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第38回 | 大人のための最新自動車事情

高性能仕様のシティコンパクト『スマートBRABUS』

「smart(スマート)」は、1990年代半ば、世界最大の時計メーカーであるスイスのスウォッチ・グループが発案し、当時のダイムラー・ベンツがパートナーとなって生まれたマイクロカーブランドだ。スウォッチの手が離れた今も、ダイムラーの1部門として独自のポジションを築いている。スマートが「メルセデス生まれのシティコンパクト」と呼ばれるのはそのためだ。このスマートの歴代モデルには、より出力が高く、迫力ある内外装のハイパフォーマンスモデルが設定されてきた。それが、メルセデス・ベンツでいえばAMGモデルに該当する高性能バージョンのスマート、『スマートBRABUS(ブラバス)』である。

メルセデス・ベンツをチューニングしてきたメーカーが手がける『smartブラバス』

ブラバスは、メルセデス・ベンツ各モデルのエンジン、足回り、ブレーキ、内外装などのチューンナップを手がけるドイツのチューニングメーカー。2002年にはメルセデス・ベンツと合弁会社のSmart-BRABUS(スマート ブラバス)社を立ち上げ、スマートのハイパフォーマンスモデルを生み出してきた。それだけに、新型スマート ブラバスも、よりスポーティさを追求したモデルとなっている。

搭載されるエンジンは成り立ちこそノーマルと同じ3気筒0.9Lターボだが、ノーマルのターボモデルよりも14kW(19ps)高い80kW(109ps)の最高出力と、35Nmアップとなる170Nmの最大トルクを実現している。「たったの109ps?」と思われるかもしれないが、スマートの車重は1000kg前後と軽量なため、想像よりもはるかに力強い。0-100km/h加速は、2人乗りの『フォーツー』で9.5秒だ。

もちろん、エンジンに合わせて足回りもリセッティングされた。サスペンションはノーマルのターボモデルに比べて20%ほど硬くなり、フロントアクスルに装備されたアンチロールバーによってロールを9%減少。さらに、路面状況がよりダイレクトに伝わるように専用チューニングが施された車速感応型可変ギアレシオステアリング「ダイレクトステアリングシステム」を採用し、スポーティな走りを約束する。

ワントーンの専用カラーを持つ『フォーフォー エクスクルーシブ リミテッド』

新型スマート ブラバスには、1種類のカタログモデルと3種類の期間限定モデルが用意された。

カタログモデルとなるのは4ドアボディを持つ『フォーフォー エクスクルーシブ』(312万円、消費税込み)で、5月以降の発売予定。スマートの特徴的なボディ骨格であり、エクステリアの一部となる“トリディオンセーフティセル”のカラーは「グラファイト(グレー)」で、そこに「ヘーゼルブラウン」、トリディオンセーフティセルと同色の「グラファイト」など、9色のボディカラーを組み合わせる。

3月までの期間限定となっている『エクスクルーシブ リミテッド』には、2人乗りの『フォーツー』と『カブリオ』、4人乗りの『フォーフォー』の3タイプが設定された。3モデルは、それぞれがトリディオンセーフティセルとボディをワントーンでコーディネートした専用のボディカラーを持つ。

ボディカラー×トリディオンセーフティセルの具体的な組み合わせは、2人乗りの『フォーツー エクスクルーシブ リミテッド』が「クリスタルホワイト×ホワイト」、『カブリオ エクスクルーシブ リミテッド』が「チタニアグレーマット×グラファイトグレーマット」、そして4人乗りの『フォーフォー エクスクルーシブ レッドリミテッド』が「サファイアレッド×レッド」。価格は、フォーツーが297万円、カブリオが327万円、フォーフォーは317万円となっている(いずれも消費税込み)。

“フルカスタム”のテーラーメイドによって世界に1台だけの『smartブラバス』も可能

新型スマート ブラバスの導入と同時に、新たにカスタムオーダープログラムも用意された。

「テーラーメイド」は全モデルをベースに、ボディカラー、トリディオンセーフティセル、フロントグリルを自由にカスタマイズできるサービス。『フォーツー』は96通り、『フォーフォー』は116通り、『カブリオ』はソフトトップのカラーも選べるため、480通りの組み合わせが可能となっている。

「スマート ブラバス テーラーメイド」では、上記に加えてアルミホイールなどのカラーも設定でき、ブラバスカラーのバンパーやサイドスカートも用意された。さらに、インテリアはシートやステアリングをはじめ、ステッチの色やパターンも自由に選択可能。まさにフルカスタムオーダーに限りなく近いプログラムといってよく、世界に1台だけのスマートに仕上げることができる。

新型ブラバスモデルに加え、テーラーメイドを利用した自分好みの個性的なモデルと、バリエーションが豊富となったスマート ブラバス。粋な大人にこそ似合いそうなこのクルマで街中を流せば、注目を浴びるのは間違いないだろう。

Text by Muneyoshi Kitani
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第129回 | 大人のための最新自動車事情

マッチョな軍人たちへ──愛国仕様のダッジチャージャー

『ワイルド・スピード』の第一作が公開されたのは2001年のことだ。主人公ドムの愛車は、圧倒的パワーをもつ古き良き時代のダッジ『チャージャー』。言わずとしれたマッスルカーである。あれから10余年。アメリカでは今、シリーズにたびたび登場する1960〜70年代の『チャージャー』の価値が上昇し続けている。なにしろ、このSUV全盛の時代にあって、現行の『チャージャー』『チャレンジャー』までもが10年間で70%も販売台数が伸びているのだ。そして、この人気を逃すまいとブランドもさまざまな限定車やオプションを設定。今年4月には、なんとも印象的なストライプのカスタムルックが登場した。

モダンマッスルカーの代表車種2台。ダッジ『チャージャー』と『チャレンジャー』

マッスルカーとは、広義では大排気量のV8エンジンを搭載するハイパフォーマンスのアメリカ車を指す。狭義では1968年から1971年にかけて作られた高性能でハイグレードなアメ車のこと。フルサイズのセダンやクーペ、後輪駆動車が多い。したがって、より正確にいうと、現行車種はマッスルカーではなく、ニューマッスルカーなどと呼ばれる。

そのモダンなマッスルカーのひとつが、ダッジブランドの現行『チャージャー』『チャレンジャー』だ。『チャージャー』は2ドアクーペで、いわば生まれながらのマッスルカー。『チャレンジャー』は4ドアセダンで、フォード『マスタング』と同様にポニーカー(手頃な価格のスポーティカー)として誕生した。いずれも現行型は第三世代で、発表されてから10年以上の時を刻んでいる。にもかかわらず、本国では依然高い人気を誇るモデルだ。

その証拠に、4月のニューヨークオートショー2019において、2台の上位グレードに設定可能な特別パッケージが発表されると、それだけでニュースになったほど。パッケージの名称は「stars & stripes edition(スター・アンド・ストライプス・エディション)」。ミリタリーをテーマとする渋いストライプをまとったカスタムルックのオプションである。

テーマは星条旗。フロントからリアにかけて走る極太のサテンブラック・ストライプ

「stars & stripes edition」は、その名のとおり、「スター・アンド・ストライプス(星条旗)」をテーマにしたカスタムルックだ。最大の特徴は、フロントからリアにかけてボディを覆うようにペイントされたサテンブラックのストライプ。この極太ストライプの正面に向かって右側、つまりドライバーズシート側には、シルバーの縁取りが入っている。

シートはブラックのファブリック(布製)で、ヘッドレスト側面に刺繍されたブロンズのスターが目を引く。このブロンズカラーはシートとステアリングホイールのステッチにも使用されている。そのほか、ボディ側面にさりげなく描かれている星条旗、20インチホイール、前後のスポイラー、装備されるバッジ類は、すべてサテンブラック仕上げだ。

選択できるボディカラーは、「デストロイヤーグレイ」「F8グリーン」をはじめ、「グラナイトクリスタル」「インディゴブルー」「マキシマムスティール」「オクタンレッド」「ピッチブラック」「トリプルニッケル」「ホワイトナックル」の全9色。写真の『チャージャー』はデストロイヤーグレイ、『チャレンジャー』がまとっているのはF8グリーンだ。

軍人や愛国精神をもつマッチョたちのために設定されたカスタムルックのオプション

「統計によると、軍人が購入するアメリカンブランドのなかで、もっとも人気があるのはダッジ」。これはダッジのプレスリリースにある一文だ。とりわけ、彼らがもっとも多く選択しているのが『チャージャー』と『チャレンジャー』だという。つまり、軍人や愛国精神をもつマッチョな男たちのために設定されたのが今回の星条旗ルックというわけだ。

愛国精神はともかく、マッスルカーがマッチョな男に似合うのは『ワイルド・スピード』シリーズを見れば一目瞭然。日本人はよほど筋トレしないとむずかしいかもしれない。

なお、「stars & stripes edition」が設定されるのは『チャージャーR/T』『チャージャー スキャットパック』『チャージャーGT RWD』『チャレンジャーR/T』『チャレンジャーR/T スキャット・パック』『チャレンジャーGT RWD』の6車種。5月から発売される。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fiat Chrysler Automobiles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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