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第44回 | 大人のための最新自動車事情

GT-Rトラックエディション――通人の心を擽るクルマ

「世界の名だたるスーパースポーツと互角に渡り合える日本車」。国産スポーツカーのなかでも、この表現がふさわしいクルマは2台しかない。ひとつは2016年に10年ぶりに復活した2代目『NSX』。そして、もうひとつが2007年に「スカイライン」の名と決別し、新たな最強伝説をスタートさせた『GT-R』だ。2017年モデルの『GT-R』は発売以来の最大規模となる進化を遂げたが、このうち、通好みかつ屈指の人気を誇るグレードが4月のニューヨークモーターショーで北米デビューを果たした。それが『GT-Rトラックエディション』である。

『GT-Rトラックエディション』は、標準仕様とNISMO仕様の間の溝を埋めるグレード

2017年モデルの『GT-R』には5つのグレードが存在する。まず標準仕様となるのが、「GT-R Pure edition(ピュアエディション)」「GT-R Black edition(ブラックエディション)」「GT-R Premium edition(プレミアムエディション)」の3車種だ。

この3つは内装や装備がそれぞれ異なるが、基本性能はどれも変わらない。スーパースポーツとはいえ、快適な乗り心地が強く意識されているモデルだ。ただし、搭載されるパワーユニットは3.8L V6ツインターボエンジンで、最大出力565ps/6800rpm、最大トルクは467lb-ft/3300-5800rpmを発生。ここに改良型6速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせる。

一方、日産のワークスチームでもある「NISMO(ニスモ)」が開発し、パフォーマンス的にも価格的にも『GT-R』シリーズの頂点に君臨するのが『GT-R NISMO』だ。ボディ剛性を高めると同時に、足回りは標準モデルが採用しているモード設定型電子制御式のショックアブソーバーをNISMOモデル向けにチューニング。GT3 選手権で使用する高流量・大口径のツインターボチャージャーを搭載した3.8L V6ツインターボエンジンは、最高出力600psを誇る。

2017年4月のニューヨークモーターショーで、世界最大の自動車市場である北米デビューを果たした『GT-Rトラックエディション』は、このNISMO仕様と標準仕様の間の溝を埋めるグレードである。日本国内では2016年から発売されており、こちらには『GT-Rトラックエディションengineered by nismo(エンジニアード バイ ニスモ)』の名がつけられている。

『GT-R NISMO』よりも500万円安い「標準仕様モデルの皮を被ったNISMO仕様モデル」

『GT-Rトラックエディション』をひと言で表現するなら、「標準仕様の皮を被ったNISMO仕様」。エンジンこそ標準仕様と同じ565psの3.8L V6ツインターボエンジンだが、それ以外のさまざまな部分で『GT-R NISMO』と共通の部品や装備が使用されている。

ボディは構造用接着剤で剛性を高めたNISMOによる専用の強化車体で、路面状況や走行条件に対してダンパーがより硬質な減衰力を発揮するサスペンションも『GT-R NISMO』と同様にNISMOがチューニングを手がけたもの。ほかにも、NISMO製20インチ鍛造アルミホイール、タイヤ、レカロ製シート、拡幅フロントフェンダー、拡幅フロントプロテクターなども備えており、もはやスペシャルモデルといってもいい趣だ。

ただし、北米仕様の『GT-Rトラックエディション』はリアスポイラーがドライカーボン製に変更されるなど、日本仕様とは微妙に違う部分もある。

じつは、『GT-Rトラックエディション』は、『GT-R』シリーズ全体で売り上げの約3分の1を占めるほど人気が高いグレードだという。一見すると標準仕様のようにも見えながら、その中身は限りなくNISMO仕様に近い…。これが通人の心を擽るうえ、価格は『GT-R NISMO』に比べて約500万円安いなど、極めてお買い得感が高いからである。

ちなみに、標準仕様の「GT-Rプレミアムエディション」の価格は1058万円で、『GT-R NISMO』は1870万200円。そして、『GT-Rトラックエディションengineered by nismo』は1369万9800円(いずれもメーカー希望小売価格、税込み)。北米仕様の『GT-Rトラックエディション』は2017年夏からアメリカのGT-R認定ディーラーで受注が開始される。

Text by Kenzo Maya

Photo by (C)Nissan USA

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第129回 | 大人のための最新自動車事情

マッチョな軍人たちへ──愛国仕様のダッジチャージャー

『ワイルド・スピード』の第一作が公開されたのは2001年のことだ。主人公ドムの愛車は、圧倒的パワーをもつ古き良き時代のダッジ『チャージャー』。言わずとしれたマッスルカーである。あれから10余年。アメリカでは今、シリーズにたびたび登場する1960〜70年代の『チャージャー』の価値が上昇し続けている。なにしろ、このSUV全盛の時代にあって、現行の『チャージャー』『チャレンジャー』までもが10年間で70%も販売台数が伸びているのだ。そして、この人気を逃すまいとブランドもさまざまな限定車やオプションを設定。今年4月には、なんとも印象的なストライプのカスタムルックが登場した。

モダンマッスルカーの代表車種2台。ダッジ『チャージャー』と『チャレンジャー』

マッスルカーとは、広義では大排気量のV8エンジンを搭載するハイパフォーマンスのアメリカ車を指す。狭義では1968年から1971年にかけて作られた高性能でハイグレードなアメ車のこと。フルサイズのセダンやクーペ、後輪駆動車が多い。したがって、より正確にいうと、現行車種はマッスルカーではなく、ニューマッスルカーなどと呼ばれる。

そのモダンなマッスルカーのひとつが、ダッジブランドの現行『チャージャー』『チャレンジャー』だ。『チャージャー』は2ドアクーペで、いわば生まれながらのマッスルカー。『チャレンジャー』は4ドアセダンで、フォード『マスタング』と同様にポニーカー(手頃な価格のスポーティカー)として誕生した。いずれも現行型は第三世代で、発表されてから10年以上の時を刻んでいる。にもかかわらず、本国では依然高い人気を誇るモデルだ。

その証拠に、4月のニューヨークオートショー2019において、2台の上位グレードに設定可能な特別パッケージが発表されると、それだけでニュースになったほど。パッケージの名称は「stars & stripes edition(スター・アンド・ストライプス・エディション)」。ミリタリーをテーマとする渋いストライプをまとったカスタムルックのオプションである。

テーマは星条旗。フロントからリアにかけて走る極太のサテンブラック・ストライプ

「stars & stripes edition」は、その名のとおり、「スター・アンド・ストライプス(星条旗)」をテーマにしたカスタムルックだ。最大の特徴は、フロントからリアにかけてボディを覆うようにペイントされたサテンブラックのストライプ。この極太ストライプの正面に向かって右側、つまりドライバーズシート側には、シルバーの縁取りが入っている。

シートはブラックのファブリック(布製)で、ヘッドレスト側面に刺繍されたブロンズのスターが目を引く。このブロンズカラーはシートとステアリングホイールのステッチにも使用されている。そのほか、ボディ側面にさりげなく描かれている星条旗、20インチホイール、前後のスポイラー、装備されるバッジ類は、すべてサテンブラック仕上げだ。

選択できるボディカラーは、「デストロイヤーグレイ」「F8グリーン」をはじめ、「グラナイトクリスタル」「インディゴブルー」「マキシマムスティール」「オクタンレッド」「ピッチブラック」「トリプルニッケル」「ホワイトナックル」の全9色。写真の『チャージャー』はデストロイヤーグレイ、『チャレンジャー』がまとっているのはF8グリーンだ。

軍人や愛国精神をもつマッチョたちのために設定されたカスタムルックのオプション

「統計によると、軍人が購入するアメリカンブランドのなかで、もっとも人気があるのはダッジ」。これはダッジのプレスリリースにある一文だ。とりわけ、彼らがもっとも多く選択しているのが『チャージャー』と『チャレンジャー』だという。つまり、軍人や愛国精神をもつマッチョな男たちのために設定されたのが今回の星条旗ルックというわけだ。

愛国精神はともかく、マッスルカーがマッチョな男に似合うのは『ワイルド・スピード』シリーズを見れば一目瞭然。日本人はよほど筋トレしないとむずかしいかもしれない。

なお、「stars & stripes edition」が設定されるのは『チャージャーR/T』『チャージャー スキャットパック』『チャージャーGT RWD』『チャレンジャーR/T』『チャレンジャーR/T スキャット・パック』『チャレンジャーGT RWD』の6車種。5月から発売される。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fiat Chrysler Automobiles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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