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第30回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

7代目となるBMWの中核モデル、新型『5シリーズ』

デビューは1972年。これまで6世代にわたり累計で760万台を販売したBMWの中核モデル。いわずとしれた『BMW 5シリーズ』である。俗にEセグメントと呼ばれ、『メルセデス・ベンツ Eクラス』『アウディ A6』『トヨタ クラウン』などの名車がひしめいているカテゴリーに属する。そのなかでも、特に走りの愉しさに定評がある『5シリーズ』だが、ついに7代目となる新型が発表された。

ディーゼルから『Mスポーツ』まで、多様なモデルをラインナップする『5シリーズ』

BMWのキャッチコピーといえば、「駆け抜ける歓び」。新型『5シリーズ』でも、適切な素材を適切な部位に使用する「エフェシント・ライトウェイト」を追求し、アルミニウムや高張力鋼を多く採用することで、先代モデルに比べて車両重量は最大100kg削減した。もちろん、軽量化だけでなく、新設計のシャシー、低い重心位置、BMW 特有のバランスの取れた前後重量配分、極めて高いねじり剛性を与えられたボディによって、最高レベルのダイナミックなドライブ・フィーリングと優れた乗り心地を両立させている。

このライトウェイトボディを突き動かすパワートレインは、モデルによって多岐に渡る。ベースモデルである『530i』には2L 4気筒ガソリンエンジン、8 速ステップトロニック・トランスミッションを搭載。最高出力は185kW(252ps)/5200-6500rpm、最大トルクは、350Nm/1450-4800rpm、0〜100km/hの加速は6.2 秒である。

上位モデルである『540i』は、3L 6気筒ガソリンエンジン。最高出力は250kW(340ps)/5500-6500rpm、最大トルクは450Nm/1380-5200rpm、0〜100km/hの加速は5.1 秒に達する。

他にも、ディーゼルモデルでは、2L 4気筒ディーゼルエンジン、3L 6気筒ディーゼルエンジンを、ハイパフォーマンスモデルである『M』モデルには、4.3L 8気筒ガソリンエンジンを搭載。『M』モデルは、0〜100km/hをわずか4秒で加速する。また、プラグイン・ハイブリッドの『530e iPerformance(iパフォーマンス)』の導入も決定している。

駆動方式は、ガソリン、ディーゼルモデルともに、インテリジェント四輪駆動システム「xDrive」を選択可能だ。

スポーティ、エレガンス、スタイリッシュ…すべてを備えた『5シリーズ』の機能美

エクステリアの印象は、スポーティでエレガンス、そしてスタイリッシュ。BMWオートモービルのデザイン責任者、カリーム・ハビブ氏は「どのような環境にあっても、成熟したスタイリッシュでスポーティな外観が印象的です。フォーマルで精緻なフォルムは、存在感、美しさ、機能性をそれぞれ同じ比率で融合させたものとなっています」と語る。

サイズは、全長4935mm、全幅1868mm、全高1466 mm、ホイールベースは2975mmと、先代モデルよりもわずかに拡大。しかし、一見すると、車幅は数値よりも大きく感じる。これは、ヘッドライトのカバーガラスが伝統のキドニーグリルとダイレクトに連結されているからだ。

真横からのシルエットは、長いホイールベースに対してキャビンが比較的後ろ寄りに配置されたことで、滑らかにリヤ・エンドへと流れるルーフ・ラインに視線が引き寄せられる。またフロントのショート・オーバーハングにより、スポーティな印象が強調された。

リヤはフラットでワイドな車幅を強調した表情豊かなデザインだ。リヤ・コンビネーション・ライトは大きくサイドに回り込み、視覚的にサイドとリヤを結びつける。また、左右対称に配置された4本のエグゾースト・テールパイプも特徴的。形状は、4気筒エンジンは円形、6気筒エンジンおよびMスポーツ・パッケージは台形、M550iは長方形となっている。

さらに広くなった室内空間、BMWの新型『5シリーズ』は未来への道筋を示すクルマ

インテリアでは、室内の寸法を拡大したため、特に肘や肩周りには余裕が出現。さらに、後席のヘッドルームが拡大し、低い位置に配されたダッシュボードや自立式ディスプレイと相まって、室内空間が広くなったことが体感できる。ドア形状も最適化されており、より乗り降りがしやすくなった。

乗り降りだけでなく、かさばる荷物の積み込みも容易になっている。積み込み口の高さが低くなり、開口部を拡大。さらに、ラゲッジルームの容量は530Lに増加した。

室内では、音響効果も改善。ルーフライナーに防音素材を一体化することで、頭部付近の干渉音を吸収する。これにより、全体的な快適性のレベルが上がるばかりでなく、ドライバーと後席乗員との会話が容易になった。

BMW AG取締役会会長のハラルド・クルーガー氏は、新型『5シリーズ』を「未来への道筋を示すクルマ」と語る。技術的に新たなベンチマークを確立するだけでなく、感情に訴えるという面でも十分に刺激的な1台だ。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第61回 | BMWの最新車デザイン・性能情報をお届け

これはもはやモデルチェンジだ──ニューBMW 7シリーズ

フラッグシップクーペ『8シリーズ』に、フラッグシップSUV『X7』。立て続けに最上級クラスの新型を導入しているBMWだが、ついに本命が登場した。フラッグシップサルーン『7シリーズ』の改良新型だ。発表の舞台となったのは上海モーターショー。『7シリーズ』の世界販売台数の44%が中国市場であることを考えれば、これは妥当な選択だろう。現行型『7シリーズ』がデビューしてからおよそ3年半。どのように進化したのか見ていこう。

フラッグシップサルーンの象徴。旗艦SUV『X7』と同じ大型キドニーグリルを採用

フルモデルチェンジと比べると、改良、つまりマイナーチェンジは「なんとなく雰囲気が変わった」という程度の進化だと思うかもしれない。しかし、新型『7シリーズ』はビックマイナーチェンジと呼んでよいほど、従来と印象が異なる。その最大の理由が、従来比40%も大型化されたキドニーグリルだ。同じ「7」の名を冠する『X7』に採用された最新デザインを踏襲しており、フラックシップサルーンであることを強く主張している。

グリル変更に合わせて、フロントマスクも変更された。「BMWレーザーライト」をオプションで選択できるヘッドライトは、スリムな形状へ進化。バンパーにはクロームメッキのトリムが多用された。細めのヘッドライトとクロームメッキトリムのバンパーによって、スタイリッシュさと威厳、そしてラグジュアリー感を兼ね備えたしつらえとなっている。

リアの形状も大幅に変更。35mm幅と、薄型の3DタイプのLEDテールランプを採用し、左右をつなぐデイタイムライトストリップを新しく設けたことで、水平基調のワイド感がさらに高まった。エキゾーストパイプに装着されたマフラーエンドはバンパーと一体型だ。こちらもクロームメッキが施されて高級感が醸し出される。

デジタルメーターパネルとコントロールディスプレイにより操作性を高めたコックピット

インテリアはスタイリッシュで洗練されている。キルティングを施した高級な革張り、上質な木製デコレーションパネル、間接照明のアンビエントライトなどにより、調和のとれた贅沢な雰囲気が漂う。また、吸音ガラスの採用などで音響特性が強化され、同時に防音性能も向上。長距離を移動するドライブでも快適な空間を保ってくれそうだ。

コックピットには、「BMWライブコックピットプロフェッショナル」を標準装備。12.3インチの「デジタルメーターパネル」と10.25インチの「コントロールディスプレイ」が組み合わされた。このうち、デジタルメーターパネルにはナビゲーションの地図を表示するスペースをはじめ、個別に選択した情報を表示できるスペースが設けられている。そして、コントロールディスプレイは、わかりやすい表示や構成に加え、好みに応じてカスタマイズも可能。ドライバーに必要な情報を、常に適切なタイミングで提供してくれる。

操作性では、「BMWオペレーティングシステム7.0」を採用。おもな機能は「コントロール・ディスプレイのタッチ操作」「iDrive タッチ・コントローラー」「ステアリング・ホイールの操作部」「音声入力」「BMWジェスチャー・コントロール」の5つ。このなかから状況に応じて適切な操作方法を選択することができる。

BMWも対話型インフォテイメントシステムを搭載。「OK、BMW」で車内環境を最適化

新世代の車載コネクティビティシステム、「BMWインテリジェントパーソナルアシスタント」の搭載もトピックスだ。「OK、BMW」と呼びかけると音声アシストが起動し、リクエストすることで照明や空調、ミュージックなどを最適にコントロールしてくれる。音声アシスタントはAIを活用しているので、当然ながら使えば使うほど賢くなっていく。リクエストも抽象的で大丈夫だ。たとえば、「OK、BMW、少し疲れたよ」と言うだけで、リラックスできる空調や照明、音楽などにより室内を最適化してくれる。

ドライバーアシスタントシステムやパーキングアシスタントシステムが充実している先進技術も、『7シリーズ』の特徴だ。今回の改良では、フロントウインドウに設置されたステレオ・カメラが車線と前方車両を検知し、車線の中央付近を走行するようにステアリングを自動でアシストする「ステアリング&レーンコントロールアシスト」、さらに、直前に前進したルートを最大50mまで記憶し、その同じルートをバックで正確に戻る「リバースアシスト」を新しく採用した。もちろん、従来の運転支援機能、予防安全機能も引き続き搭載されている。

走行性能では快適な乗り心地とダイナミックなパフォーマンスのバランスを重視。「アダプティブサスペンション」「2軸エアサスペンション」を標準装備し、アクティブな制御でロールを安定化する「インテグラルアクティブステアリング」をオプションで設定した。

改良新型BMW『7シリーズ』は欧州で4月発売。日本には今年夏以降に上陸する?

エンジンのライナップは、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、プラグインハイブリッドの3種類。

ガソリンエンジンを積んだモデルでは、「M760Li xDrive」が頂点だ。6.6L V12エンジンを搭載し、最高出力585hp/5250〜5750rmp、最大トルク850Nm/1600-4500rpm。最高速度はリミッターの作動により250km/hに抑えられたが、0-100kmの加速は3.8秒を誇る。

中核を成すモデルは「750i xDrive」。4.4L V8エンジンを搭載し、最大出力は530hp/5500〜6000rpm、最大トルクは750Nm/1800〜4600rpmを発揮する。最高速度は、やはりリミッターの関係で250km/hに抑えられ、0-100kmの加速は4.0秒。このスペックは、ロングホイールベースの「750Li xDrive」も同じである。

ディーゼルエンジンを搭載したモデルは、「750d xDrive」「740d xDrive」「730d xDrive」「730d」の4モデルで、それぞれにロングホイールベースの「L」が存在する。そして、プラグインハイブリッドモデルは「745e」。最大出力286hp/5000-6000rpm、最大トルク450Nm/1500-3500rpmの3.0L直6ターボと、最大出力113ps、最大トルク265Nmを発揮するモーターの組み合わせ。最高速度は、やはりリミッターの関係で250km/h。モーターだけでも140km/hまで加速できる。また、EVとして50〜58kmは走行することが可能だ。

新型『7シリーズ』は欧州で4月からの発売が予定されており、日本にも夏以降に上陸するとされている。改良型とはいえ、新世代BMWのデザインアイコン、最先端の運転支援機能、そして音声アシスタントと、かなり変更点が多いので、日本での発売が楽しみだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) BMW AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
The new BMW 7 Series オフィシャル動画
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