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第4回 | 日産の最新車デザイン・性能情報をお届け

世界で一番売れた伝説の国産スポーツカー「240Z」

1969年に北米でデビューした初代の日産「フェアレディZ」は、その流麗なスタイリングと高性能スペックから、一瞬でクルマ好きを虜にした名車だ。また、当時ジャガーやポルシェは1万ドル以上したが、初代フェアレディZは約3分の1の価格3600ドルと、庶民でも手の届く価格だったことから、販売開始直後から大ヒット。1978年までの10年間で、世界総販売台数55万台(日本国内は8万台)という空前の記録を打ち立てた伝説の国産スポーツカーである。アメリカでは「DATSUN Z(ダッツン・ズィー)」という名前で知られ、オーナーからは「Z-CAR(ズィー・カー)」の呼び名で親しまれた。初代フェアレディZは現在もヴィンテージカーとして考えるとリーズナブルで、日本の中古車市場の相場は400〜500万円。「手の届くヴィンテージカー」として人気になっている。

初代フェアレディZを生んだ「ミスターK」

初代フェアレディZ(S30型)は、「ダットサン フェアレディ2000(SR311型)」の後継車として開発され、1969年12月にリリースされた。それまでのコンバーチブルから、クローズドボディの採用により、居住性、安全性が向上。高性能なエンジンやストラット式4輪独立懸架サスペンションなどで瞬く間に大人気となり、北米をはじめ海外でも爆発的な受注を記録する。

フェアレディZを語るときに欠かせないのが、やはり"ミスターK"こと、故・片山豊氏だろう。初代社長として北米日産に赴き、フェアレディZの開発において中心的な役割を果たした片山氏。北米日産での在任17年間で、年間販売台数が1500台だった日産のクルマを輸入車売り上げ1位のメーカーに引き上げた立役者であり、世界中のクルマ好きから「フェアレディZの父」として慕われた。

日産自動車のオーナーズ・サイトによると、片山氏はフェアレディZの開発コンセプトについて「アメリカ人は、自由に長距離を移動できるスポーツカーを求めていた。そこで本社に提案した」と語っている。クルマのスタイリングにこだわり、雄大なアメリカの大地に負けないダイナミックな造形を求め、ノーズが長いシャープなデザインを採用。また、フリーウェイをハイスピードで長距離走るため、エンジンやサスペンション、ブレーキの強化にもこだわった。

大卒初任給が4万6400円だった1971年に価格150万円で国内販売された「240Z」

フェアレディZの国内販売は当初、2.0Lのみの設定だったが、人気が高まるにつれて、輸出専用モデルだった「240Z」を日本でも導入してほしい、との要望が販売店や日産本社に数多く寄せられることになった。その声を受けて、1971年11月に2.4Lエンジンを搭載した「240Z(国内呼称:ニーヨンマルジー)」が国内で登場する。

搭載するエンジンは、北米向け輸出モデルと共通の直列6気筒2.4L、150馬力のL24型で、価格115万円の「240Z」、135万円の「240Z-L」、150万円の「240ZG」の3タイプが用意された。ちなみに、当時は大卒初任給がわずか4万6400円だった時代である。

最上級グレードの「240ZG」は、フロント先端がバンパーとスポイラーで一体となった専用のエアロダイナ・ノーズ(通称Gノーズ)が特徴。そして、ヘッドライトカバーや太いタイヤを収めるオーバーフェンダー、また、オプションでリアスポイラーも用意され、より迫力のあるルックスとなった。最高速度は、こうした空力特性の向上も加わって、当時の国産車トップの210km/hを誇った。

初出場のサファリラリーで総合優勝の快挙を達成し、伝説のクルマとなった「240Z」

当然、240Zはレース車両にも採用されたが、その評価を大きく高めたのが、過酷なモータースポーツとして知られるラリーへのエントリーだった。

1971年に開催された第19回サファリラリーでは、直列6気筒OHC2.393LのL24型を210馬力にチューンナップしたパワーユニットを搭載した240Zが初出場ながら総合優勝。2位にも240Zが入ったことで、初陣をワンツーフィニッシュで飾るという快挙を成し遂げたのだ。そして、この快挙は一度だけでなく、2年後の1973年のサファリラリーでも総合優勝したのである。このときのラリー車両は、レギュレーションで許されている上限の2.497L(LR24型)まで排気量がアップされ、220馬力というハイパワーを誇ったという。

このリザルトは、国内はもとより海外市場に向け、240Zのエンジン性能、耐久性やメンテナンス性を大きくアピールすることになった。さらに、ラリー車両を修理しながら走らせ、ゴールさせたラリーの経験から、アフターサービスを徹底する体制もできた。ラリーの実績と経験が240Zを確固たる地位に押し上げることになったのだ。

1973年、折からの公害問題やガソリンの高騰などにより、日本国内の240Zシリーズの生産は中止されることとなった。しかし、それで240Zの伝説が終わったわけでない。

1996年に北米で「300ZX(Z32型)」の販売が中止になった後、北米日産が新品パーツなどを集め、レストアの240Zを限定販売する企画が立ち上がり、ヴィンテージZと名付けられて販売されたのだ。当時、メーカーが総力をあげてクルマをレストア販売するという企画は画期的であった。こうしたことからもわかる通り、240Zは世界中のクルマ好きが愛した、いや今もって愛されているスポーツカーなのである。

Text by Katsutoshi Miyamoto

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第10回 | 日産の最新車デザイン・性能情報をお届け

往年のワークスカラーが鮮烈──GT-R 50周年記念モデル

アポロ11号船長、ニール・アームストロングは、1969年に人類として初めて月面へと足を踏み降ろした。『ボーイング747』、いわゆるジャンボジェットが初飛行し、アメリカで歴史的なカルチャーイベント、ウッドストック・フェスティバルが開催されたのも1969年のことだった。この激動の年に産声を上げたのが日産『スカイラインGT-R』。現在の『GT-R』へと系譜を紡ぐ初代モデルである。それからちょうど50年。その節目を祝い、誕生50周年記念の期間限定モデル『GT-R 50th アニバーサリー』が設定された。

『GT-R』の伝説と血統は、1969年に誕生した初代『スカイラインGT-R』に遡る

現行型の『GT-R』は、世界ではスーパーカーとして認知されている。2007年のデビュー当時のキャッチコピーは「新次元マルチパフォーマンス・スーパーカー」。とりわけ最上位グレードとなるNISMO仕様車は、最高出力600ps、最大トルク652Nmと、まさしくスーパーカーそのもの。標準モデルもデビュー時、自動車開発の聖地であるドイツ・ニュルブルクリンク北コースで7分29秒3という当時の量産市販車最速タイムを記録した。

そのジャパニーズスーパーカーというべき『GT-R』の血統は、1969年に誕生した初代『スカイラインGT-R』に遡る。搭載されたS20型エンジンは、レーシングカーである『R380』の2000cc GR 8型直列6気筒4バルブDOHCエンジンをベースに開発されたもの。『GT-R』というクルマは、当初から速く走ることを純粋に突き詰めた一台だったのだ。

2019年は、伝説に彩られた『GT-R』の歴史が始まってから50周年の節目にあたる。それを記念して4月のニューヨークモーターショーで公開されたのが、レーシングストライプをまとった期間限定の50周年記念モデル『GT-R 50th アニバーサリー』である。

往年の日産ワークスチームのレーシングカーを再現したワンガンブルー×ホワイト

まず目を引くのは、日本グランプリシリーズで活躍した往年の日産ワークスチームのレーシングカーを再現した懐かしくも鮮烈なカラーリングだ。基調色は、2020年モデルの『GT-R』の新色としても採用された「ワンガンブルー(4RPM)」。ブルーの透明ベースに光干渉顔料を追加することで、ミステリアスな色の変化を愉しめるように配合されている。

そこへ高品質の専用ホワイトステッカーによるレーシングストライプを組み合わせることで、鮮やかなコントラストを演出。この『GT-R』が50周年記念の特別なモデルであることを強く印象づける。「ブルー×ホワイト」のツートンカラーのほかにも、「ブリリアントホワイトパール」のボディカラーにレッドのストライプ、「アルティメイトメタルシルバー」にホワイトのストライプと、計3種類のカラーバリエーションを設定した。

このうち「ワンガンブルー」は、ボデイカラーと合わせた「50th Anniversary」のロゴ入りブルースポークホイールも標準装備する。さらに、リアエンドには、職人が一つひとつ手作りで加工した鈍く青色に輝くチタン製のエキゾーストフィニッシャを装着した。

今年6月に販売開始。『GT-R 50th アニバーサリー』の価格は1319万2200円から

内装面では、インテリアカラーに上質なセミアニリンレザーを使用した専用色の「ミディアムグレー」を採用。シートの外側にはミディアムグレーよりやや明るいグレーを配色し、スポーティかつ高級感あふれるキャビンを演出する。レブカウンターやシートのヘッドレスト、センターコンソールなどには「50th」「50th Anniversary」のロゴが配された。

価格はボデイカラーによって異なり、ワンガンブルーが1351万6200円、アルティメイトメタルシルバーが1347万3000円、ブリリアントホワイトパールが1319万2200円となっている。2020年3月末までの期間限定モデルで、6月から販売開始されるという。数多の伝説をもつ『GT-R』の50周年記念モデルだけに、予約注文が殺到しそうだ。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Nissan Motor Co., Ltd.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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