昨年6月の第1回「熱海国際映画祭」でインターナショナル部門でグランプリを獲得した作品「ザ・レセプショニスト」(英・台湾合作)の市民、報道関係者向け試写会が3月18日夜、熱海市のホテル・サンミ倶楽部で開かれた。
試写会ではジェニー・ルー監督と主演女優のテレサ・デイリーさんが舞台あいさつを行った。台湾出身でロンドン在住のルー監督は「第1回のグランプリ受賞は大変光栄。その熱海で最初に上映され、大変うれしく思っている」と感謝の言葉を述べ、「この映画は海外でより良い仕事や生活を求めて移民する話。移民してもみんながいい思いをするわけではなく、金銭的に余儀なくされることや、そこで働く女性同士の絆を移民する側の立場からつまびらかに描いた作品」と話し、構想から7年かけて映画化した初長編映画の見どころを紹介。「いつの日か、熱海で映画を撮ってみたい」とも。
台湾のトップ女優で主演のデイリーさんは「みなさんこんにちは」と日本語であいさつ。熱海国際映画祭のグランプリ受賞で人気が高まり、現在ハリウッドでメジャーデビューの準備を進めていることなど近況を披露し、「この作品を通じて英国に渡って働くアジアの女性たちの大変さを学ぶことができた。本日の上映会をぜひ楽しんでください」と笑顔で市民と交流した。
同作品は熱海国際映画祭ばかりでなく、世界各国の映画祭で高評価を得ている。台湾で最優秀脚本賞を受賞したのをはじめ、エディンバラ国際映画祭(英国)でプレミア上映。ミラノ国際映画祭(イタリア)では最優秀作品賞と最優秀女優賞。サレント国際映画祭(同)では最優秀長編作品賞にノミネートされ、ソチ国際映画祭(ロシア)でグランプリを受賞。ルー監督は第40回アジアン・アメリカン映画祭(米国)で新人監督賞を受賞し、注目を集めている。
齋藤栄市長は「お二人を熱海に迎え、凱旋上映会を開催できることは、日本のハリウッドを目指す熱海に取って大きな喜び。毎年、熱海国際映画祭で、グランプリをとった作品がこのように熱海に戻ってきて凱旋上映を行い、日本の主要都市で商業上映される。『映画を作ったら、熱海に来い』と胸を張って言えるように熱海国際映画祭の発展を期待している」と述べた。
同作品は、5月10日からに富士宮市のイオンシネマで一般公開されるほか、6月以降に東京都、愛知県、大阪府でも上映を予定している。初回のグランプリ作品がワールドワイドの評価を得たことで6月28日に開幕する第2回熱海国際映画祭ががぜん注目されるところとなった。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
■ザ・レセプショニスト イギリスと台湾の合作でロンドンの不法風俗マッサージパーラーが舞台。台湾から来ている留学生がアルバイトがなく仕方なく受付嬢として働く。そこで見る客と女性との人間関係、お金とセックス、暴力に縛られた虚構の世界などを彼女の視点を通じて、アジア系の人たちのロンドンでの生活ぶりなどを交えて社会的に描いている。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。