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第66回 | 大人のための最新自動車事情

ランボルギーニ ポロストリコ――美しき名車の復元

メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、フェラーリ、ジャガー、アストンマーティン…。近年、こうしたヨーロッパのプレミアムブランドが次々とヘリテージ部門を設立している。ヘリテージ(Heritage)とは、「遺産」や「継承物」といった意味を持つ。つまり、「未来に伝えるべき大切な遺産」である歴史的な名車の記録やパーツをアーカイブし、オーナーの依頼に応じてレストアする取り組みである。そして、ランボルギーニも2015年春にヘリテージ部門の「ランボルギーニ ポロストリコ」を設立。2017年3月には、イタリア、サンタアガタ・ボロニェーゼの本社内に専用施設をオープンし、本格的に活動を開始した。

クラシックランボルギーニの修理や認定書発行、自ら名車の再生産も行うポロストリコ

サンタアガタ・ボロニェーゼのアウトモビリ・ランボルギーニ本社施設内にオープンした「ポロストリコ」の一番の目的は、『カウンタック』や『ディアブロ』など、すでに生産を終えたクラシックランボルギーニのレストアである。

ポロストリコは、ヒストリックモデルの記録、スペアパーツの65〜70%を供給可能なオリジナルスペアパーツをアーカイブしており、世界中のクラシックランボルギーニのオーナーから依頼を受け、高い技術によってヒストリックモデルをレストアする。修復に費やされる時間は6カ月から24カ月。輸送の手配にも対応するという。

もうひとつは、ヒストリックモデルの認定だ。フェラーリが2006年に設立した「フェラーリ クラシケ」は、レストアやメンテナンスサービスに加えてフェラーリのヒストリックモデルに鑑定書を発行しているが、ポロストリコも同様に独自の公式認定証を発行し、クラシックランボルギーニの維持をサポートしている。

しかし、ポロストリコが他メーカーのヘリテージ部門と異なるのは、オーナーの依頼を受けてヒストリックモデルのレストアをするだけではなく、もう一歩踏み出して、歴史的な名車を自ら復元していることだろう。同様の取り組みを行っているプレミアムブランドは、ランボルギーニのほかにジャガー・ランドローバーしかない。

メイン写真と下の写真は、2017年4月にドイツのエッセンで開催された「テクノクラシカ」で公開されたシャーシナンバー5030の『ミウラSV』だ。ポロストリコによって再生産された2台目の『ミウラ』である。

総額3億5000万円以上のパーツを使ってオリジナルモデルの『ミウラSV』を完全に復元

この『ミウラSV』のレストアに費やされた時間は、ボディ、エンジン、内装を合わせて2000時間以上、使用されたパーツの総額は3億5000万円以上に上るという。

オリジナルモデルのフォルムや状態を復元するために、あらゆる部分にランボルギーニのオリジナルスペアパーツが使われており、エンジンを含むすべてを完全に復元。見た目だけではなく、オリジナルの『ミウラSV』と同じようにクルマを走らせ、使うことができる。

イタリア語で「Oro Metallizzato」と呼ばれるゴールドメタリックの印象的なボディカラーも、ポロストリコにアーカイブされた図面を元にオリジナルモデルと同じ方法で塗料を調合して再現したものだ。内装はポロストリコが厳選したブラックレザーを使用することで一新されたが、オリジナル処理が施されている。

そしてもう一台、いまポロストリコがフルレストアを進めているのが、シャーシナンバー1120204の『カウンタックLP400 ペリスコピオ』である。『ミウラSV』と同様に、ボディ、エンジン、内装、機械部品の細部にいたるまで、あらゆる部分を1976年に生産されたオリジナルモデルのように復元しているという。

美しき往年の名車を復元し、過去と未来をつなぐことにより、さらに自らの価値を高めようとするランボルギーニのブランド戦略。おそらく、2017年中にはフルレストアされた『カウンタックLP400 ペリスコピオ』がお披露目されるに違いない。

Text by Kenzo Maya

(C)Automobili Lamborghini S.p.A.

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エモーションEV──バタフライドアの電動スポーツカー

ポルシェ初の量産EVスポーツカーとして話題の『タイカン』は今年生産を開始し、驚異的なスペックを誇るテスラのスーパースポーツカー『ロードスター』も2020年の発売を予定している。EVスポーツカーは、いま旬を迎えつつあるカテゴリだ。そうしたなか、アメリカのフィスカーがCES 2019で初公開した『エモーションEV』が予約受付を開始した。バタフライ4ドアが特徴の高級フルEVスポーツは、いったいどんなクルマなのか。

BMW『Z8』やアストンマーチン『DB9』のデザイナーが手がけた高級スポーツEV

フィスカー『エモーションEV』は、ヘンリック・フィスカー氏の手によるエレガントなデザインの高級EVスポーツカーだ。フィスカー氏はデンマーク出身の著名なカーデザイナー。BMWに在籍していた当時に『Z8』、EVコンセプトモデルの『E1』などを手がけ、アストンマーチンでは『DB9』『DBS』『ヴァンテージ』のデザインを担当した。

その後、独立してメルセデス・ベンツやBMWをベースにしたコンプリートカーやハイブリッドエンジン搭載のオリジナルモデルを製作するが、じつは、テスラで『ロードスター』『モデルS』の2モデルの開発に参加したこともあるようだ。そのせいというわけではないだろうが、『エモーションEV』のデザインはどこかテスラに似た雰囲気もある。

ともあれ、スタイリングは「美しい」のひと言に尽きる。とりわけ特徴的なのは、開くとドア側面が蝶の羽のような形に見える「バタフライ4ドア」だ。同じ上部に向かって開くドアでも、縦方向に開くシザースドアと違い、バタフライドアは外側が斜め前方に、内側が下向きに開く。駐車スペースに苦労する日本ではなかなかお目にかかれないドアだ。

バッテリーはリチウムイオンではなく炭素素材コンデンサ。多くの先端技術を搭載

面白いのは、バッテリーに多くのEVに採用されるリチウムイオンではなく、炭素素材コンデンサのグラフェンスーパーキャパシタを採用したことだ(全個体充電池搭載モデルもラインナップ)。1回の充電あたりの最大走行距離は約640km。急速充電の「UltraCharger」に対応しており、9分間の充電で約205km分の容量までチャージ可能という。

EVパワートレインは最高出力700psを発生し、最高速度は260km/h。このスペックを見ると、テスラ『ロードスター』のようなEVスーパースポーツではなく、あくまでスポーティカーという位置づけなのだろう。全長5085×全幅2015×全高1465mmのボディは軽量のカーボンファイバーとアルミニウムで構成され、駆動方式は四輪駆動だ。

このほか、ADAS(先進運転支援システム)としてクアナジー製LIDARセンサーを5個搭載し、コネクテッドなどのEVスポーツカーらしいさまざまな先端技術を装備する。

『エモーションEV』の価格は1440万円。予約も開始され今年中にデリバリー予定

前述の通り、『エモーションEV』はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルと全個体充電池搭載モデルの2モデルを設定。価格はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルが1440万円(税別)、全個体充電池搭載モデルの価格は未定だ。すでに日本でもデロリアン・モーター・カンパニーを正規代理店に予約受付を開始しており、グラフェンスーパーキャパシタは今年中の納車を予定している。ただし、予約金として約24万円が必要だ。

最近では東京都心部などでテスラをよく見かけるようになり、もはやEVは現実的な乗り物になりつつある。たしかに価格は1000万円オーバーと高価。しかし、この美しいルックスなら、他人と違うクルマに乗りたいという欲求を満たすことができるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fisker, Inc.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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