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第43回 | 大人のための最新自動車事情

ロードキングスペシャル――乗り手を選ぶハーレー

ハーレーダビッドソンの2017年中期導入モデルとして、ツーリングファミリーの『Road King(ロードキング)』の特別仕様車、『Road King Special(ロードキング スペシャル)』がリリースされた。おそらく、このスタイルを見たライダーは思わず眉をひそめる人、「おおっ」と顔を近づける人の二者に分かれるだろう。なぜなら、アメリカにおける『ロードキング』とは、白と青のカラーを纏い、警察が要人警護やハイウェイパトロールに使用する、いわば“正義のバイク”だからだ。ところが、今回の『ロードキング スペシャル』は、カラーリングといい、ハンドルポジションといい、それとはまったくの別物。まるでダークサイドの『ロードキング』、“ダークキング”といった様相なのだ。

バイクの頂点に君臨するハーレーダビッドソン『ロードキング』を現代風にアレンジ

『ロードキング』とは、ハーレーダビッドソン伝統のクラシックツアラーを意味する。ノスタルジックなスタイルと高性能なツーリング機能を併せ持つ、ハーレーダビッドソンを象徴するモデルだ。ベースモデルのデビューは1949年。以来、時代に合わせて機能面は進化したものの、そのクラシカルなスタイルに大きな変更はなく、バイクの頂きを担う一台として君臨してきた。

その『ロードキング』を現代風にアレンジしたのが、『ロードキング スペシャル』だ。なによりも特徴的なのは、ヘッドライトナセル、フロントフォーク、新型のタービンホイール、そしてパワフルなMilwaukee-Eight(ミルウォーキーエイト)エンジン、マフラーにいたるまで、すべてブラックアウト仕上げとなっていること。そのうえ、『ロードキング』にあるはずのウインドスクリーンさえも取り払われている。

写真のモデルは「オリーブゴールド」というメタリック感のあるミリタリーカラーで、このカラーリングがなんとも『ロードキング スペシャル』の迫力を際立たせ、圧倒的なパワーを感じさせてくれる。

高さ約25 cm (10インチ)、太さ約3 cm(1.25インチ)の新型ミニエイプハンドルバーの採用も、ライダーの気持ちを汲み取ってくれたかのようだ。このハンドルによって、腕を前方に上げるアップライトポジションとなり、従来の『ロードキング』にはなかったアグレッシブなライディングを愉しめる予感が膨らむ。おそらく、ミニエイプハンドルバーをパーツ注文し、自分のハーレーに取り付けるライダーも多いことだろう。

ハーレーダビッドソン『ロードキング スペシャル』は久々に現れた乗り手を選ぶ一台

『ロードキング スペシャル』が搭載する排気量1745ccのミルウォーキーエイト107エンジンは、通常モデルの『ロードキング』と変わらず、ライダーの意志を忠実にパワーで再現してくれる。

ABS搭載の ブレンボブレーキを標準で装備しているので、クイックな走りも愉しめそうだ。これは、フロントとリアブレーキがデジタルでリンクされ、どんな路面であってもそれぞれのタイヤに適切な量の制動力を分配するブレーキシステム。これにより、ベテランライダーもビキナーライダーもライディングがさらに向上するだろう。もちろん、スマートセキュリティシステム、クルーズコントロールも標準装備する。

ボディカラーは4色が用意され、価格は「モノトーンカラー(オリーブゴールド、チャコールデニム)」が313万3900円、「ビビッドブラック」が308万7400円、「ハードキャンディーホットロッドレッドフレーク」が337万8400円(いずれもメーカー小売価格、税込み)。

『ロードキング スペシャル』は、「ハーレーに乗りたい」ではなく、「このモデルに乗りたい」という強い意志を持った人にしか似合わない、久しぶりに登場した乗り手を選ぶバイクだ。予約販売は、すでに2017年2月から始まっている。

Text by Katsutoshi Miyamoto

Photo by (C) Harley-Davidson Japan

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第129回 | 大人のための最新自動車事情

マッチョな軍人たちへ──愛国仕様のダッジチャージャー

『ワイルド・スピード』の第一作が公開されたのは2001年のことだ。主人公ドムの愛車は、圧倒的パワーをもつ古き良き時代のダッジ『チャージャー』。言わずとしれたマッスルカーである。あれから10余年。アメリカでは今、シリーズにたびたび登場する1960〜70年代の『チャージャー』の価値が上昇し続けている。なにしろ、このSUV全盛の時代にあって、現行の『チャージャー』『チャレンジャー』までもが10年間で70%も販売台数が伸びているのだ。そして、この人気を逃すまいとブランドもさまざまな限定車やオプションを設定。今年4月には、なんとも印象的なストライプのカスタムルックが登場した。

モダンマッスルカーの代表車種2台。ダッジ『チャージャー』と『チャレンジャー』

マッスルカーとは、広義では大排気量のV8エンジンを搭載するハイパフォーマンスのアメリカ車を指す。狭義では1968年から1971年にかけて作られた高性能でハイグレードなアメ車のこと。フルサイズのセダンやクーペ、後輪駆動車が多い。したがって、より正確にいうと、現行車種はマッスルカーではなく、ニューマッスルカーなどと呼ばれる。

そのモダンなマッスルカーのひとつが、ダッジブランドの現行『チャージャー』『チャレンジャー』だ。『チャージャー』は2ドアクーペで、いわば生まれながらのマッスルカー。『チャレンジャー』は4ドアセダンで、フォード『マスタング』と同様にポニーカー(手頃な価格のスポーティカー)として誕生した。いずれも現行型は第三世代で、発表されてから10年以上の時を刻んでいる。にもかかわらず、本国では依然高い人気を誇るモデルだ。

その証拠に、4月のニューヨークオートショー2019において、2台の上位グレードに設定可能な特別パッケージが発表されると、それだけでニュースになったほど。パッケージの名称は「stars & stripes edition(スター・アンド・ストライプス・エディション)」。ミリタリーをテーマとする渋いストライプをまとったカスタムルックのオプションである。

テーマは星条旗。フロントからリアにかけて走る極太のサテンブラック・ストライプ

「stars & stripes edition」は、その名のとおり、「スター・アンド・ストライプス(星条旗)」をテーマにしたカスタムルックだ。最大の特徴は、フロントからリアにかけてボディを覆うようにペイントされたサテンブラックのストライプ。この極太ストライプの正面に向かって右側、つまりドライバーズシート側には、シルバーの縁取りが入っている。

シートはブラックのファブリック(布製)で、ヘッドレスト側面に刺繍されたブロンズのスターが目を引く。このブロンズカラーはシートとステアリングホイールのステッチにも使用されている。そのほか、ボディ側面にさりげなく描かれている星条旗、20インチホイール、前後のスポイラー、装備されるバッジ類は、すべてサテンブラック仕上げだ。

選択できるボディカラーは、「デストロイヤーグレイ」「F8グリーン」をはじめ、「グラナイトクリスタル」「インディゴブルー」「マキシマムスティール」「オクタンレッド」「ピッチブラック」「トリプルニッケル」「ホワイトナックル」の全9色。写真の『チャージャー』はデストロイヤーグレイ、『チャレンジャー』がまとっているのはF8グリーンだ。

軍人や愛国精神をもつマッチョたちのために設定されたカスタムルックのオプション

「統計によると、軍人が購入するアメリカンブランドのなかで、もっとも人気があるのはダッジ」。これはダッジのプレスリリースにある一文だ。とりわけ、彼らがもっとも多く選択しているのが『チャージャー』と『チャレンジャー』だという。つまり、軍人や愛国精神をもつマッチョな男たちのために設定されたのが今回の星条旗ルックというわけだ。

愛国精神はともかく、マッスルカーがマッチョな男に似合うのは『ワイルド・スピード』シリーズを見れば一目瞭然。日本人はよほど筋トレしないとむずかしいかもしれない。

なお、「stars & stripes edition」が設定されるのは『チャージャーR/T』『チャージャー スキャットパック』『チャージャーGT RWD』『チャレンジャーR/T』『チャレンジャーR/T スキャット・パック』『チャレンジャーGT RWD』の6車種。5月から発売される。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fiat Chrysler Automobiles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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