熱海国際映画祭実行委員会の髪林孝司業務執行担当(フォーカス代表取締役)は5月20日、市役所で昨年6月に熱海市で開催された「第1回熱海国際映画祭」の収支に関する調査結果を公表した。
赤字額は昨年9月に公表した約61万円から約1465万円に大きく下方修正した。このうち、5月17日時点での未払いは、レッドカーペットの企画制作やKポップイベント「パク・シフ スペシャルトークショー」などを行ったスカパー・ブロードキャスティングの250万円(750万円は支払い済み)をはじめ、グランプリ賞金、家賃、ビデオレンタル会社、テレビ制作会社、音響会社、弁護士事務所、トートバッグ、審査委員ギャラなど14社約896万円。これらの返済はフォーカス社が来年3月までに全額支払い、市へは迷惑をかけないと文書で約束したという。
支払いが遅れていることについて髪林氏は「長年の業界の慣行で受注発注が口頭での契約が多く、契約書や覚書を取り交わしていなかったのが主な原因」とし、「本来ならグランプリ賞金や仕入れが発生するホテルの料金を先にするのが筋だが、支払いを猶予してくれるところを後回しにし、待てないところに先に支払った。市民の皆様に多大な心配、ご迷惑をおかけし、深くお詫びする」と謝罪した。
未払い分のグランプリ受賞作品「ザ・レセプショニスト」(英・台合作)のジェニー・ルー監督に対する賞金100万円については、3月18日にルー監督と話し合い、今年6月末までに支払うことで了承を得ているという。
実行委の一人、齋藤栄市長は「大きな未払金はあるが、会計上は問題なかったと考えている。スカパー社への未払いは8月決算の後にでてきた。分かった時点で公表すべきだった。実行委員会の代表はフォーカス社だが、税金を投入しているので管理、監督が十分でなかった。反省すべき点はある」と陳謝した上で、このように述べた。
「新しい映画人たちの才能を発見するというのがこの映画祭のテーマ。新しいチャレンジが認定されるには一定の期間が必要。国際映画祭を熱海で行うことはカンヌ映画祭などと同じように熱海のブランドイメージ アップにつながる。すでに84の国と地域から1234作品の応募があり、市内事業者も準備を進めていることから予定通り、第2回熱海国際映画祭を開催したいと考えている」
来月28日開幕予定の「第2回熱海国際映画祭」(6月28日から7月1日)は実行委員会の構成を一部変えて予定通り開催する。ポスターも出来上がり、チケットも週明けから販売を開始する。
新たな実行委はスカパー・ブロードキャスティング、イオンエンターテインメント、全日空商事が離れ、伊東園ホテルズ、ホテルサンミ倶楽部、アルゴ・ピクチャーズが加わった。熱海市、フォーカスとともに構成する。
同映画祭は、熱海市の補助金500万円のほか、文化庁から文化芸術創造拠点形成事業補助金として1500万円の交付受けているが、森本要副市長は「会計はきちんと処理されており、不正はない。(文化庁も)今後の動向を注目しているが、今回も交付されるものと考えている」と見解を述べた。
メディアを騒がせた第1回熱海国際映画祭の債務処理計画にめどが立ったことで、第2回目の準備に拍車がかかった。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
■応募状況 4月現在世界84の国と地域から計1234本。
■オープニングセレモニー 6月28日午後4時30分から熱海後楽園ホテルで開催。インターナショナル部門のノミネート作品の紹介や招待映画「こころ、おどる」(監督・主演:尚玄、第7回沖縄英国際映画祭上映作品=日本)、「赤い原罪」(ムン・シング監督、2018年製作=韓国)のオープニング上映があり、監督、出演者が舞台挨拶する。
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