editeur

検索
サービス終了のお知らせ
第2回 | ブガッティの最新車デザイン・性能情報をお届け

ヴェイロンの後継モデル、ブガッティ『シロン』見参

2016年3月のジュネーブモーターショーでワールドプレミアされたブガッティの最新モデルが日本上陸を果たした。ブガッティ・ジャパンは、生産終了した『ヴェイロン』の後継モデルとなる『シロン』を日本初公開。これまでブガッティ最速モデルだった『ヴェイロン グランスポーツ』の1200psを大幅に超える1500psという途轍もないパワーを発生し、0-100km/hを2.5秒に満たない時間で加速する超弩級のスーパーカーが、いよいよ日本の街中を走るのだ。

2015年に生産を終了した1000ps超のスーパーカー『ヴェイロン』の後継モデル『シロン』

先代モデルの『ヴェイロン』については、おそらくクルマ好きの大人の多くが知っていることだろう。2005年の東京モーターショーで市販型が発表されたヴェイロンは、1001psという最高出力、400km/h超という最高速度、そして1億6300万円(当時)という価格など、すべてにおいて桁外れな「超」がつくスーパーカーとして世界中を驚かせた。

しかも、およそ10年間にわたって生産されながら、世界各国のオーナーが手にすることができたのは、クーペ、オープンモデルを含めてわずか450台。単純計算すると、年間45台しか作られなかったことになる。450台目となった最終モデルは『グランスポーツ ヴィテッセ ラ・フィナーレ』と名付けられ、2015年のジュネーブモーターショーで公開された。一説には中東の上顧客がオーダーした1台だったといわれている。

それからちょうど1年後の2016年3月。やはりジュネーブモーターショーでワールドプレミアされたのが、ヴェイロンの後継モデルとなる『シロン』である。

最高出力1500ps、最高速度420km/h、ヴェイロンを超えるスペックを持つ『シロン』

常識を超えるスペックを持っていたヴェイロンに続くモデルだけに、シロンもまた途方もない性能を持つスーパーカーだ。

搭載されるエンジンは、8.0L W型16気筒クアッドターボ。しかし、エンジン型式こそヴェイロンと同じだが、最高出力はヴェイロン グランスポーツが1200psだったのに対し、シロンは1500psにまで高められている。1500psを発生する市販車は、シロンが世界で初めてだという。最大トルクは1600Nm(163.2kgm)。このあり余るパワーを路面に伝えるために、駆動方式は四輪駆動が採用され、トランスミッションは7速のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)だ。

さらに、パワーアップによる車両の重量増を極力抑えるために、随所にチタンやカーボンファイバーなどの軽量素材が用いられているという。これらにより、0-100km/h加速は2.5秒以下、最高速度はじつに420km/h(リミッター作動)に達するというから、まさに史上最強のスーパースポーツといっていいだろう。

価格約3億円、生産台数500台…すでに3分の1が上顧客によってプレオーダー済み

一新されたデザインも、ヴェイロンをより進化かつ深化させたものとなっている。もっとも印象的なのは、サイドウィンドウからドアをぐるりと囲むように描かれた「C」のライン。

Cバーとも呼ばれるこの曲線は、ブガッティの創業者、エットーレ・ブガッティのサインをモチーフに生まれたもので、ご覧の通り、インテリアにも採り入れられている。また、ルーフ中央を走るラインは、戦前に作られたブガッティの美しいクーペ『T57アトランティック』から着想を得たものだ。

シロンの生産台数は、ヴェイロンよりも50台多い500台。しかし、日本円にしておよそ3億円もする超高価なクルマにもかかわらず、日本にお披露目された2016年11月10日時点で、すでに予定生産台数の3分の1にプレオーダーが入っていたという。

ブガッティによって選ばれた顧客のなかに日本人がいるのかどうかはわからないが、もしかすると、近い将来、日本のどこかでこの超弩級のスーパーカーを目にする日がくるかもしれない。

Text by Muneyoshi Kitani

ピックアップ
第5回 | ブガッティの最新車デザイン・性能情報をお届け

ブガッティLa Voiture Noire──その価格、なんと14億円

フランクフルト、デトロイト、パリ、そして東京。世界各地で開催される大規模なモーターショーのなかでも、ジュネーブモーターショーは特別な存在感を放つ。煌びやかで猛々しいスーパーカーが数多く展示されるからだ。その別名は“スーパーの祭典”。今年もフェラーリやランボルギーニがここで新型車を披露した。しかし、今回、来場者やメディアの注目をもっとも集めたのは、おそらくこの一台だったのではないか。ブガッティ『ラ・ヴォアチュール・ノワール』。その価格、じつに約14億円という究極のワンオフモデルである。

ベースは『シロン』。創業者長男の生誕110周年を記念した一品製作のハイパーGT

車名の『La Voiture Noire(ラ・ヴォアチュール・ノワール)』は、フランス語で「黒いクルマ」という意味だ。その名が示すように、カーボンファイバーが多用されたボディは深みのあるブラックカラーをまとい、そこへボンネットからルーフへと背骨のように走る白いライン、ホイールから覗くブルーのブレーキキャリパーがアクセントを効かせる。

ベースは『シロン』。デザインのモチーフは、創業者エットーレ・ブガッティの長男であるジャン・ブガッティが1930年代に4台のみを生産した『Type 57 SCアトランティック』だ。これを現代的に再解釈してハイパーGTカーに仕立てた。『ラ・ヴォアチュール・ノワール』はジャン・ブガッティの生誕110周年を記念した一品製作車でもあるという。

同じ『シロン』をベース車両としているだけに、『SCアトランティック』というより、どこか40台が限定生産される『ディーボ』を彷彿とさせるが、リアセクションのデザインは明らかにそれと異なる。とりわけ6本出しのエキゾーストパイプは圧巻のひと言だ。

最高出力1500ps。『ディーボ』と同じ8.0L W16気筒クワッドターボエンジンを搭載

心臓部に積むのは『シロン』と同型の8.0L W16気筒クワッドターボエンジン。これは『ディーボ』とも共通する。最高出力1500ps、最大トルク1600Nmという凄まじいパワーを発生し、7速DCT(デュラルクラッチトランスミッション)を組み合わせる。ただし、『ディーボ』がワインディングロードでのハンドリングを重視した特別モデルであるのに対し、『ラ・ヴォアチュール・ノワール』は快適な長距離ドライブを実現するグランドツアラーとして作られる。最高速度や足回りなどのセッティングは多少異なるに違いない。

ブガッティ・オートモビルズを率いるステファン・ヴィンケルマンCEOは、『ラ・ヴォアチュール・ノワール』のワールドプレミアに際して次のようにコメントしている。

「ラ・ヴォアチュール・ノアールは、現在の自動車業界の最先端を示すもので、独自の高度なテクノロジーを彫刻のような美しさで包んだほかに類のないグランドツアラーです。我々のヘリテージ、新時代を見据えたスピード、テクノロジー、豪華さ、スタイリングに敬意をしめすもので、自動車のオートクチュールとも呼ぶべき一台といえるでしょう」

オーナーは、ポルシェの大株主で、フォルクスワーゲン元CEOのエンスージアスト

『ラ・ヴォアチュール・ノワール』は、ジャン・ブガッティの生誕110周年を記念したモデルだが、同時に「あるエンスージアスト」のために製作された一台でもある。そのオーナーの名は、フェルディナント・ピエヒ(Ferdinand Piech)。フォルクスワーゲンの元CEOであり、ポルシェの大株主、そしてスーパーカーコレクターとして知られる人物だ。

販売価格は1100ユーロ。邦貨換算すると、およそ13億7700万円という途方もない金額とされている。しかも、ジュネーブモーターショーでお披露目された『ラ・ヴォアチュール・ノワール』は完成前の車両で、インテリアデザインも決定しておらず、納車まであと数年が必要だという。そのため、最終的に20億円近くになるとの一部報道もある。いずれにしても、あまりに現実世界とかけ離れていて、我々はため息を漏らすほかなさそうだ。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) BUGATTI AUTOMOBILES S.A.S, gims.swiss
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Bugatti Geneva Motor Show 2019
ピックアップ

editeur

検索