最先端の警察用車載システムを搭載した610馬力のパトカー『ウラカン ポリツィア』
イタリア警察に今回納車されたのは、『ウラカン クーペ』をベースにしたパトカー仕様の『ウラカン ポリツィア』。通常モデルと同じ5.2Lの V10自然吸気エンジンは、最高出力610hp、最大トルク560Nmという強大なスペックを誇る。
ボディには、ポリスミディアムブルーとホワイトのイタリア警察公式カラーを纏い、『ウラカン』のエクステリアに合わせた特別なレタリングが施された。両サイドにイタリアントリコロールのストライプ、ドアには「POLIZIA(ポリツィア)」のロゴがあしらわれ、ルーフで光るのはブルーのパトランプだ。
内装は基本的に『ウラカン クーペ』と変わらないが、最先端技術を用いた警察向けの車載システムを備えているのが大きな特徴だろう。コンピュータ、記録装置をはじめ、路上での活動を記録できるビデオカメラ付きのタブレットも搭載。当然、パトカーだけに、標準VHFの警察ラジオ、ガンホルスター、携帯用消火器、停止標識といった警察の伝統的装備も備えている。
下の写真は、3月にローマで行われた『ウラカン ポリツィア』の納車セレモニーの様子である。式典では、アウトモビリ・ランボルギーニのステファノ・ドメニカリ会長兼CEO自らが警察関係者にキーを手渡した。
ランボルギーニのパトカー『ウラカン ポリツィア』の任務は血液や臓器の緊急搬送
それにしても、なぜランボルギーニのパトカーなのか。イタリア警察は、2004年にも『ガヤルド ポリツィア』をランボルギーニから寄贈されてパトカーに採用。11万キロ以上に及ぶパトロール任務に使用したのち、2014年にもう一台の『ウラカン ポリツィア』にその任務を引き継いでいる。イタリア警察がパトカー仕様のランボルギーニを導入するのは、今回で3台目なのだ。
スーパーカーのパトカーの任務として真っ先に想像するのは、高速道路における交通違反車両の検挙だろう。もちろん、それも重要な仕事となるが、じつは『ウラカン ポリツィア』の本質的な任務は別にあるという。
その任務とは、一刻を争う移植臓器や輸血用血液の緊急輸送といった医療援助である。『ウラカン ポリツィア』のフロントのボンネット内には、臓器などを輸送するための特別な冷凍システムが備わっていて、『ガヤルド ポリツィア』が稼働していたときには実際に多くの患者を救っている。2016年にはイタリア全土から計176件の援助要請があったという。
また、『ウラカン ポリツィア』はAED(自動体外式除細動器)も装備。不整脈や心室細動を引き起こした人に一分一秒でも早く電気ショックを行う救命措置が可能になっている。
スーパーカーは極めて趣味性の高いクルマというイメージが強い。その圧倒的なパフォーマンスは本来、サーキットなどで愉しむためのものでもある。しかし、見方を変えれば、一刻を争う場面でこれほど役に立つクルマもないわけだ。各国でパトカー仕様のスーパーカーが増えているのには、そんな理由があるのかもしれない。
Text by Kenzo Maya
Photo by (C)Automobili Lamborghini S.p.A.