editeur

検索
サービス終了のお知らせ
第32回 | 大人のための最新自動車事情

まるで動く別荘! キャンパー憧れのエアストリーム

団塊世代の定年退職と重なってやってきたアウトドアブーム。数ある屋外アクティビティのなかでも、余裕ある大人の趣味として盛り上がっているのがキャンピングカーだ。特に、多くのキャンパーが恋い焦がれ、憧れの的となっているのが「エアストリーム」。シルバーに輝くアルミ製ボディ、丸みを帯びた美しいフォルム、専用に設計されたインテリアなど、快適性とラグジュアリーさが魅力の高級キャンピングトレーラーである。

「流線形のフォルム」と「アルミ材によるボディ」を持つ高級キャンピングトレーラー

日本におけるキャンピングカーは、保管の難しさや交通事情から、ワゴン車を改造した「改造キャンパー」と呼ばれるモデルがほとんどだ。牽引が必要なトレーラータイプは一般的とはいえない。しかし、キャンプブームと高級品志向の高まりなどから、近年はより快適でゴージャズなキャンピングトレーラーに注目が集まっている。なかでも、独特のルックスとワンランク上の居住性を持つ「エアストリーム」は、機能面だけではなく、その歴史に心擽られる人も多い。

「少年時代に見た幌馬車をモチーフにして、キャンピングトレーラーが作りたい」と、さまざまな設計図を書いていた創業者のワーリー・バイアム。彼が1931年に完成させた1号機はすぐに売れ、後発モデルも作るたびに捌けていった。

丁寧にハンドメイドされるトレーラーは、さらなる快適さを追求して試行錯誤を繰り返し、もともと設計経験のあった飛行機の要素まで取り入れることとなる。飛行機は、丈夫なのは当然として、重量や空気抵抗など、多くの条件を満たさなければならない。バイアムは、限られた空間で快適に過ごすヒントを当時の先端技術に見出し、アメリカ文化お馴染みのアイテムであるキャンピングトレーラーに反映させたのだ。その結果が、「流線形のフォルム」と「アルミ材によるボディ」。コストがかかっても最良のものを提供したいと考えたバイアムの精神とともに、今も継承されているアイデンティティである。

(C)AIRSTREAM JAPAN

五つ星ホテル並みの豪華内装を備えた最上位モデル、エアストリーム「クラシック」

第二次大戦後、多くのエアストリームが放置状態にあったが、バイアムはオーナーたちに呼びかけてキャラバン隊を組織。エアストリームとの旅に出た。以降、庭で埃を被っていたキャンピングトレーラーたちは、毎年メキシコやカナダへ出かけるようになり、再び輝き始める。これが同車オーナー・クラブ設立のきっかけであり、現在では世界各国に総勢1万7000人ほどのメンバーが存在する。

このキャラバンで培った経験からユーザー目線の改良と工夫を施し、1980年代に入るとエアストリームはさらに進化。トレーラー自体の安定性はもちろん、牽引車の運転操作性まで計算し、内部レイアウトも使い勝手を考えたうえで手作りの家具が設置している。ともすれば、自宅以上に快適な空間かもしれない。

バリエーション豊富なエアストリームのラインナップのうち、比較的ロープライス(新車価格800万円前後)にもかかわらず、外観は他モデルと変わらないのが小型軽量の「スポーツ」モデル。ヒッチメンバーを取り付ければ乗用車で牽引でき、エントリーにもってこいのタイプとなっている。サイズは就寝可能人数3名の16フィートと、4名まで就寝できる22フィートの2タイプ。特にファミリーキャンプに十分なスペースと設備を備えた後者が人気だという。

(C)AIRSTREAM JAPAN
(C)AIRSTREAM JAPAN

US感たっぷりの見た目を残しつつ、ヨーロッパ市場向けに製作されたニューモデルも存在する。シャーシや内装、設備関係はすべてEUモデル専用設計で、新しい間取りと、女性に優しい収納配置なども採用。連結装置、灯火系カプラーはヨーロッパ製トレーラーを踏襲しているので、すでに欧州式ジョイントを付けている車なら改造せずに牽引が可能となっている。

もっともハイクラスなのが「クラシック」(メイン写真と下の写真)。ほかのトレーラーではオプション扱いのアイテムを標準装備し、高級素材を使った内装、くつろげるベッドルーム、奥行き深い収納スペースなど、その豪華さはまるで動く別荘。長い休暇で家族と出かけても、五つ星ホテル並みに心地良く過ごせるだろう。

(C)AIRSTREAM JAPAN
(C)AIRSTREAM JAPAN

国内正規ディーラー20周年を記念した日本仕様のスペシャルモデル

車体サイズ25フィート以上の本国向けエアストリームはワイドボディとなり、日本の車検に適合しない。そのため、少し細みに設計された日本仕様が存在する。正規ディーラーであるエアストリームジャパンが20周年を記念して2014年にオーダーした「インターナショナル25フィートFB」(1400万円前後)は、ジャパンナローボディに特別なデコレーションを追加。アニバーサリー仕様のエンブレムや刺繍入りレザーシート、鍵掛け、スクリーンドアガードなどが付いたスペシャルスペックとなっている。

(C)AIRSTREAM JAPAN
(C)AIRSTREAM JAPAN

幾度も繰り返される厳しいテストをパスしたモデルしか世に出ない高級キャンピングトレーラー「エアストリーム」。住宅と同じほどの耐久年数を誇り、メインドアから入れられるファニチャーしか取り付けられていないため、リフォームしながら一生付き合うことができる。生産台数が年間500台程度というのも惹かれるツボだろう。アウトドアを愉しむ大人のキャンパーにとって、いつか手に入れたい逸品といえる。

(C)AIRSTREAM JAPAN

Text by Sachio Kanai

Photo by (C)AIRSTREAM JAPAN(main)

取材協力
エアストリームジャパン株式会社
住所:埼玉県新座市大和田4-15-2
TEL:048-481-6462
FAX:048-477-6911
毎週水曜・第二木曜定休/10:00〜18:00
ピックアップ
第129回 | 大人のための最新自動車事情

マッチョな軍人たちへ──愛国仕様のダッジチャージャー

『ワイルド・スピード』の第一作が公開されたのは2001年のことだ。主人公ドムの愛車は、圧倒的パワーをもつ古き良き時代のダッジ『チャージャー』。言わずとしれたマッスルカーである。あれから10余年。アメリカでは今、シリーズにたびたび登場する1960〜70年代の『チャージャー』の価値が上昇し続けている。なにしろ、このSUV全盛の時代にあって、現行の『チャージャー』『チャレンジャー』までもが10年間で70%も販売台数が伸びているのだ。そして、この人気を逃すまいとブランドもさまざまな限定車やオプションを設定。今年4月には、なんとも印象的なストライプのカスタムルックが登場した。

モダンマッスルカーの代表車種2台。ダッジ『チャージャー』と『チャレンジャー』

マッスルカーとは、広義では大排気量のV8エンジンを搭載するハイパフォーマンスのアメリカ車を指す。狭義では1968年から1971年にかけて作られた高性能でハイグレードなアメ車のこと。フルサイズのセダンやクーペ、後輪駆動車が多い。したがって、より正確にいうと、現行車種はマッスルカーではなく、ニューマッスルカーなどと呼ばれる。

そのモダンなマッスルカーのひとつが、ダッジブランドの現行『チャージャー』『チャレンジャー』だ。『チャージャー』は2ドアクーペで、いわば生まれながらのマッスルカー。『チャレンジャー』は4ドアセダンで、フォード『マスタング』と同様にポニーカー(手頃な価格のスポーティカー)として誕生した。いずれも現行型は第三世代で、発表されてから10年以上の時を刻んでいる。にもかかわらず、本国では依然高い人気を誇るモデルだ。

その証拠に、4月のニューヨークオートショー2019において、2台の上位グレードに設定可能な特別パッケージが発表されると、それだけでニュースになったほど。パッケージの名称は「stars & stripes edition(スター・アンド・ストライプス・エディション)」。ミリタリーをテーマとする渋いストライプをまとったカスタムルックのオプションである。

テーマは星条旗。フロントからリアにかけて走る極太のサテンブラック・ストライプ

「stars & stripes edition」は、その名のとおり、「スター・アンド・ストライプス(星条旗)」をテーマにしたカスタムルックだ。最大の特徴は、フロントからリアにかけてボディを覆うようにペイントされたサテンブラックのストライプ。この極太ストライプの正面に向かって右側、つまりドライバーズシート側には、シルバーの縁取りが入っている。

シートはブラックのファブリック(布製)で、ヘッドレスト側面に刺繍されたブロンズのスターが目を引く。このブロンズカラーはシートとステアリングホイールのステッチにも使用されている。そのほか、ボディ側面にさりげなく描かれている星条旗、20インチホイール、前後のスポイラー、装備されるバッジ類は、すべてサテンブラック仕上げだ。

選択できるボディカラーは、「デストロイヤーグレイ」「F8グリーン」をはじめ、「グラナイトクリスタル」「インディゴブルー」「マキシマムスティール」「オクタンレッド」「ピッチブラック」「トリプルニッケル」「ホワイトナックル」の全9色。写真の『チャージャー』はデストロイヤーグレイ、『チャレンジャー』がまとっているのはF8グリーンだ。

軍人や愛国精神をもつマッチョたちのために設定されたカスタムルックのオプション

「統計によると、軍人が購入するアメリカンブランドのなかで、もっとも人気があるのはダッジ」。これはダッジのプレスリリースにある一文だ。とりわけ、彼らがもっとも多く選択しているのが『チャージャー』と『チャレンジャー』だという。つまり、軍人や愛国精神をもつマッチョな男たちのために設定されたのが今回の星条旗ルックというわけだ。

愛国精神はともかく、マッスルカーがマッチョな男に似合うのは『ワイルド・スピード』シリーズを見れば一目瞭然。日本人はよほど筋トレしないとむずかしいかもしれない。

なお、「stars & stripes edition」が設定されるのは『チャージャーR/T』『チャージャー スキャットパック』『チャージャーGT RWD』『チャレンジャーR/T』『チャレンジャーR/T スキャット・パック』『チャレンジャーGT RWD』の6車種。5月から発売される。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fiat Chrysler Automobiles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

ピックアップ

editeur

検索