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第52回 | 大人のための最新自動車事情

好事家たちのSUV――改良されたグランドチェロキー

ベントレー、ジャガー、マセラティといったヨーロッパの高級車ブランドまでもがSUVをラインナップするようになった近年の自動車業界。しかし、「Sport Utility Vehicle(スポーツ ユーティリティ ビークル)」という言葉がアメリカで生まれ、いまもアメリカがSUVの本場であることに変わりはない。広大な北米大陸を移動するうえでSUVは最適のクルマで、彼の地では数多くのSUVが生産されている。なかでも、老舗4WDブランドのジープのフラッグシップモデル『グランドチェロキー』は、古き良きアメ車のテイストを色濃く残し、日本で手に入る数少ないアメリカンSUVとして人気が高い。2017年3月、この『グランドチェロキー』がマイナーチェンジを受け、さらなるラグジュアリーなデザインと先進的な安全装備を手に入れた。

ジープブランドの頂きを担うラグジュアリーなアメリカンSUV『グランドチェロキー』

ジープブランドを展開するFCA(フィアット クライスラー オートモービルズ)いわく、今回のマイナーチェンジは「ジープにとってブランドの新たな時代を象徴するものです」という。

ジープがラインナップするのは、『レネゲード』『コンパス』『チェロキー』、そして、ジープの源流である『ラングラー』、その4ドアモデルの『ラングラー アンリミテッド』など6車種。『グランドチェロキー』は、これらのモデルの頂点に立つジープのフラッグシップで、その存在はブランドにとって特別なものだ。今回のマイナーチェンジでは、「ラレード」「リミテッド」「サミット」というグレード構成はそのままに、おもにデザインと装備が変更された。

エクステリアでは、ジープ伝統の「セブンスロットグリル」の高さをコンパクトにし、よりスタイリッシュなデザインにアップグレード。それに合わせてヘッドライトベゼルの色をダークカラーに変更し、グリル周りをブラックに仕上げることで高級感と重厚感を印象づけている。バンパーデザインも一新され、専用デザインのバンパーを持つサミットはフロントLEDフォグランプ部分も改良された。ラレードとサミットは、18インチアルミホイールと20インチアルミホイールもそれぞれスタイリッシュなデザインに変更されている。

ダイヤモンドキルティングが施された上位グレードの「ラグーナレザーパッケージ」

インテリアでは、サミットにオプションで「ラグーナレザーパッケージ」が用意されたことが大きなトピックだろう。

これは、白を基調とするキルティングステッチのデザインに藍色のアクセントが施されたラグーナレザーシート(ヒーターとベンチレーション付き)に、レザー仕上げとなるドアパネルとセンターコンソール、本木目パネルをコーディネートした贅沢なパッケージだ。加えて、「コマンドビュー デュアルペインパノラミックサンルーフ」も装備される(下の写真は北米仕様の左ハンドル)。

装備面では、ラレードに「パークビューリアバックアップカメラ」、サミットに「LaneSense車線逸脱警報プラス」「ParkSense縦列/並列パークアシスト」が追加された。もちろん、リミテッドも車線逸脱警報とパークアシストを含めたサミットと同様の安全装備を備える。ドアミラーの「オート格納機能」の追加とシングルCDプレーヤーの廃止は、3グレード共通の変更点だ。

5.7L V8エンジンは3.6L V6に変更…しかし6.4Lエンジンの「SRT8」という選択肢も

ひとつ残念なのは、5.7L V8エンジンを搭載していたサミットのパワートレインが3.6L V6エンジンに変更されたことだろう。つまり、これで『グランドチェロキー』の主力3グレードはともにV6エンジンとなったわけだ。

アメ車にはV8のイメージが強いのは事実だが、『グランドチェロキー』が搭載する V6は、最高出力213kW(290ps)、最大トルク347Nm(35.4kg.m)を発生する強力なエンジン。パフォーマンスに不足はなく、燃費性能などを考えると、これはむしろ日本の道路事情に合わせた変更といえる。どうしてもV8モデルが欲しければ、344kW(468ps)/624Nm(63.6kg・m)を発生する6.4Lエンジンを搭載した『グランドチェロキーSRT8』という選択肢もある。

『グランドチェロキー』の現行モデルが国内デビューを果たしたのは2011年。6年目を迎え、そのモデルライフも後半に入ったことになるが、それは「『グランドチェロキー』らしさ」「アメリカンSUVらしさ」の熟成が進んだということでもある。

価格はラレードが494万6400円、リミテッドが599万4000円、サミットが707万4000円。そして、サミットの「ラグーナレザーパッケージ」は707万4000円となっている(いずれも税込み)。

アメ車ファンの好事家に人気の高い『グランドチェロキー』だが、ヨーロッパのプレミアムSUVに乗る人たちにも一度、このアメリカンSUVに触れてみることをおすすめしたい。きっと、新たな発見が得られるはずである。

Text by Muneyoshi Kitani

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第130回 | 大人のための最新自動車事情

エモーションEV──バタフライドアの電動スポーツカー

ポルシェ初の量産EVスポーツカーとして話題の『タイカン』は今年生産を開始し、驚異的なスペックを誇るテスラのスーパースポーツカー『ロードスター』も2020年の発売を予定している。EVスポーツカーは、いま旬を迎えつつあるカテゴリだ。そうしたなか、アメリカのフィスカーがCES 2019で初公開した『エモーションEV』が予約受付を開始した。バタフライ4ドアが特徴の高級フルEVスポーツは、いったいどんなクルマなのか。

BMW『Z8』やアストンマーチン『DB9』のデザイナーが手がけた高級スポーツEV

フィスカー『エモーションEV』は、ヘンリック・フィスカー氏の手によるエレガントなデザインの高級EVスポーツカーだ。フィスカー氏はデンマーク出身の著名なカーデザイナー。BMWに在籍していた当時に『Z8』、EVコンセプトモデルの『E1』などを手がけ、アストンマーチンでは『DB9』『DBS』『ヴァンテージ』のデザインを担当した。

その後、独立してメルセデス・ベンツやBMWをベースにしたコンプリートカーやハイブリッドエンジン搭載のオリジナルモデルを製作するが、じつは、テスラで『ロードスター』『モデルS』の2モデルの開発に参加したこともあるようだ。そのせいというわけではないだろうが、『エモーションEV』のデザインはどこかテスラに似た雰囲気もある。

ともあれ、スタイリングは「美しい」のひと言に尽きる。とりわけ特徴的なのは、開くとドア側面が蝶の羽のような形に見える「バタフライ4ドア」だ。同じ上部に向かって開くドアでも、縦方向に開くシザースドアと違い、バタフライドアは外側が斜め前方に、内側が下向きに開く。駐車スペースに苦労する日本ではなかなかお目にかかれないドアだ。

バッテリーはリチウムイオンではなく炭素素材コンデンサ。多くの先端技術を搭載

面白いのは、バッテリーに多くのEVに採用されるリチウムイオンではなく、炭素素材コンデンサのグラフェンスーパーキャパシタを採用したことだ(全個体充電池搭載モデルもラインナップ)。1回の充電あたりの最大走行距離は約640km。急速充電の「UltraCharger」に対応しており、9分間の充電で約205km分の容量までチャージ可能という。

EVパワートレインは最高出力700psを発生し、最高速度は260km/h。このスペックを見ると、テスラ『ロードスター』のようなEVスーパースポーツではなく、あくまでスポーティカーという位置づけなのだろう。全長5085×全幅2015×全高1465mmのボディは軽量のカーボンファイバーとアルミニウムで構成され、駆動方式は四輪駆動だ。

このほか、ADAS(先進運転支援システム)としてクアナジー製LIDARセンサーを5個搭載し、コネクテッドなどのEVスポーツカーらしいさまざまな先端技術を装備する。

『エモーションEV』の価格は1440万円。予約も開始され今年中にデリバリー予定

前述の通り、『エモーションEV』はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルと全個体充電池搭載モデルの2モデルを設定。価格はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルが1440万円(税別)、全個体充電池搭載モデルの価格は未定だ。すでに日本でもデロリアン・モーター・カンパニーを正規代理店に予約受付を開始しており、グラフェンスーパーキャパシタは今年中の納車を予定している。ただし、予約金として約24万円が必要だ。

最近では東京都心部などでテスラをよく見かけるようになり、もはやEVは現実的な乗り物になりつつある。たしかに価格は1000万円オーバーと高価。しかし、この美しいルックスなら、他人と違うクルマに乗りたいという欲求を満たすことができるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fisker, Inc.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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