ボディカラーは50年前のポルシェ『356B』に設定された伝統色「エトナ・ブルー」
『911タルガ4S デザインエディション』は、『911タルガ4S』の特別モデルだ。究極のカスタマイズを実現する「ポルシェ・エクスクルーシブ」による手作業で仕上げられるという。「デザインエディション」の名が示す通り、最大の特徴はエクステリア、特にカラーリングだろう。
ソリッドのボディカラーは、1960年と1961年にポルシェ『356B』の標準色として設定されていた「エトナ・ブルー」を再現した。このブルーに合わせて、「タルガバー」やホイール、ドア下のポルシェロゴ・ストライプをサテン仕上げのホワイト・ゴールド・メタリックでまとめている。
オープン状態にしたときに衆目に晒されるインテリアは、ダッシュボードやステアリング・コラムに至るまで、「グラファイト・ブルー」のレザー張りだ。ステッチやフロアマットの縁取り、そして空調の吹き出し口にはプロバンスブルーが組み合わされている。シートにはヘッドレストに「ポルシェクレスト(楯)」と呼ばれるエンブレム、センター・コンソールに備わる小物入れの蓋には『911タルガ』のシルエットデザインがエンボス加工されている。
高いボディ剛性とオープンの爽快感を両立する『911タルガ4S』の「タルガバー」
パワートレインはベース車両である『911タルガ4S』を踏襲。911シリーズの新パワートレインである3L水平対向6気筒エンジンを搭載し、最高出力420ps、最大トルク51kgmを叩き出す。「PTM(ポルシェ・トルク・マネージメント)」と呼ばれる、前後のトルク配分を電子制御する4WDシステムを搭載しているので、路面状況に応じて最適、最大の加速と走行性能を実現してくれる。
タルガトップが開くギミックも魅力のひとつ。機構自体は『911タルガ 4S」と同じで、リアガラスがスライドしてトップが収まるという仕組み。開閉時間は約19秒とフルオープンモデルよりも短く、急な天候の変化にも対応可能だ。
もちろん、タルガトップの魅力は、ギミックや開放感だけではない。オープンカーはその構造上、ボディ剛性が低くなりがちだが、「タルガトップ」は太いタルガバーの存在により、クーペ並の堅牢性を備えている。走りと安全性にこだわった結果生まれた、機能美に所以するデザインも魅力のひとつなのだ。
日本での価格や販売台数は執筆時点では発表されていないが、短期間限定販売ということなので、かなりのプレミアムになることは必至だろう。
Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C)Porsche AG