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第26回 | 次はどこ行く?プレミアムな大人の旅行

美味なる船を味わう──噂に聞くにっぽん丸の美食とは

旅と食は切っても切り離せない関係にあるが、とりわけラグジュアリークルーズでは食のクオリティが極めて重要となる。にっぽん丸は「美味なる船」とも呼ばれるように、食への強いこだわりが高い評価を受けている豪華客船だ。旅ライター熊山准がお届けする「にっぽん丸ラグジュアリークルーズガイド」。今回は、にっぽん丸ならではの“食の愉しみ”を紹介する。

寄港地ごとに現地調達する旬の食材や名産品、メガクルーズ船にはない食の愉しみ

豪華客船の旅は、海の上を移動する時間そのものが旅の大きな目的だ。船内には日がな一日海を眺めて過ごせるバルコニーがあり、オーシャンビューのジャグジーがあり、いつでも身を預けられるベッドがある。そうしているうちに次の港にたどり着く。ホテルが移動する。それが豪華客船の醍醐味だ。

となると居心地の次に気になるのが食である。日本を代表する豪華客船にっぽん丸は、「食のにっぽん丸」「美味なる船」とも称され、グルメ目的でリピートするファンが存在するほど、食へのこだわりの強い客船として知られている。

こだわりの最たるものが、食材だ。

なにせ、その多くが寄港地ごとの現地調達。旬の食材や名産品など、その時その土地でしか手に入らない食材──例えば大分・別府ならば佐賀関で水揚げされる関アジを、鹿児島・種子島ならばさつまいもブランド安納芋を──毎朝仕入れて船内で提供しているのだ。

こうした小回りが利くのも乗客定員400名というほどよい規模のおかげ。このオーダーならば、たとえお目当ての食材が不作や不漁で仕入れられなくても、臨機応変に別の旬の食材へと切り替えて提供することもできる。こうした細やかな食へのこだわりが、メガクルーズ船にはない、にっぽん丸ならではの愉しみなのだ。

出港地にちなんだメニューがずらりと並ぶ「美味なる船」にっぽん丸のフルコース

では、「九州一周クルーズ」の初日のディナーを紹介しよう。

この日は福岡市場で仕入れたカンパチ、いさき、太刀魚の刺身をはじめ、真鯛と蕪の蒸し物、真鯛と新生姜を使った鯛飯など、出港地にちなんだメニューがずらり。デザートには大分県産の梨とパパイヤを用いるなど、次の寄港地への期待を膨らませてくれる心憎い演出もあった。

現地調達の食材とともに、同船の名物としてファンが多いのが、デラックス、スイート宿泊者専用のオーシャンダイニング「春日」でリクエストすれば無料で提供される特製ローストビーフだ。ほどよくサシの入った霜降りのローストビーフは、まるでトロのようななめらかさ。滞在中にぜひとも一度味わっていただきたい一品だ。

また、別料金となるものの、にぎり寿司を付け加えることや、コース自体をパスして寿司バーで食事をすることもできる。筆者はここで、獺祭や〆張鶴といった日本各地の名酒とともに、ホタテの海苔巻きや穴子の白焼き、お造りといった前菜をはじめ、濃厚な肝を載せたカワハギ、淡くとろけるマグロなど様々なネタを愉しんだ。

食後は船内に2カ所あるオーセンティックなバーで美食の余韻に浸るのもよいだろう。まだまだ食べ足りないという向きには、7階のリドテラスの特製ハンバーガーやホットドッグが、さらには2階のメインダイニングでも毎晩異なるメニューの夜食が、無料で提供されている。

己を律しないとついつい食べてしまう、美食の船にっぽん丸。5日間におよぶクルーズの後、体重計に乗っておののいたことを忠告として最後に付け加えておこう。

Text&Photography by Jun Kumayama

Series:にっぽん丸ラグジュアリークルーズガイド

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第32回 | 次はどこ行く?プレミアムな大人の旅行

SUPヨガからニシタチまで──夏の宮崎を味わい尽くす

夏の宮崎は、LCCを賢く利用すれば贅沢なリゾート地となりうる穴場だ。訪れたいスポットや食の愉しみも多岐にわたる。たとえば、宮崎県南部のパワースポット、さまざまなマリンアクティビティが用意されたビーチパーク、宮崎の美しい海と滋味あふれるグルメ、そして日本最大級のスナック数を誇る歓楽街・ニシタチ。深淵なる宴遊の世を旅ライターの熊山准がお届けする。

「奇岩怪礁、紺碧の海、波状岩に砕ける白波」と謳われる日南市の鵜戸神宮

ある人が言っていた。「旅の始まりはその土地土地の神様にご挨拶をしてから」と。なるほど、朝一番に旅先の氏神に参るのは、その土地に「お邪魔します」と断りを入れ、同時に旅の安全を祈願するのにもってこいだ。そもそも神社を訪れるなら午前がよい。

県南の日南市にある鵜戸神宮は、ローカルからは「鵜戸さん」と呼ばれ親しまれる。「奇岩怪礁、紺碧の海、波状岩に砕ける白波」と謳われる通り、日向灘すれすれのエクストリームなロケーションに建つ古社である。

宮崎ならでは空と海の深い青色に、門や社の鮮やかな朱色のコントラストが美しい境内で、ひときわ目を引くのが洞窟内に鎮座する御本殿。その神秘的なたたずまいから、県内有数のパワースポットとしても知られている。

また、岩のくぼみに向かって玉を投げ入れる「運玉」もなかなか楽しい。旅の運勢を占ってみるのも一興だろう(筆者は外したが)。

青島でハンモックに揺られ、話題のSUPヨガやマリンアクティビティを愉しむ

鵜戸神宮からクルマで日南海岸を北上すると、波状に続く「鬼の洗濯板」が現れる。迷スポット好きなら、その途中にある、世界で唯一、イースター島公に特別許可を得て完全復刻したモアイ像が建ち並ぶ「サンメッセ日南」も訪れておきたい。

宮崎市郊外まで戻ってきたら、県内有数のサーフスポットにある青島ビーチパークでランチにしよう。ビーチパークは春から秋までの期間営業(2018年9月30日まで)で、エスニックフード、カリフォルニアロール、ハンバーガーといった真夏のビーチにぴったりの飲食店が点在し、海を見ながら食することができる。

食後はハンモックに揺られてのんびり波の音に耳を傾けるもよし、陸続きになった青島の青島神社を散策するもよし。また、近くの青島アクティビティセンターでSUPヨガなどのマリンアクティビティを愉しむもよしだ。

宮崎随一のグルメスポットでもあるニシタチで味わう宮崎牛の絶品ステーキ

青島で存分に海を堪能したら、宮崎市街でクルマを返却し、人口10万人あたり日本一のスナック数をほこる歓楽街・ニシタチへ。とはいえ、同エリアはスナックだけでなく宮崎随一のグルメスポットでもあり、数多の名店がひしめき合う。

宮崎牛を味わうのならステーキの名店「アパス」がおすすめだ。宮崎牛特選ロース100gのコース(5000円)は、口のなかでほろほろとトロける甘みたっぷりのサシが身上。デザートのチョコがけトーストもオーダーしておきたい。

また、宮崎といえば鶏肉も外せない。プロ野球・読売巨人軍の宮崎キャンプシーズンになると行列ができる「丸万焼鳥本店」は、豪快にあぶる炭火焼が絶品。あえて地鶏にこだわらず、生後1年以上の成鳥の旨味を追求した「もも焼き」(1200円)は、弾けるような食感と熟成された香りが癖になる。

肉のはしごの後はうどんで締めたい。宮崎うどんは最近流行りの柔らか系で、濃厚ないりこ出汁につける釜揚げうどんスタイルが定番。市民に愛される「釜揚げうどん 織田薪(おだまき)」は、これからスナック街へと繰り出す客から、スナック帰りの酔客まで、夜遅くまで賑わう。事実どんなに満腹であってもするすると胃に入ってしまうのだ。

女性が一緒なら、宮崎特産のマンゴーをふんだんに使ったシメパフェもおすすめである。ニシタチの中心部にある「フルーツ大野」では県産マンゴーをあしらったパフェをはじめ、数々のフルーツパフェがラインナップ。男性も思わず笑みがこぼれてしまうことだろう。

もちろんスナック巡りが楽しいのは言わずもがな。とりわけニシタチは良心的で、3000円もあれば飲み放題というのが通例となっている。1万円あれば数軒をハシゴできてしまうとか。これだけ安ければ、スナックを愉しむだけのために宮崎まで飛んでしまいたくなる。

LCCのジェットスターを賢く利用すれば、成田〜宮崎間が片道5990円の安さ

そんな贅沢な旅も、賢くLCCを利用してこそ。今回利用したジェットスターなら成田〜宮崎間が片道5990円(公式サイト及びモバイルアプリからの購入がもっとも安い)と、フルサービスキャリアに比べると高コストパフォーマンス。もっとも、運賃は空席連動型で、予約は早ければ早いほど、また平日ほど安くなる可能性が高くなるので、早めの予約をおすすめしたい。

あわせて現在、宮崎市では県外からの観光客を対象に先着1000名で宿泊費が1人1滞在2000円/泊オフになるキャンペーンを実施中だ。7月初旬現在、まだまだ余裕があるとのことなので、LCCとあわせて上手に利用し、宮崎の夜を愉しんでいただきたい。

Text&Photography by Jun Kumayama
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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