デスクに座りっぱなしでいると、『Apple Watch』本体がブルっと震えて運動を提案
『Apple Watch』の魅力のひとつは、四六時中モニターしてくれる健康マネージメント機能にありますが、実際に使ってみればもうひとつの魅力があることに気づくでしょう。ダイエットやワークアウト、ランニング、アクティビティなどに役立つ機能がそれです。
『Apple Watch』シリーズにデフォルトで内蔵されている運動系のアプリには、「アクティビティ」と「ワークアウト」があります(筆者はNike+バージョンを購入し、そこには特別に「Nike + Run Club」というアプリも用意されていますが、反射素材のナイロンベルトが欲しかっただけなので、実際にはアプリを使用していません)。
「アクティビティ」は健康を維持するために便利な、いわば統合運動量計。日々の運動量に対して消費したカロリーを表示する「ムーブ」、運動に費やした時間を表示する「エクササイズ」、立ち上がっていた回数・時間を表示する「スタンド」の3つの項目があり、あらかじめ立てた目標を達成できたかどうかを、1日ごとに円グラフ化してくれます。
また、その日の運動量が足りていなかったり、1時間以上にわたって座りっぱなし、寝たきりだったりすると、『Apple Watch』本体がブルっと震え、もっと歩いてみることや立ち上がってみることを提案されます。おのずと運動不足が解消されるというわけです。
ミドル男性の運動管理デバイスに求められているのはオン・オフ不要の自動計測機能
とりわけ筆者が感動したのがもうひとつの内蔵アプリ「ワークアウト」です。これは「ウォーキング」「ランニング」「サイクリング」「ヨガ」「スイミング」など、各種運動の時間やカロリーを記録してくれるアプリですが、すごいのはユーザーが計測を始めなくても、たとえば1km以上歩いていると(2kmのときもあり)、「もしかして屋外をウォーキングしています?」とばかりにエクササイズの記録をうながしてくるところ。
よくありがちな「せっかく運動したのに記録されていなかった」という事態になりにくいうえ、単なる移動がエクササイズ扱いになるため、「もう少し歩いてみようか」といったモチベーションアップにもつながります。しかも、エクササイズが終わったはずなのに実際は終了していないと、「もしかしてもうエクササイズは終わってます?」と聞いてくるのです。賢い!
そのほか、別売りアプリの「AutoSleep」を利用すると勝手に睡眠状態を常時モニタリングしてくれます。これからの時代、とくにミドル男性の健康・運動管理デバイスには、ユーザーによるオン・オフ不要の自動計測機能が「求められている要素」だと思うんです。
『Apple Watch』単体で外出可能。大型化するiPhoneではランニングはもう無理?
さらにうれしいのは、ランニングのような激しい運動シーンで、ほかのデバイスを持たずに『Apple Watch』単体で外出できるところです。iPhoneもデフォルトの「ヘルスケア」アプリにアクティビティトラッカー機能があり、各種ランニングアプリも揃っていますが、本体サイズも重量も年々肥大化しているために正直いって邪魔。その点、『Apple Watch』は手首にまくだけ、重量もわずか30g(40mmモデル)なので気になりません。
こうした運動の記録はもちろんですが、iPhoneから好きな音楽を転送したり、Apple Musicが利用できたりするので、『Apple Watch』とワイヤレスイヤホンさえあれば音楽リスニングもOK(筆者はSpotifyユーザーなので対応希望)。「Suica」を入れて電子マネー決済することもできるので、小銭を持たなくてもコンビニエンスストアで水やプロテインを買ったり、ちょっと遠出した帰りには電車やタクシーを利用したりすることもできます。
各種の通知もウザくない。健康に関する情報を教えてくれるならかえってありがたい
加えてセルラーモデルなら、iPhoneへの電話やSMS、メールを『Apple Watch』で受けることもできます。もちろんメッセンジャーやLINEにも対応。通知方法はiPhoneに準拠するため、なんでもポンポンと通知がくるわけではありません(筆者は電話とSMSのみ即時通知されるよう設定)。通話しているその姿はまるで子どもの頃に見た特撮ドラマのよう。メッセージ系の返信には定型文の送信のほか、音声によるテキスト作成ができます。
つまりワークアウトのみならず、iPhoneを忘れても普通に生活できてしまうのが『Apple Watch』の強み。ちなみに、自宅やオフィスでiPhoneがどこにあるかわからなくなっても、『Apple Watch』からiPhoneを鳴らすことによって探すこともできるそうです。もっとも、遠く離れた場所から「iPhoneを探す」機能は未対応。また、iPhoneと『Apple Watch』のペアリングが切れた際の通知機能もないのがちょっと不思議ではあります。
使い始めた当初は手元にいろんな通知がくるのはウザいかも…と感じていた『Apple Watch』ですが、自分の健康に関する情報や、最低限キャッチしたい電話やメールであればかえってありがたい。iPhoneのサブ機としても優秀かもしれません。
Text&Photography by Jun Kumayama
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)