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第31回 | 次はどこ行く?プレミアムな大人の旅行

“日本のペリエ”を味わう──只見線に乗って奥会津へ

カフェやレストランで愉しめる炭酸水といえば、南フランス生まれのペリエや北イタリアで採水されるサンペレグリノが定番。しかしここ日本にも、天然のスパークリングウォーターがあることをご存じだろうか。それが雪深い福島県奥会津地方にこんこんと湧き出している、『奥会津金山 天然炭酸の水』だ。

かつて上流階級に愛飲された『奥会津金山 天然炭酸の水』を、現地に訪れて味わう

明治時代に「太陽水」と呼ばれて上流階級に愛飲され、瓶詰めされてヨーロッパにも「薬泉」として輸出していた『奥会津金山 天然炭酸の水』。100年ぶりに採水が再開された現在では、2016年の伊勢志摩サミットで各国首脳が喉を潤す卓上水としても提供されるなど、知る人ぞ知る由緒正しき銘柄だ。

1日に3500Lと限られた量しか採取することができないプレミアムな炭酸水だが、「分とく山」「レフェルヴェソンス」「鮨 三谷」など、誰もが知る有名店で採用されているほか、通信販売で購入することもできる。

しかし、都会と現地で飲むのとでは、同じ天然炭酸水でもその価値や風情が大きく異なる。やはり現地で味わってみたくなるのが人情だろう。そこで、天然炭酸水が湧き出す井戸を求めて、福島県大沼郡金山町を目指した。

絶景列車として名高いJR只見線に乗り、車窓を流れる雪景色を堪能しながら奥会津へ

四方を緑豊かな山に囲まれ、冬には特別豪雪地帯に指定されるほど雪深い金山町に行くには、とりわけ鉄路でアプローチするのがおすすめだ。

なにせ、会津若松駅と新潟県魚沼市の小出駅を結ぶJR只見線は、絶景列車として知られる鉄道ファン垂涎の路線。なかでも雪化粧をまとう冬は人気で、わざわざ海外から訪れる客も多い。

車窓を流れる雪景色を堪能しながら、下車したのは会津川口駅。2011年7月に発生した新潟・福島豪雨の影響により、ここから只見駅まで不通となっているため、井戸までは路線バスで向かう。自由乗降区間ゆえ、運転士に「大塩天然炭酸水」で下車したい旨を伝えておくとスムーズだろう。

沼田街道、国道252号線から少し入った森のなか。降り積もった雪を踏みしめながら分け入った先に、静かに湧き出る天然炭酸水の井戸はあった。たしかにゴボゴボと気泡を含む水が立ち上っている。

シャンパンを思わせる微細な泡立ち、全身で味わうこともできる奥会津の天然炭酸水

さっそく備えつけられたコップで湧き水をすくう。シャンパンかと見まがうほどの微細な泡立ちで、口に含むと──硬水の多いヨーロッパ産のそれと異なり平均硬度45の軟水という──まろやかな口当たり。東京から4時間以上もの旅路を経て出会っただけに感動もひとしおだ。

奥会津の天然炭酸水は飲むだけではなく、炭酸泉として全身で味わうこともできる。井戸のすぐ近くに共同浴場の大塩温泉があるほか、少し戻った湯倉温泉、会津川口駅からバスで10分の距離にある玉梨温泉など、源泉かけ流しの炭酸水を愉しめるスポットが目白押しだ。

しかもその湯温は40度超と、凍えた体を暖めるに最適。一般的に炭酸泉は冷泉が多いが、ここ金山町では「熱い炭酸泉」という温泉マニアも認める理想的な湯が湧出しているのだ。

せっかく行くのだから、炭酸泉で疲れをほぐした後は奥会津の山の幸を堪能したい。玉梨温泉「恵比寿屋旅館」や湯倉温泉「鶴亀荘」では、天然炭酸水とともに手の込んだ料理を愉しむことができる。

ここ日本にも天然炭酸水があるという発見のみならず、絶景と温泉、美食が楽しめる奥会津。真のリュクスとは何かを知る大人にこそ訪れてほしい場所だ。

Text&Photography by Jun Kumayama
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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第32回 | 次はどこ行く?プレミアムな大人の旅行

SUPヨガからニシタチまで──夏の宮崎を味わい尽くす

夏の宮崎は、LCCを賢く利用すれば贅沢なリゾート地となりうる穴場だ。訪れたいスポットや食の愉しみも多岐にわたる。たとえば、宮崎県南部のパワースポット、さまざまなマリンアクティビティが用意されたビーチパーク、宮崎の美しい海と滋味あふれるグルメ、そして日本最大級のスナック数を誇る歓楽街・ニシタチ。深淵なる宴遊の世を旅ライターの熊山准がお届けする。

「奇岩怪礁、紺碧の海、波状岩に砕ける白波」と謳われる日南市の鵜戸神宮

ある人が言っていた。「旅の始まりはその土地土地の神様にご挨拶をしてから」と。なるほど、朝一番に旅先の氏神に参るのは、その土地に「お邪魔します」と断りを入れ、同時に旅の安全を祈願するのにもってこいだ。そもそも神社を訪れるなら午前がよい。

県南の日南市にある鵜戸神宮は、ローカルからは「鵜戸さん」と呼ばれ親しまれる。「奇岩怪礁、紺碧の海、波状岩に砕ける白波」と謳われる通り、日向灘すれすれのエクストリームなロケーションに建つ古社である。

宮崎ならでは空と海の深い青色に、門や社の鮮やかな朱色のコントラストが美しい境内で、ひときわ目を引くのが洞窟内に鎮座する御本殿。その神秘的なたたずまいから、県内有数のパワースポットとしても知られている。

また、岩のくぼみに向かって玉を投げ入れる「運玉」もなかなか楽しい。旅の運勢を占ってみるのも一興だろう(筆者は外したが)。

青島でハンモックに揺られ、話題のSUPヨガやマリンアクティビティを愉しむ

鵜戸神宮からクルマで日南海岸を北上すると、波状に続く「鬼の洗濯板」が現れる。迷スポット好きなら、その途中にある、世界で唯一、イースター島公に特別許可を得て完全復刻したモアイ像が建ち並ぶ「サンメッセ日南」も訪れておきたい。

宮崎市郊外まで戻ってきたら、県内有数のサーフスポットにある青島ビーチパークでランチにしよう。ビーチパークは春から秋までの期間営業(2018年9月30日まで)で、エスニックフード、カリフォルニアロール、ハンバーガーといった真夏のビーチにぴったりの飲食店が点在し、海を見ながら食することができる。

食後はハンモックに揺られてのんびり波の音に耳を傾けるもよし、陸続きになった青島の青島神社を散策するもよし。また、近くの青島アクティビティセンターでSUPヨガなどのマリンアクティビティを愉しむもよしだ。

宮崎随一のグルメスポットでもあるニシタチで味わう宮崎牛の絶品ステーキ

青島で存分に海を堪能したら、宮崎市街でクルマを返却し、人口10万人あたり日本一のスナック数をほこる歓楽街・ニシタチへ。とはいえ、同エリアはスナックだけでなく宮崎随一のグルメスポットでもあり、数多の名店がひしめき合う。

宮崎牛を味わうのならステーキの名店「アパス」がおすすめだ。宮崎牛特選ロース100gのコース(5000円)は、口のなかでほろほろとトロける甘みたっぷりのサシが身上。デザートのチョコがけトーストもオーダーしておきたい。

また、宮崎といえば鶏肉も外せない。プロ野球・読売巨人軍の宮崎キャンプシーズンになると行列ができる「丸万焼鳥本店」は、豪快にあぶる炭火焼が絶品。あえて地鶏にこだわらず、生後1年以上の成鳥の旨味を追求した「もも焼き」(1200円)は、弾けるような食感と熟成された香りが癖になる。

肉のはしごの後はうどんで締めたい。宮崎うどんは最近流行りの柔らか系で、濃厚ないりこ出汁につける釜揚げうどんスタイルが定番。市民に愛される「釜揚げうどん 織田薪(おだまき)」は、これからスナック街へと繰り出す客から、スナック帰りの酔客まで、夜遅くまで賑わう。事実どんなに満腹であってもするすると胃に入ってしまうのだ。

女性が一緒なら、宮崎特産のマンゴーをふんだんに使ったシメパフェもおすすめである。ニシタチの中心部にある「フルーツ大野」では県産マンゴーをあしらったパフェをはじめ、数々のフルーツパフェがラインナップ。男性も思わず笑みがこぼれてしまうことだろう。

もちろんスナック巡りが楽しいのは言わずもがな。とりわけニシタチは良心的で、3000円もあれば飲み放題というのが通例となっている。1万円あれば数軒をハシゴできてしまうとか。これだけ安ければ、スナックを愉しむだけのために宮崎まで飛んでしまいたくなる。

LCCのジェットスターを賢く利用すれば、成田〜宮崎間が片道5990円の安さ

そんな贅沢な旅も、賢くLCCを利用してこそ。今回利用したジェットスターなら成田〜宮崎間が片道5990円(公式サイト及びモバイルアプリからの購入がもっとも安い)と、フルサービスキャリアに比べると高コストパフォーマンス。もっとも、運賃は空席連動型で、予約は早ければ早いほど、また平日ほど安くなる可能性が高くなるので、早めの予約をおすすめしたい。

あわせて現在、宮崎市では県外からの観光客を対象に先着1000名で宿泊費が1人1滞在2000円/泊オフになるキャンペーンを実施中だ。7月初旬現在、まだまだ余裕があるとのことなので、LCCとあわせて上手に利用し、宮崎の夜を愉しんでいただきたい。

Text&Photography by Jun Kumayama
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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