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第67回 | 大人のための最新自動車事情

その名は「GLM-G4」──京都発の国産EVスーパーカー

40代のカーガイならば、『トミーカイラZZ』という車を覚えているかもしれない。20年前、大手自動車メーカーではなく、京都の小さな自動車メーカーだったトミタ夢工場が発売したスポーツカーである。生産台数は206台。ピュアスポーツカーとしてのシャープな運動性能と台数の少なさから「伝説のスポーツカー」と呼ばれている。その『トミーカイラZZ』を電気自動車として甦らせたのが、同じく京都に本社を置く「GLM」だ。『トミーカイラZZ』の理念とロゴは継承しながら、中身は一から作り上げた最新のEVスポーツとして復活した『トミーカイラZZ』。その先進性と高い動力性能から、2016年の試乗会はメディアでも大きく取り上げられた。そして、GLMが次の一手として発表したEV車が『G4』だ。

最高出力540馬力、3.7秒で100km/hまで加速する脅威のEVスポーツカー『GLM-G4』

『G4』は、最高出力400kw(540馬力)、最大トルク1000Nmを発揮する四輪駆動のスーパーカーだ。専用開発の高効率・高出力モーター「Multi saliency power package(マルチ・サリエンシー・パワー・パッケージ)」を車両の前後に2機搭載。それぞれが道路表面の状況にあわせてタイヤの回転力を調整し、走行時の動力を最大化させるという。その結果、最高速度は250km/h、0-100km/h加速は3.7秒という高い動力性能を達成している。

EVで動力性能が高ければ、それだけ電気の消耗も激しいのではないかと思うかもしれない。消耗が激しければ、航続距離の短縮につながってしまう。それでなくても、走行距離はEV選びで気になるポイントだ。

その部分においても『G4』は優秀である。大きな電流や電圧に耐えるパワー半導体であるIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を改良し、スイッチングロス(電気回路の開閉で生じる電力損失)低減と電費の向上が図られ、航続距離は欧州の標準試験モードであるNEDC(新欧州ドライビングサイクル)で400kmを実現した。

GLM-G4のコンセプトは「路上を走るヨット」、ガルウイングとひと味違う優雅なドア

外観はスポーティーなクーペスタイル。4ドアの4人乗りである。低く構えるルーフラインは室内空間の広さが気になるが、4人の乗員がくつろげる快適さを確保している。

印象的なのは、ドアを開けたときのシルエットだ。前後ドア4枚が高く跳ね上がる「Abeam Sail door(アビームセイルドア)」は、これまでのガルウイングとは一線を画す。ちなみに、「アビームセイルドア」の「アビーム」とは、ヨットの帆が風を受けて、最もスピードが出る状態を指す。

じつは、『G4』の車両コンセプトは「RoadYacht(ロードヨット)」、つまり「路上を走るヨット。現代のラグジュアリーカーの新境地を拓く、新たな時代の「グランドツアリングカー」を目指している。静かながらも力強く、かつ優雅な姿。それでいて、排気ガスを出さず、化石燃料も使わずに、何も周囲に負荷をかけない性能は、まさにそのコンセプトを具現化した姿だろう。

プラットフォームやコアテクノロジーを販売、自動車ビジネスを変えるGLM社の試み

『G4』はビジネスモデルも先進的で、ただ車両を売るだけではない。ゆくゆくは、完成車の外装部分(ボディーカウル)を除くプラットフォーム部分も販売するという。このプラットフォームをベースに外装部分の開発を行えば、自動車メーカー以外でも比較的容易に、EV開発に着手が可能になる。また、コアテクノロジーの販売もしていく予定だ。

GLMの小間裕康社長は、「トミーカイラZZで目指したのは『童心に帰る、子どものように楽しめる時間を与えてくれる車』でした。一方でG4は『官能的な時間を与えてくれる車』を目指します」と語る。

現代のラグジュアリーカーの新境地を拓く、新時代の「グランドツアリングカー(GTカー)」として開発が進められている『G4』。すでに、2016年のパリサロンに出展されているが、今後も世界各国のモーターショーで披露される予定だ。

量産予定は2019年で、想定価格は4000万円。販売台数は1000台を目指しており、同車だけで400億円程度の売り上げを目標にしている。年内には試作車での走行テストも予定されており、今後の進捗が楽しみだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第130回 | 大人のための最新自動車事情

エモーションEV──バタフライドアの電動スポーツカー

ポルシェ初の量産EVスポーツカーとして話題の『タイカン』は今年生産を開始し、驚異的なスペックを誇るテスラのスーパースポーツカー『ロードスター』も2020年の発売を予定している。EVスポーツカーは、いま旬を迎えつつあるカテゴリだ。そうしたなか、アメリカのフィスカーがCES 2019で初公開した『エモーションEV』が予約受付を開始した。バタフライ4ドアが特徴の高級フルEVスポーツは、いったいどんなクルマなのか。

BMW『Z8』やアストンマーチン『DB9』のデザイナーが手がけた高級スポーツEV

フィスカー『エモーションEV』は、ヘンリック・フィスカー氏の手によるエレガントなデザインの高級EVスポーツカーだ。フィスカー氏はデンマーク出身の著名なカーデザイナー。BMWに在籍していた当時に『Z8』、EVコンセプトモデルの『E1』などを手がけ、アストンマーチンでは『DB9』『DBS』『ヴァンテージ』のデザインを担当した。

その後、独立してメルセデス・ベンツやBMWをベースにしたコンプリートカーやハイブリッドエンジン搭載のオリジナルモデルを製作するが、じつは、テスラで『ロードスター』『モデルS』の2モデルの開発に参加したこともあるようだ。そのせいというわけではないだろうが、『エモーションEV』のデザインはどこかテスラに似た雰囲気もある。

ともあれ、スタイリングは「美しい」のひと言に尽きる。とりわけ特徴的なのは、開くとドア側面が蝶の羽のような形に見える「バタフライ4ドア」だ。同じ上部に向かって開くドアでも、縦方向に開くシザースドアと違い、バタフライドアは外側が斜め前方に、内側が下向きに開く。駐車スペースに苦労する日本ではなかなかお目にかかれないドアだ。

バッテリーはリチウムイオンではなく炭素素材コンデンサ。多くの先端技術を搭載

面白いのは、バッテリーに多くのEVに採用されるリチウムイオンではなく、炭素素材コンデンサのグラフェンスーパーキャパシタを採用したことだ(全個体充電池搭載モデルもラインナップ)。1回の充電あたりの最大走行距離は約640km。急速充電の「UltraCharger」に対応しており、9分間の充電で約205km分の容量までチャージ可能という。

EVパワートレインは最高出力700psを発生し、最高速度は260km/h。このスペックを見ると、テスラ『ロードスター』のようなEVスーパースポーツではなく、あくまでスポーティカーという位置づけなのだろう。全長5085×全幅2015×全高1465mmのボディは軽量のカーボンファイバーとアルミニウムで構成され、駆動方式は四輪駆動だ。

このほか、ADAS(先進運転支援システム)としてクアナジー製LIDARセンサーを5個搭載し、コネクテッドなどのEVスポーツカーらしいさまざまな先端技術を装備する。

『エモーションEV』の価格は1440万円。予約も開始され今年中にデリバリー予定

前述の通り、『エモーションEV』はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルと全個体充電池搭載モデルの2モデルを設定。価格はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルが1440万円(税別)、全個体充電池搭載モデルの価格は未定だ。すでに日本でもデロリアン・モーター・カンパニーを正規代理店に予約受付を開始しており、グラフェンスーパーキャパシタは今年中の納車を予定している。ただし、予約金として約24万円が必要だ。

最近では東京都心部などでテスラをよく見かけるようになり、もはやEVは現実的な乗り物になりつつある。たしかに価格は1000万円オーバーと高価。しかし、この美しいルックスなら、他人と違うクルマに乗りたいという欲求を満たすことができるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fisker, Inc.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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