モンスター級の心臓部を搭載した『コルベット』史上もっとも純粋なスポーツモデル
コルベットの歴史は古く、1954年に遡る。以来、モデルを重ねながら、現行型はC7型、つまり7代目コルベットとなる。この50年、7代の歴史のなかで、第4世代と第6世代にのみ存在していた伝説のモデルが『コルベット グランスポーツ』だ。ル・マンで勝つことを目的に、1963年にわずか5台のみ製造された特別なコルベット・プロトタイプの車名から取られたモデル。その『グランスポーツ』が、第7世代でも復活することになった。
新型『コルベット グランスポーツ』は、コルベット史上、もっとも純粋なスポーツモデルといっていいだろう。GM(ゼネラル・モーターズ)のチーフエンジニアいわく「市場に出すことのできるすべての技術を惜しみなく導入した」1台だという。なかでも特筆すべきは、モンスター級の心臓部。搭載する自然吸気の6.2L V8エンジンは、最高出力343kW(466ps)/6000rpm、最大トルク630N・m(64.2kg・m)/4600rpm。時速60マイル(約100km/h)に達する時間は、わずか3.6秒だ。
心臓部で発せられたパワーを足回りへと伝えるトランスミッションは2種類。8速ATはパドルシフトも備えており、瞬時の変速を実現した。7速ATはシフトチェンジの際、最適なエンジン回転数に合わせる「アクティブレブマッチング」を搭載している。
足回りは、フロント19インチ、リア20インチのレッドストライプ付きの軽量サテンブラックアルミホイールが引き締める。ミシュラン製のパイロットスーパースポーツタイヤを標準装備し、優れたグリップとトラクションを発揮してくれる。
スピードが速くなるほど重要になるのが制動性能だ。安心して加速できるのは、標準装備のブレンボ社製ブレーキがあるからだ。フロント370mm、リア365mmの大型ロータで、サーキット走行などの激しいパフォーマンスでも、高いブレーキング性能を発揮する。
特別な内外装が施された15台限定の『グランスポーツ ヘリテージ』も同時に発売
もちろん、日常使いへの配慮も忘れていない。モータースポーツ直系のスポーツ走行から快適なロングツーリング、日常の穏やかなドライブや悪天候にまで対応するために、ダイヤルを回すだけで、走りをカスタマイズできる「ドライバーモードセレクター」を搭載。「ウェザー」「エコ」「ツアー」「スポーツ」「トラック」と5つのモードを備え、最大12の機能を最適にセッティングしてくれる。
エクステリアは走りを追求した機能美に溢れている。ワイドボディは高いコーナリング性能をもたらし、エアロダイナミクスは強力なダウンフォースと冷却効果を生み出す。たとえば、軽量ボディと一体化したリアスポイラーは高速走行時の揚力を抑え、大型ベントはエンジン、ブレーキ、トランスミッション、ディファレンシャルを効果的に冷却する。
今回は、限定モデル『グランスポーツ ヘリテージ』も同時に発表。歴代グランスポーツの財産を継承し、ハッシュマークを施したワイドボディの際立つエクステリアとツートーンカラーで彩られた特別なインテリアを融合した。ボディカラーは、ブラック、アークティックホワイト、コルベットレーシングイエローの3色で、各5台、計15台のみ限定販売される。
GMいわく「エキサイティングかつ最新のパフォーマンスを体験することができる1台」である『コルベット グランスポーツ』。アメリカンスポーツを代表する1台に、また新たな歴史が刻まれた。
Text by Tsukasa Sasabayashi