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第25回 | ポルシェの最新車デザイン・性能情報をお届け

GTSモデルの“素の911”でポルシェ本来の走りを堪能

ポルシェを代表する車であり、スポーツカーの象徴でもある『911』。グレードは『カレラ』『タルガ』『ターボ』に大別され、それぞれに複数のエンジンや駆動方式、ボディタイプが存在する。『カレラ』は、そのなかでもベースモデルに位置づけられ、「素の911」とも称される。『タルガ』は、1966年にデビューしたオープンカーで、「タルガトップ」という言葉を生み出した1台だ。今回、この『カレラ』と『タルガ』に「GTS」モデルが追加され、ラインナップが拡充された。

『カレラ』『タルガ』シリーズ5車種にGTSを追加、最高速はすべて300km/hオーバー

『カレラ』と『タルガ』に追加された『GTS』は5車種。『カレラ』では後輪駆動の『911カレラGTS』と『911カレラGTS カブリオレ』。4輪駆動の『911カレラ4 GTS』と『911カレラ4 GTS カブリオレ』。それと、『タルガ』では4輪駆動の『911タルガ4 GTS』だ。

心臓部は新開発された3.0L 6気筒水平対向エンジン。最高出力は331 kW(450 ps)で現行型『911カレラS』を22kW(30ps)、先代型『GTSモデル』を15kW(20ps)上回る。最大トルクは550Nm/2150〜5000rpm、最高速は、すべてのモデルで300km/hオーバーだ。

もっとも加速性能に優れているのは『911カレラ4 GTS』。駆動力を途切れさせることなく瞬時にシフトチェンジができるPDK(ポルシェ ドッペルクップルング)と標準装備のスポーツクロノパッケージを組み合わせることにより、0-100km/hの加速は3.6秒を実現。ちなみに、もっとも速いのはPDKを搭載した『911カレラGTS』で、310km/hに達する。

足回りには、路面状況やドライビングスタイルに応じて、各ホイールのダンパーの減衰力を無段階に調節するPASM(ポルシェ アクティブ サスペンション マネジメント)を標準装備。センターコンソールのスイッチで、パフォーマンスと快適性を重視した“ノーマル”と固めのセッティングである“スポーツ”を選ぶことができる。

空力性能が向上し、ワイド&ローなデザインとなった『カレラ』『タルガ』GTSモデル

デザインはワイドボディと低い車高が印象的だ。フロントエプロンは、スポーティなキャラクターを強調している。もちろん、スポーティなのは見た目だけではない。低められたフロントスポイラーと高くせり出すリアスポイラーは、『カレラS』よりも車両の浮き上がりを低減し空力性能を高めてスポーツ走行をサポートする。

リアにもこだわりの意匠が見られる。テールライトにはスモーク処理が施され、インテークグリルはシルクグロスブラック仕上げで引き締められている。ブラックのツインテールパイプは標準装備。車体の中央部に配置され、躍動感を演出する。

ほかにも、『911カレラGTS』と『911カレラGTS カブリオレ』では、新しく左右のテールライトを繋ぐブラックのトリムを取り入れた。また、点灯するライトストリップは、『911カレラ4 GTS』と『911カレラ4 GTS カブリオレ』の特長だ。

サイドは、スポーツデザインのドアミラー、シルクグロスブラックに塗装された20インチホイール、そしてドアに貼られたGTSロゴによって、スポーツカーらしい引締まった佇まいとなっている。

ちなみに、『911タルガ GTS』では、タルガバーがGTSとしては初めて黒くペイントされ、『911タルガ』との違いを際立たせている。

『カレラ』『タルガ』シリーズの最高峰グレードの価格は、1750万円から2116万円

インテリアで特筆すべきは、シートだろう。新しいステッチパターンのアルカンターラが採用され、ヘッドレスト部分に「GTS」ロゴが埋め込まれた。四方向に電動調整可能で、横方向のサポートと快適性が向上している。また、インストゥルメントパネルは目の粗い黒の酸化コート処理が施されたアルミパネルでスポーティな印象だ。

『カレラ』『タルガ』シリーズの最高峰グレードとなる『GTS』。消費税込みの希望小売価格は、もっとも安い『ポルシェ 911カレラGTS』でも1750万円。もっとも高価な『ポルシェ 911カレラGTS』と『ポルシェ911 カレラ4 GTS カブリオレ』は2116万円となっている。「素の911」でポルシェ本来の走りを味わいたいという人には、ぜひおすすめしたい1台だ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
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第51回 | ポルシェの最新車デザイン・性能情報をお届け

甦る伝説のイエローバード──ルーフCTRアニバーサリー

1990年からシリーズ全体で20年以上にわたり連載されてきた楠みちはるの『湾岸ミッドナイト』。大人のカーガイなら、主人公が駆る「悪魔のZ」の永遠のライバルとして登場する漆黒の930型ポルシェ『911ターボ』、通称「ブラックバード」を覚えていることだろう。じつは、この最高出力700psのモンスターマシンと似たスペックをもつカスタムモデルが実在する。ルーフ・オートモビルによる930型ポルシェ『911』をベースにしたコンプリートカー、「イエローバード」こと初代『CTR』だ。3月のジュネーブモーターショーでは、初代の誕生30周年を記念したアニバーサリーモデルが発表された。

ポルシェのようでポルシェではない。340km/hを記録した伝説の「イエローバード」

ポルシェのようだが、じつはポルシェではない。ポルシェのボディシェルを使いつつも、まったくのオリジナルのハイパフォーマンスカーを製造する世界的な自動車ブランド。それがドイツ南部のプファッフェンホーフェンに本拠を置くRUF Automobile(ルーフ・オートモビル)だ。もともとポルシェ車のチューナーだったが、1980年代から独自のコンプリートカーを生産・販売し、ドイツの自動車工業会にも属している。小規模ではあるが、卓越した技術力によってユーザーの信頼を集めるれっきとした自動車メーカーなのだ。

ルーフの名は、1987年に発表された初代『CTR“イエローバード”』によって世界中のスポーツカーファンに認知された。930型『911カレラ』をベースに、排気量を3.4Lへと拡大。チューンナップされたインタークーラー付きのツインターボエンジンは最高出力469ps、最大トルク553Nmのパワーを発生する。アメリカの老舗自動車雑誌『ロード&トラック』がフォルクスワーゲンのテストコースにスーパーカーを集めて行った走行テストでは、ランボルギーニやフェラーリを抑えて当時の市販車最速となる約340km/hを記録した。これにより、ルーフと『CTR』の名を世界に知らしめたのである。ちなみに、「イエローバード」の異名は『ロード&トラック』が誌面で使ったキャッチに由来する。

販売台数はわずか30台。バブル景気だった日本には10台近くが、あるいはそれ以上の台数が上陸したといわれる。この「イエローバード」をルーフの技術力によって現代に甦らせたモデルが、ジュネーブで発表された『CTR Anniversary(アニバーサリー)』だ。

『CTRアニバーサリー』は最高出力710ps、最高速度360km/hのモンスターマシン

『CTRアニバーサリー』は、2017年のジュネーブモーターショーで発表されたプロトタイプ、『CTR 2017』の市販バージョンとなる。前述のとおり、初代『CTR』は930型『911』をベースとしたが、『CTRアニバーサリー』はポルシェのボディシェルを使用していない。モノコックシャシーやボディはルーフが独自に開発したもの。つまり、一見すると古いポルシェのようだが、このクルマはベースが存在しないまったくのオリジナルなのだ。

モノコックとボディにはカーボンファイバーを採用し、それによって総重量1200kgという軽さを実現。ルックスは初代『CTR』のイメージをそのまま踏襲しているが、『CTRアニバーサリー』専用のエクステリアとして、リアに大型のウィングを装着する。

思わず唸らされたのがエンジンルームだ。『911』といえば、古いポルシェファンなら空冷エンジンの印象が強いと思うが、『CTRアニバーサリー』は往時の空冷エンジンを彷彿とさせるクラシカルなデザインをあえて採用した。しかし、そこに搭載されるのは、ツインターボを装着した排気量3.6Lの水平対向6気筒エンジン。最高出力710ps、最大トルク880Nmのパワーを発揮し、最高速度は360km/hに達するモンスターぶりである。

甦った「イエローバード」は全台ソールドアウト。NAエンジンの現行型は販売継続

残念ながら、『CTRアニバーサリー』はすでに生産予定の30台が全台売約済み。プロトタイプの『CTR 2017』が発表された時点でソールドアウトしたとの一部報道もある。

ただし、ルーフには今回の『CTRアニバーサリー』とカーボンシャシーやボディを含めた多くの仕様が共通する『CTR SCR』という現行モデルがある。搭載するのは710psのツインターボではなく自然吸気エンジンだが、現在も販売を継続中だ。ポルシェのようでポルシェではないコンプリートカーをお望みなら、こちらを選択する方法もあるだろう。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) RUF Automobile GmbH
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
メイキング・オブ RUF CTR 2017
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