ツイッターの何気ない発言の反響が大きく驚いております。。。
それに関して、今日はちょっと路線変更です。
プログラムコンポーネンツスコア(PCS)の採点について、
スケート未経験者でも分かりやすいようにお話したいと思います。
今回だけでもかなり長いので、何回かに分けてお話します。
ただ、実名でのブログのため、
言いたいこと全て言うとマズイかもしれないので、
全てを伝えることはできないことはご了承ください。
最初に、
物議を醸した私のツイートをご紹介します。
※羽生選手の表現力についてのコメントです。
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フィギュアスケートのジャッジとして、この差を評価できないことが非常にもどかしい。
他のジャッジとあまりに外れた評価をしたら資格停止。表現力だけ見たら何倍も差があったとしても。
結局、表現力に基準が定性的で曖昧と片づけられる。
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この時点で、この発言が関係者に見られたら少し怖いのです。。。
ただ、今のフィギュアスケートのジャッジの世界で、
私が感じる表現力の差を、正直に点数に反映できない中、
私がジャッジをする意味があるのか、
疑問を感じていたのであえて発信しています。
現状のフィギュアスケートの採点について、
問題点が分かるエピソードをお伝えします。
数年前のジャッジセミナーで紹介されたエピソードです。
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ジャッジの国際セミナーで、ヨーロッパ選手権の動画を見て、
ある選手の演技を採点をすることになった。
しかし、プログラムコンポーネンツのみ。
しかも、各ジャッジはプログラムコンポーネンツの内、1項目しか採点しない。
結果は、
スケーティングスキルを評価したジャッジは5点台が並び、
表現力、特にインタプリテーション(曲との調和)を評価したジャッジは9点台が並んだ。
実際のヨーロッパ選手権の点数を見てみると、
プログラムコンポーネンツは5項目とも6点~7点台が並んでいるだけだった。
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つまり、実際に競技として採点をすると、
プログラムコンポーネンツをそろえるように採点してしまう。
ジャンプのレベルに点数を合わせてしまうなど、
プログラムコンポーネンツをルール通りに採点していないとなってしまう。
https://www.jsfresults.com/data/fs/pdfs/comm/2018_program_component_chart_id_sp_j3.pdf
上記のリンク先に、プログラムコンポーネンツの各項目の評価ポイントが書かれています。
ご確認ください。
問題は、複数あると感じます。
①構造的な問題
②ジャッジの実情
①まずは、構造的な問題。
ジャッジには採点以外にも、色々とルールがあります。
特にキーとなるのは以下の点でしょう。
・大会で他のジャッジから点数が離れすぎた採点をしたら資格停止
・RTD(ラウンドテーブルディスカッション:試合後のミーティング兼反省会)で、
他のジャッジと判断が分かれた採点について詳細を聞かれる。
こんなことがあるので、他のジャッジと離れた採点をしたらまずいです。
だから、ジャッジは大きい大会ほど、その前に出た大会の点数を参考にします。
その点数と大きく離れない点数を出す→有名な選手ほど点数が固定化する
となります。
そうすれば、資格停止も、詰問にも合わずに済みます。
②ジャッジの実情も知って下さい。
ジャッジは基本的にはボランティアです。
ほとんどの人がサラリーマンをしながら、大会やテストの時にジャッジをしています。
昔取った杵柄でスケーター目線でジャッジをします。
舞台・ダンス・芸術など感性を高めましょうとは推奨されますが、
そこまでできる人は多くありません。
なので、滑りの技術がPCSのベースになってしまいます。
そもそも、フィギュアスケートは「スケート=滑る」だから、
滑りの基礎を磨けと教育を受けるわけです。
ダンスが上手くても、滑りが悪ければスケートしなくていいじゃんという人もいます。
なので、私がジャッジをするときは、
ダンスとして表現力を競うのは「アイスダンス」だけで、
「シングル」の競技は「ダンス」ではないと言い聞かせ、
表現力がどうかと思う選手にも、割り切って点を出したりします。
※私はシングルのみのジャッジなので。
難しいジャンプを跳んだ選手が上位に来るのが、観戦したら分かるはずです。
これは、技術点が高いからだけではなく、技術点(特にジャンプの難度)に引きずられて、PCSも上がるから。
結局、周りの採点とズレないようにすると、PCSなんて本当にルール通りつけられません。
このような形で、フィギュアスケートの採点はされています。
フィギュアスケートは「総合芸術」だと町田樹さんが言っていました。
その考えに私は大賛成です。
しかし、競技となるとそうもいかないのが実情かと。。
フィギュアスケートの技術を競うスポーツなのかなと。
総合芸術は、アイスショーとアイスダンスの話で、
シングルの競技は芸術的な演技をしても、「記録より、記憶には残る選手」になりやすい。
しかし、その両方を兼ね備えた羽生選手は最強だなと思います。
だからこそ、記憶より記録に残る選手には負けてほしくないと思う訳です。
グチも入り長くなりすぎました。。。
今後も、現状と本当のルールを踏まえてPCSの採点について深堀していきます。
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勇気ある記事ありがとう
どこかから圧力などあるかも分かりませんが、ありがたいと思います。
なるほど、アメリカ国内大会の異常な採点。非公認だから…と思っていたらとんでもない!ジャッジはあの非公認を参考にしたと?
アメリカの物議を醸したジャッジが先導した、国内大会でしたが。それに合わせるジャッジも、どうなのでしょう。
そしてまたルールを変更ですもんね?
御苦労なことですね。また、書ける範囲で圧力には負けず書いてください。
蘭
2019-06-02 22:14:00
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