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第46回 | 大人のための最新自動車事情

40~50代に大人気、『ロードスターRF』が売れる理由

国産車の“ヴィンテージイヤー”と呼ばれる1989年に初代モデルが登場し、世界中で大ヒットを記録したマツダ『ロードスター』。4代目となる現行モデルも、WCOTY(ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー)とWCDOTY(ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー)をダブル授賞するなど、世界で高い評価を受けている。なかでも、40〜50代のカーガイに高い人気を誇り、いま売れに売れているのが『ロードスターRF』だ。リトラクタブルハードトップを採用した画期的なモデルである。

40〜50代男性の熱い支持! 発売1カ月で月間販売目標の10倍が売れた『ロードスターRF』

同じ日本を代表するスポーツカーでも、『ロードスター』は『GT-R』や『NSX』とひと味異なるモデルだ。たしかに、絶対的なスピードでは『GT-R』『NSX』に及ばない。しかし、「ライトウェイトの2シーターFRオープン」という極めて濃いファン要素がクルマ好きの熱い支持を集め、これまでに世界で100万台以上を販売してきた。

『ロードスターRF』は2016年12月に登場した比較的新しいモデル。ソフトトップの幌を備えた『ロードスター』と異なり、オープンにするとトップの部分だけが電動でトランクに格納され、ピラー部分が残る「タルガトップ」を持つ。なにより、スポーツクーペのような美しいファストバックスタイルが印象的だ。

この『ロードスターRF』が現在、大ヒットを記録している。メーカーによる当初の月間販売目標は250台だったにもかかわらず、2016年末に発売されると、約1カ月で累計受注2385台を達成。月間販売目標の10倍も売れているのだ。2017年3月には、アメリカの自動車メディア協会から「Best Bang for the Buck」賞に選ばれた。「Best Bang for the Buck」とは「出費に見合う価値がある」という意味。つまり、ソフトトップモデルよりも70万円以上高い324万円という価格ながら、『ロードスターRF』はアメリカのメディアに最高のコストパフォーマンスを備えたクルマと認められたわけである。

そして、この人気を支えているのが、40〜50代の大人の男たちだ。「『ロードスターRF』は、特に40~50代の方、しかも高級車を所有している方のセカンドカーとしてや、輸入車の購入を検討してきた方など、こだわりを持ってクルマを選んでこられた、目の肥えた方々にお選びいただいております」そう話すのは、関東マツダ高田馬場店の店長、坂本員規さんである。

『ロードスターRF』が人気を集める理由は「スタイリング」「高い実用性」「快適性」

坂本さんによれば、『ロードスターRF』が目の肥えた40〜50代の心を掴んだ理由のひとつは、リトラクタブルハードトップがもたらした美しいスタイリングにあるという。

「『ロードスターRF』は、もともと完成度の高い『ロードスター』のデザインに、初めから備えていたかのような違和感のないハードトップが組み合わされたことにより、さらに美しいボディラインを獲得しています。スポーツクーペのようなスタイリングを持ちながら、オープンの爽快感を同時に堪能できることが人気の要因のひとつでしょう」

フロントウインドウの立ち上がりからリアエンドに向けて一気に傾斜するルーフラインは美しく、高級感さえ漂う。このデザインに加えて、『ロードスターRF』は高い実用性も備えている。

「電動格納式のルーフには、風切り音の低減による静粛性、悪天候下における安心感、高い安全性や防犯性などのメリットがあります。また、127Lのトランクスペースは、オープン、クローズ状態に左右されずにフル収納できるので、日常の買い物などで使い勝手がいい点もポイント。この快適性と実用性も『ロードスターRF』が支持を集める理由です」

もうひとつ、見逃せないのがエンジンだろう。ソフトトップ仕様は1.5L 4気筒エンジンだが、『ロードスターRF』が搭載するのは最高出力116kW(158ps)/6000rpm、最大トルク200Nm(20.4kgm)/4600rpmを発生する2.0L 4気筒エンジン。

「向上したパワーやトルクに目が行きがちですが、最大の魅力は2.0Lエンジンがもたらす余裕のクルージング性能です。休日に奥様を連れて長距離のドライブに出かけるなど、そんな理想的な大人の休日を過ごせると思います」

1989年登場の初代モデルに憧れた40〜50代が『ロードスターRF』を指名買いしている

先ほど、『ロードスターRF』が「もっとも出費に見合う価値があるクルマ」に選ばれたと紹介したが、じつは『ロードスターRF』の購入者はコストパフォーマンスを考えてこのクルマを選んでいるわけではないという。

「『ロードスターRF』のオーナーには、ほかのメーカーのクルマと比べて購入を決めたという方はいらっしゃいません。私が知る限り、ほとんどの方が『指名買い』をなさっています」

そこには、ヴィンテージイヤーとなった1989年から『ロードスター』が築き上げてきたブランドの歴史がある。初代モデルがセンセーショナルなデビューを果たしたとき、現在の40〜50代は10〜20代の若者。当時、この世代にとって、発売されたばかりの『ロードスター』を手に入れるのはまだ現実的ではなかった。

「『RF』を含め、『ロードスター』を購入される40〜50代には、初代モデルに抱いた憧れをずっと持ち続けてくれている方がたくさんいらっしゃいます。こうした『ロードスター』のファンにとって、ライバル車との比較やパワー競争は関係ないのです」

国産車としてライトウェイト2シーターオープンという道を切り拓いた『ロードスター』が、その四半世紀以上に及ぶ歴史のなかで生み出した『ロードスターRF』という新たな価値。かつてこのスポーツカーに憧れた世代にとって、そのオンリーワンの魅力は数千万円の価格がつくスーパーカーと並んでも色褪せることはないのである。

Text&Photo by Tetsuya Abe

取材協力
関東マツダ 高田馬場店
住所:〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-2-12
電話:03-3208-8561
営業時間:10:00~19:00(整備受付:10:00~PM5:00)
定休日:毎週火曜日(不定休水曜日定休あり)

2016年11月5日にオープンした新世代店舗。高級カフェのようなシックな内外装が特徴だ。マツダの魅力を発信・体験する拠点であり、様々なイベントも企画される。もちろんロードスターRFの試乗車も用意。
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エモーションEV──バタフライドアの電動スポーツカー

ポルシェ初の量産EVスポーツカーとして話題の『タイカン』は今年生産を開始し、驚異的なスペックを誇るテスラのスーパースポーツカー『ロードスター』も2020年の発売を予定している。EVスポーツカーは、いま旬を迎えつつあるカテゴリだ。そうしたなか、アメリカのフィスカーがCES 2019で初公開した『エモーションEV』が予約受付を開始した。バタフライ4ドアが特徴の高級フルEVスポーツは、いったいどんなクルマなのか。

BMW『Z8』やアストンマーチン『DB9』のデザイナーが手がけた高級スポーツEV

フィスカー『エモーションEV』は、ヘンリック・フィスカー氏の手によるエレガントなデザインの高級EVスポーツカーだ。フィスカー氏はデンマーク出身の著名なカーデザイナー。BMWに在籍していた当時に『Z8』、EVコンセプトモデルの『E1』などを手がけ、アストンマーチンでは『DB9』『DBS』『ヴァンテージ』のデザインを担当した。

その後、独立してメルセデス・ベンツやBMWをベースにしたコンプリートカーやハイブリッドエンジン搭載のオリジナルモデルを製作するが、じつは、テスラで『ロードスター』『モデルS』の2モデルの開発に参加したこともあるようだ。そのせいというわけではないだろうが、『エモーションEV』のデザインはどこかテスラに似た雰囲気もある。

ともあれ、スタイリングは「美しい」のひと言に尽きる。とりわけ特徴的なのは、開くとドア側面が蝶の羽のような形に見える「バタフライ4ドア」だ。同じ上部に向かって開くドアでも、縦方向に開くシザースドアと違い、バタフライドアは外側が斜め前方に、内側が下向きに開く。駐車スペースに苦労する日本ではなかなかお目にかかれないドアだ。

バッテリーはリチウムイオンではなく炭素素材コンデンサ。多くの先端技術を搭載

面白いのは、バッテリーに多くのEVに採用されるリチウムイオンではなく、炭素素材コンデンサのグラフェンスーパーキャパシタを採用したことだ(全個体充電池搭載モデルもラインナップ)。1回の充電あたりの最大走行距離は約640km。急速充電の「UltraCharger」に対応しており、9分間の充電で約205km分の容量までチャージ可能という。

EVパワートレインは最高出力700psを発生し、最高速度は260km/h。このスペックを見ると、テスラ『ロードスター』のようなEVスーパースポーツではなく、あくまでスポーティカーという位置づけなのだろう。全長5085×全幅2015×全高1465mmのボディは軽量のカーボンファイバーとアルミニウムで構成され、駆動方式は四輪駆動だ。

このほか、ADAS(先進運転支援システム)としてクアナジー製LIDARセンサーを5個搭載し、コネクテッドなどのEVスポーツカーらしいさまざまな先端技術を装備する。

『エモーションEV』の価格は1440万円。予約も開始され今年中にデリバリー予定

前述の通り、『エモーションEV』はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルと全個体充電池搭載モデルの2モデルを設定。価格はグラフェンスーパーキャパシタ搭載モデルが1440万円(税別)、全個体充電池搭載モデルの価格は未定だ。すでに日本でもデロリアン・モーター・カンパニーを正規代理店に予約受付を開始しており、グラフェンスーパーキャパシタは今年中の納車を予定している。ただし、予約金として約24万円が必要だ。

最近では東京都心部などでテスラをよく見かけるようになり、もはやEVは現実的な乗り物になりつつある。たしかに価格は1000万円オーバーと高価。しかし、この美しいルックスなら、他人と違うクルマに乗りたいという欲求を満たすことができるのではないか。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fisker, Inc.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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