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第2回 | シボレーの最新車デザイン・性能情報をお届け

シボレー「エルカミーノ」でアメリカ文化を堪能せよ

アメ車好きならきっとニヤリとし、ドイツ車好きは少し眉をひそめそうなクルマ。それがクーペスタイルのピックアップトラック、シボレー「エルカミーノ」だ。エルカミーノは、お笑いタレントの明石家さんまの愛車としても知られていた。彼のお気に入りの映画である『ボディガード』でケビン・コスナー演じるフランクが乗っていた1987型エルカミーノと同型を所有し、映画のモデルとそっくりにオールペイントしていたという。エルカミーノとはスペイン語で「道」という意味。アメリカならではの“ピックアップトラック文化”を根づかせたといえるクルマのひとつで、1987年に製造終了してから30年たった現在も多くのファンをもつアメ車だ。

アメリカ西海岸ではビンテージカーとして高額で売買されている初代エルカミーノ

エルカミーノは、ゼネラルモーターズ(GM)がシボレーブランドで製造・販売していたピックアップトラックだ。乗用車をベースにし、後ろ側を平らにしたトラックタイプで、「クーペ・ユーティリティ」とも呼ばれていた。

初登場は1959年で、先に登場したフォード「ランチェロ」に対抗するべく、シボレー「インパラ」の車体を基本に、2人乗りのトラックとして開発された。その当時の流行だったテールフィンや、タイヤに覆いかぶさるフェンダーのデザインが特徴だ。しかし、ランチェロの人気には及ばず、3万台ほどしか売れなかったために製造が打ち切られることになった。

この初代のモデルは、ビンテージカーとして人気で、アメリカ西海岸では高額で取引されている。日本国内ではまずお目にかかれないだろう。

保険が安いエルカミーノ、サーファーの若者たちから女性やシニア層へと人気が拡大

ところが、4年後、ランチェロの人気が衰えないことに業を煮やしたGMは、今度はシボレー「シェベル」をベース車両として再びエルカミーノを復活させた。

その後、幾度かモデルチェンジを重ねた後、エルカミーノの名前を知らしめたのが、1968年から1972年の間に発売された7400 ccのV8エンジンを積むモデルだ。それまでの乗用車然としたボディデザインから、スポーティなスタイルにしたことで、若者の心をつかんだ。

サーフィン全盛の西海岸では、このエルカミーノにサーフィンボードを積んで波乗りポイントに出掛けることが流行った。また、トラックに分類されるエルカミーノは、保険の掛け金が割安で、これも人気の理由のひとつだった。

(C)arrett-Jackson Auction
(C)arrett-Jackson Auction
(C)arrett-Jackson Auction

そして1978年には、すでに製造中止になっていたシェベルからシボレー「マリブ」をベースにした、より車体サイズが小さくなったエルカミーノが登場する。都市部でも馴染むようにデザインが変更され、フロントマスクには角型並列4灯のヘッドライトに大きなグリル、モールが多用され、若者だけでなくシニア層や女性にも受け入れられることになる。メイン写真と下の写真は、1973〜1977年の間に発売された4代目エルカミーノだ。

(C)ryan Mitchell
(C)ryan Mitchell

エルカミーノは、アメリカ独特のカルチャーや生活習慣を色濃く象徴したクルマ

1984年には、エルカミーノはアメリカ本国ではなくメキシコで製造されることになった。そして、1987年モデルを最後に、シボレーのピックアップトラックの地位は「S-10ピックアップ」に移行されることになる。L.A.のメキシコ人がエルカミーノを好むのは、メキシコで製造されたクルマで、憧れのクルマでもあるからだ。

筆者は20年ほど前、偶然だが、このエルカミーノに乗ったことがある。L.A.で知り合ったアルゼンチン人のアルベルトが最終モデルに乗っており、彼の趣味のスカイダイビングについて行った際、フリーウェイを運転させてもらった。いわゆるアメ車らしいアクセルを踏めばググッと加速し、トラックだから固めの乗り心地かと思いきや意外とソフト。2シーターで後ろがないから、後方の視野が抜群によかった記憶がある。

それにしても、なぜアメリカでは、荷物が積めるピックアップトラックの需要が高いのだろうか。牧畜などのカウボーイだけでなく、一般的な街でもファミリーカーとしてもよく使われている。

そのひとつの理由に、車両価格と保険などのランニングコストが安いことが挙げられる。また、アメリカ西海岸では賃貸住宅に住む人も多く、よりよい暮らしを求めて引っ越しをする考え方がある。そうしたことから、家族のクルマのうち1台はピックアップトラックを選ぶそうだ。エルカミーノは日本の文化にはない、アメリカ独特の文化の影響を色濃く象徴したクルマといえるだろう。

(C)ryan mitchell

Text by Katsutoshi Miyamoto

Photo by (C)ryan mitchell(main)

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第8回 | シボレーの最新車デザイン・性能情報をお届け

C8はミッドシップ──新型コルベット、まもなくデビュー

発表前のニューモデルがカモフラージュ模様をまとい、公道でテスト走行を行うのはよく見られる光景だ。それらは自動車メディアのスクープ、あるいはメーカーが発表した写真によって目にすることが多い。しかし、世界有数の大都市、ニューヨークのど真ん中にカモフラージュ模様のプロトタイプが登場するのは、わりとレアケースではないか。GM(ゼネラルモーターズ)は4月初旬、デジタルカモフラージュ加工を施したシボレー『コルベット』の次期モデルをニューヨークの街で走らせるデモンストレーションを行った。

アメリカンスーパースポーツの代表車種『コルベット』が6年半ぶりモデルチェンジ

1960〜70年代のマッスルカー全盛の時代から、アメリカには数多のスポーツカーが存在してきた。シボレー『コルベット』は、間違いなくその代表車種のひとつだろう。モータースポーツの世界でも輝かしい成績を残し、世界中で多くのファンに愛されている。

初代モデルの登場は1953年。「アメリカ独自のスポーツカーを生み出す」との思いから誕生し、以来60余年、7世代にわたって系譜を紡いできた。とりわけ1966年デビューの第3世代、通称「C3」は、光岡自動車のヒットモデル『ロックスター』のモチーフとなるなど、今も『コルベット』の象徴として高い人気を誇る。現行モデルは第7世代だ。

その『コルベット』が6年半ぶりにモデルチェンジを行い、第8世代、つまり「C8」へと進化する。シボレーブランドを展開するGMは、今年7月18日に新型『コルベット』を公開することを発表。そしてニューヨーク国際モーターショーを翌週に控えた4月11日、ニューヨークのど真ん中で新型『コルベット』のプロトタイプを走らせたのである。

ショートノーズのスタイリングにミッドシップ。大きく変わる8代目『コルベット』

カモフラージュ模様のプロトタイプが現れたのは、ニューヨーク市マンハッタン区のウェストサイドを南北に走る7番街。タイムズスクエアに近い地区だ。ハンドルを握るのは新型『コルベット』のチーフエンジニアをつとめるタッジ・ジェクター氏、助手席に座るのは大手自動車メーカーで初の女性CEOとなったGMのメアリー・バーラ氏である。

アメ車に詳しい人なら、左右のドアに公開日を予告する「07.18.19」のバナーを貼ったこのプロトタイプを見て「おや?」と思ったに違いない。『コルベット』といえば、初代からFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウトをもつロングノーズ・ショートデッキのフォルムが伝統。ところが、「C8」は対照的に、フロントノーズが短くリア部分が長い。キャブフォワード(運転席が車体中央から少し前方に位置)スタイルとなっている。

このフォルムは、「C8」のエンジンがミッドに搭載されることを意味する。つまり『コルベット』史上初となるミッドシップ・エンジンレイアウトを採用するということだ。

ハイブリッドモデルも登場? まったく新しいアメリカンスーパースポーツに進化する

しかも、驚くべきことに、ミッドシップのみならず、ハイブリッドモデルのラインナップまで噂されている。少なくとも、ダウンサイジングによって効率化をはかり、大排気量のV8エンジンを搭載するモダンマッスルカーに別れを告げることが予想される。「C8」は、これまでに例のない、まったく新しいアメリカンスーパースポーツとなりそうだ。

いずれにせよ、新型の全容はまもなく明らかになる。前述のとおり、GMは今年7月18日に「C8」をお披露目することを公式に発表済みだ。おそらく、アメリカの自動車業界だけではなく、世界中のスポーツカーファンにとって胸が躍る一大イベントとなることだろう。その日まで残り2カ月足らず。新型『コルベット』のデビューを刮目して待ちたい。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) General Motors
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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