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第6回 | ボルボの最新車デザイン・性能情報をお届け

セナが愛した和製スーパーカー『NSX』がついに復活

「アイルトン・セナ・ダ・シルバ」。史上最速のF1ドライバーとも称される彼は、記録はもとより、記憶に残る存在だ。1990年代のF1ブーム真っ只中で青春を過ごした40代男性には、その名前にある種のノスタルジーを感じるかもしれない。そんなセナが開発に協力し、また、愛車として側に置いた1台が、初代『NSX』である。オールアルミ製モノコックボディ、新開発の3L・V型6気筒VTECエンジン、そして、数値には表れないボディ剛性へのこだわり。「人間中心のスーパースポーツ」というコンセプトのもと、ホンダのクルマ作りを深化させ、企業のブランド価値を押し上げたモデルだ。2005年をもって生産を終了していたが、11年の時を経て、ついに2代目が日本でも発売されることになった。

システム全体で581馬力! 世界のスーパーカーを凌駕する動力性能を持つ新型NSX

新型『NSX』は、初代モデルが提案した“卓越した運動性能を持ちながら誰もが快適に操ることができる「人間中心のスーパースポーツ」”というコンセプトを継承。そこに、時代に合わせて進化したホンダ独自の先進的な電動化技術を融合させた。

心臓部には、四輪の駆動力を電動で制御するモーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD(スポーツ・ハイブリッド・スーパーハンドリング・オール・ホイール・ドライブ)」を採用。これは、ミッドシップにレイアウトした3.5L ・V型6気筒ツインターボエンジンに、クランクシャフトと直結したダイレクトドライブモーターと9速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)、前輪の左右を独立した2つのモーターで駆動するTMU(ツインモーターユニット)を組み合わせた仕組みだ。出力はシステム全体で581馬力を発揮、0-100km/hの加速は3秒以下と、世界のスーパースポーツと比較しても遜色ない動力性能である。

ツインモーターユニットは、プラスのトルク(駆動力)のみならず、マイナスのトルク(減速力)も自在に制御することが可能で、リニアで力強い加速や、より優れた回頭性能を実現。ホンダいわく「ドライバーの能力を最大限に引き出すという初代NSXのフィロソフィーを継承し、ドライバーの意思に呼応する新時代のスーパースポーツ体験(ニュー・スポーツ・エクスペリエンス)を提供」している。

新型NSXは「エキゾチックなフォルム」と「スーパーカーの機能性」を高次元で融合

スーパースポーツ体験と聞くと、スパルタンで運転技量を求められる印象も受けるが、走行シーンに応じて走行モードを切り替えられる「Integrated Dynamics System(インテグレート・ダイナミックス・システム)」を使えば、市街地でも快適に走れる。

モードは「Quiet」「Sport」「Sport+」「Track」の4つ。ダイアル操作で切り替えることで、エンジン、モーター、トランスミッションやシャシーのレスポンスを高い精度で統合制御してくれる。「Quiet」では、低速域において電動走行のみの静粛走行も可能だ。一方、「Track」では、極限の動力性能を発揮。また、発進時にエンジンと3モーターをフル活用した加速を実現する「ローンチモード」も備えている。

キャビンが車体に対して全体に前進した、キャビンフォワードなパッケージングが印象的なエクステリアデザインは、「Interwoven Dynamic(インタルヴ ダイナミック)」がコンセプト。エキゾチックなフォルムと、スーパーカーの機能性を高次元で融合している。また、空力においても米オハイオ州と栃木県にある最先端の風洞実験施設でテストを重ね、高い空力性能を達成した。

ボディには、新開発の高剛性の押出成形アルミ材を中心とした複数素材によるスペースフレームを採用。軽量かつ高い剛性と優れたスペース効率、衝突安全性の高さが特徴だ。

新型NSXは2370万円! ポルシェ911ターボSやマクラーレン570Sに真っ向勝負を挑む

インテリアのコンセプトは「Human-Support Cockpit(ヒューマンサポートコックピット)」。前方視界が開けており、メーターパネルもカラー液晶ディスプレイなので視認性は高い。インターフェイスはシンプルで直感的で、ドライビングに支障をきたさずに操作を可能にした。また、シートは人間工学に基づき、サポート性や乗降性を優先。まさに、ドライバーが運転に集中できる、「人間中心のスーパースポーツ」を具現化した室内となっている(写真は北米仕様)。

新型『NSX』は、オハイオ州にある専用工場「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター」で生産。最先端の生産技術とクラフトマンシップの高度な融合をコンセプトに、熟練した約100名の従業員がボディ製造、塗装、最終組み立てまでを担当している。完全内製化することで、高精度、高品質な商品を提供するといったホンダの本気度が見てとれる。

価格は2370万円。初代『NSX』の2倍以上で、ポルシェ『911ターボS』やマクラーレン『570Sクーペ』、アウディ『R8』と同じカテゴリーに位置する。日本への納入は2017年2月から。「ホンダらしさ」を体現した初代NSXのように、日本発スポーツカーに新たな歴史を刻んでくれる1台になることだろう。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第18回 | ボルボの最新車デザイン・性能情報をお届け

キーワードはクラスレス──ボルボXC40が素晴らしい理由

COTY(日本カー・オブ・ザ・イヤー)は、日本国内で販売される乗用車のなかから、もっともその年を象徴するのにふさわしい車両に与えられる称号だ。ボルボはこのCOTYを2017-2018、そして2018-2019と、2年連続で受賞している。輸入車ブランドが連覇したのは、およそ40年に及ぶCOTYの歴史上初めてのこと。この快挙をなし遂げた立役者のうちの一台が、ボルボ初のコンパクトシティSUV『XC40』である。じつは、『XC40』はCOTYの選考委員のみならず、ユーザーからの評価も高く、納期が最大で1年となるほどの人気となっている。『XC40』はなぜ多くの支持を集めるのだろうか。

9カ月で目標の2.7倍となる4000台を受注した『XC40』。納期は最大で1年待ち!

少し前までのボルボには、「安全だが、どこか垢抜けない」という印象があった。これを払拭したのが、2016年の『XC90』を皮切りに、『V90』『V90クロスカントリー』『XC60』『XC40』『V60』と、立て続けに発表されたニューモデル群だ。なお、ボルボでは、「XC」はSUVを、「V」はステーションワゴンを、数字はボディサイズを表している。

これらの新型車は、スウェーデン車らしい明るい雰囲気の内外装を追求し、メルセデス・ベンツをはじめとするドイツのライバルとは違ったプレミアム性も兼ね備えることで高い評価を得ている。JAJA(日本自動車輸入組合)の2018年度上半期の輸入車新規登録台数でも、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMW、アウディ、MINIのドイツ勢に続くのがボルボなのだ。日本国内市場におけるシェアも5%近くに伸びている。

このうち、COTY 2017-2018を受賞したのがミドルクラスSUVの『XC60』。そして2018-2019の受賞でボルボを連覇に導いたのが、ひと回りコンパクトな『XC40』だ。

『XC40』は、ボルボのSUVシリーズのボトムエンドを担うモデル。この『XC40』のヒットからわかるのは、初めてボルボを買う新規ユーザーからの支持も獲得しているという事実だ。なにしろ、2018年3月に販売を開始すると、年内の国内割当て分は即完売。同12月までに目標の2.7倍となる4000台を受注し、納期は最大1年にもなっている。

クラスの枠組みからユーザーを解放。最先端の安全装備を全グレードに標準装備する

なぜ『XC40』は高い評価を得たのか? 最大の理由は「クラスレスの魅力」にある。つまりファミリー層からプレミアム層にまで支持される幅広いバリューを有しているのだ。

ボルボのSUVシリーズは、大きい順に『XC90』『XC60』『XC40』の3モデルをラインナップする。しかし、「90」がもっともエライのかというと、けっしてそうではない。それぞれに異なる個性が与えられえている。ボルボはそれを「VC90はフォーマルな革靴」「XC60は少しライトな印象のスウェード靴」「XC40は軽快なスニーカー」と例えた。

『XC40』は『XC90』の廉価版などではなく、カジュアルSUVとしての魅力を追求している。そのため、エントリーSUVといっても、ボルボの大きな特徴である先進安全装備(インテリセーフと呼ぶ)は上位モデルとほぼ同等だ。一例を挙げると、部分自動運転機能の「パイロットアシスト」、道路逸脱回避をサポートする「ランオフロードミティゲーション」など、その装備は10以上に及ぶ。内外装の装備やマテリアルも見劣りしない。

しかも、『XC40』は、この世界最高レベルの先進安全装備をすべてのグレードに標準装備している。これはコンパクトモデルでは非常にめずらしいケースといえるだろう。

クルマ、とりわけ欧州車は、貴族的な人々の乗り物として誕生した成り立ちもあり、良くも悪くもクラスソサエティ(階級社会)と深い関係にある。そうしたクラスの枠組みから解放してくれた点こそ、『XC40』がユーザーを惹きつける魅力であるように感じる。

ボディカラー、ルーフカラー、内装色。『XC40』は“選ぶ愉しみ”もその魅力のひとつ

サイズも日本向きだ。全長4425mm×全幅1875mm×全高1660mmのボディは、車幅こそ少々大きいものの、全長は十分にコンパクト。日本の都市部でも取り回しに困ることはない。だからこそ、コンパクトシティSUVとして選ばれているのだろう。

2.0L「Drive-E」ガソリンターボエンジンは、「T4」「T5」の2つのチューンが用意されるが、実際に乗ってみると140kW(192ps)の「T4」でも十分にパワフルで軽快だ。乗り心地も、どちらかといえば硬質なドイツ車に対し、どこか優しさを感じる。プレミアムコンパクトSUVの購入を検討している人が候補に入れたくなるのもうなずけるのだ。

しかも、カジュアルな「モメンタム」、スポーティな「Rデザイン」、ラグジュアリーな「インスクリプション」の3タイプから選ぶグレードに始まり、グリルのデザインにボディカラー、それと組み合わせるルーフカラー、内装色に素材選びと、頭を悩ませるくらいに選択肢が多い。これだけ「選ぶ愉しみ」の多いコンパクトSUVもそうそうない。

価格は389万円から。『XC40』はヨーロッパでも、もっとも優秀なクルマに選ばれた

『XC40』のグレードには、「モメンタム」「Rデザイン」「インスクリプション」のほかに価格を抑えたエントリーモデルもあるが、ここにもクラスソサエティは存在しない。好みやユーザーのライフスタイルに合わせて選べるようになっている。価格はエントリーモデルの「T4」が389万円から、「T5 AWD インスクリプション」が549万円からだ。

ちなみに、発売当初のデータでは低価格モデルではなく「Rデザイン」や「インスクリプション」が人気だったというから、価格だけで選ばれているわけではないことがわかる。

『XC40』が獲得したのはCOTYだけではなく、じつは、2018年のECOTY(ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー)も受賞している。ECOTYは年間5000台以上という販売台数基準の関係から、伝統的にルノーやフィアットなどの小型車が受賞するケースが多い。言い換えると、それだけ『XC40』がユーザーに広く支持されている証拠でもあるのだ。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Volvo Car Corporation
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
The Volvo XC40: City Living Made Simple
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