭載し、コネクテッドなどのEVスポーツカーらしいさまざまな先端技術を装備する。

『エモーションEV』の価格は1440万円。予約も開始され今年中にデリバリー予定

前述の通り、『エモーションEV』はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルと全個体充電池搭載モデルの2モデルを設定。価格はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルが1440万円(税別)、全個体充電池搭載モデルの価格は未定だ。すでに日本でもデロリアン・モーター・カンパニーを正規代理店に予約受付を開始しており、グラフェンスーパーキャパシタは今年中の納車を予定している。ただし、予約金として約24万円が必要だ。

最近では東京都心部などでテスラをよく見かけるようになり、もはやEVは現実的な乗り物になりつつある。たしかに価格は1000万円オーバーと高価。しかし、この美しいルックスなら、他人と違うクルマに乗りたいという欲求を満たすことができるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fisker, Inc.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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