穏やかなるかなカルネ村 作:ドロップ&キック
<< 前の話 次の話 >>
なぜこんな挙動不審かと言えば、今回の内容っす。前半と後半の落差といいましょうか……
前半はとりあえずシリアス。とある対立が浮き彫りになります。
後半は……シモいです(えっ? R-15タグが非暴力方面で仕事してる上に色んな意味でシモいです。大切な事なので二度いいました。
という訳でそういうのが苦手な方は閲覧ご注意くださいませ(^^
さて後日。場所は変わってトブの大森林南西部の某所……
「やあ、待ってたよ」
と中身が空っぽの白銀甲冑はむしろ親しげに片手を挙げて”彼ら”を迎えた。
「先日は随分と大変だったみたいじゃないか?」
「……よくも抜け抜けと」
そう今にもギリッと音が聞こえそうなくらい奥歯を噛み締めるのは、見た目は
「私の友人曰く『見た目が派手なだけで、そんな大した事はしていない。精々嫌がらせ程度』そうだよ? 私なら問題なく対処できるとも言っていたかな?」
青年の後ろについていた一団から殺気があがるが、槍の青年は手を伸ばしてそれを制した。
「それなりに苦労したようだけど……その程度の実力で、友人の住む村に随分とナメた真似をしてくれたそうじゃないか? いい度胸にも程があるよ」
ツアーは竜の超感覚のせいか、かなり大雑把ではあるが法国で唐突に巻き起こった惨禍を把握していた。
モモンガが仕込んでいた色々強化した《チェイン・ドラゴン・ライトニング/連鎖する龍雷》と時間差で触媒召喚されたデスナイト×6での総死者数はざっと2000人以上~3000人以下というところか?
無論、一番市民に被害を与えたのは、半壊した神殿から搬送中の遺体が化けたデスナイトだ。
だが、同時に相変わらず油断のならない相手だとも思う。特に目の前の連中……
この世界では伝説のモンスターに数えられるデスナイト、それもモモンガがボーナスが付く”
1体で街ひとつを簡単に生きる者なき”死者の都”へ変えるデスナイトが6体もいたのに、その程度の死者で抑えているのだから。
「カルネ村の襲撃は想定外だ。かの村は襲撃リストには記載されてなかった……現場の独断だ」
「ふ~ん……それが言い訳になるとでも? 法国には監督責任という言葉はないのかい?」
口調こそ軽いが、ツアーの言葉に笑いは入っていなかった。
「ツァインドルクス=ヴァイシオン……我々をここまで呼び出した理由はなんだ?」
「フン。まあ、いいか。確かに君たち”
デスナイトがスレイン法国神都に齎した被害が極小に済んだ最大の理由が、この漆黒聖典の緊急出動だった。
実際、この連中が出張り素早くデスナイトを駆逐しなければ、法国の死者はどう少なく見積もっても万はいっていただろう。
その事態でさえ、
ツアーは面白くなさそうに森の奥に顔を向け、
「奥に陽光聖典隊員の遺体がある。我が友は君たちよりずっと寛容でね。村を襲撃した”
そう言い切ると気配を戦闘時のそれに切り替える。
その急に濃度をました殺気に思わず隊長以外の漆黒聖典は武器を構えようとするが、
「やめろ。安い挑発だ」
「漆黒聖典、一つだけ言っておく。私は友人ほど寛容にはできてないんだ。これ以上ふざけた真似をするなら……」
「全面戦争でもするか?
「それも吝かじゃないってことさ。ただ、その時は覚悟するといい……」
ツアーは声から温度を消し、
「彼は寛容で温厚だが、怒らせたら私よりずっと怖いぞ?」
「ほう……それは興味深い」
「なんだったら試してみたらどうだい? 私としてもスレイン法国という名が歴史用語になるのは大歓迎なんだ」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
さて、再び場所は変わってリ・エスティーゼ王国、王都。
ロ・レンテ城内、ヴァランシア宮殿、離宮……別名”ラナーの勉強部屋”
原作と呼ばれる世界とは少しだけ異なる風景が王城にはあった。
そう大きく分けて三つの建物から成り立つ王族が住まうヴァランシア宮殿……より少し離れた場所に、こじんまりとした離宮が建っているのだ。
幼き日のラナーが、記憶に残る限り生まれてはじめての
彼女はみかけはただの瀟洒な館だが、実はラナーと”
ちなみに調度品に擬態していたり他の何気ない日常品に紛れていたり、あるいは壁紙やカーペットやシャンデリアなどの内装自体に仕込まれてる魔法的な品々は先生に着工祝いや新築祝い名目で貰ったものだ。
ラナーは「王城の中で最も安全な居場所」であるこの離宮をこよなく愛していた。
なにしろこの離宮には先生との思い出が詰まっているのだ。
思えば先生に初めてを捧げたのもこの場所だった。
破瓜の痛みに驚くも、それが強い快楽となって思わず緩くなり、盛大に黄金水を放出してしまったの今となってはいい思い出だ。
その時も先生は「赤ちゃんみたいで可愛いよ、ラナー」と優しく頭を撫でてくれて……また漏らした。きっとそれで
それ以来、先生の前での放水は彼女のゾクゾクするほどのお気に入りだ。よほど彼女の
今では
先生も可愛いと一部分を膨張させながら喜んでくれるし、排泄行為という不浄で恥辱な姿を先生に見られて嬉しい。
これがきっと先生の国の言葉で言う”
あるいは需給バランスなのだろうと。
そしていくら
もうなんの勉強部屋なんだかツッコミたくなるが、きっとラナーなら期待を裏切らずにサムズアップしながらイイ笑顔で言ってのけてくれるだろう。
『もちろん保健体育の実技の為ですわ♪ そのためにわざわざこの離宮を建てたんですもの♪』
と……
そして彼女が好むのは
何やらその幼さをそこはかとなく残す体形にさえ作為的なものを感じるが……
ちなみにその多彩さの一例だが……ヒントを言うなら、彼女は”犬好き”だ。
それだけ聞くなら原作と同じだが、『自分がなりたいくらい犬が好き』というコメントを聞く限り、どうやら違うベクトルのようだ。
好意的な解釈をするなら、現在進行形で滅び行く王国の王女として何かとストレスが溜まってるので、水分と一緒に体外へ放出したいのだろう。
絶対、違うだろうが。
そして今、先生以外の殿方があまり訪れることのないこの場所に、珍しい部類に入る客が訪れていた。
勿論、先生ではない。
そう、
「うふふ。随分と急なお越しですのね? ストロノーフ様」
読んでいただきありがとうございました。
前半は、やはりというべきか空気がギスギスしとります。その場に居合わせた気の小さい人間なら気絶しかねない空気感がでていれば嬉しいね~と。
そして最早その対立構造の中にはまり込んでるモモンガ様です。
前半のシリアスを台無しにする後半戦、実は黄金姫じゃなくて黄金(水)姫だったというオチなのですよ(ナンダッテー
いや~、ラナーをヒロインの一人に昇格させる時点から考えていたネタでした(^^
でも次回から、ガゼフと部分的には割と真面目な話題があったりなかったり……