「壊れやすい」は過去の話、2000年代に信頼性が大きく向上したフェラーリやランボルギーニ
「いまのスーパーカーは、修理や整備に関してはそれほど費用を心配しなくても大丈夫ですよ」。そう話すのは、東京・千代田区内のスーパーカー専門店「ビンゴスポーツ」の代表取締役で、スーパーカーを知り尽くす武井真司さん。
ひと昔前のスーパーカーは、「レーシングカー」に近いクルマだった。速く走ることだけを目的に作られたため、悪天候や渋滞などは想定していなく、真夏の都心部を走るときは水温計とにらめっこ。走行後はすべての部品のオーバーホールが必要となり、乗るたびにメンテナンスを行わなければならなかった。
また、1970〜80年代のスーパーカーによく聞かれたのが「壊れやすい」という声だ。実際、スーパーカーブームの主役だったランボルギーニ「カウンタック」やフェラーリ「512BB」には、「納車された時点で故障している」「修理費だけでクルマがもう1台買える」といった“都市伝説”もあったほど。
しかし、武井さんによれば、スーパーカーが「壊れやすい」のは過去のイメージにすぎず、現在はまったくそんなことはないという。
「スーパーカーの品質は1990年代に大きく改善され、2000年以降になると信頼性が劇的に向上しました。基本設計から消耗品、コンピューターにいたるまで、すべてが世界基準の品質で作られるようになったのです」
1000万円の中古スーパーカーなら、ローンの支払いや固定費でひと月の維持費は約20万円
それでは、スーパーカーを所有し続けるにはどれくらいのお金がかかるのか。
「スーパーカーを普段使いしたり、頻繁にサーキットに走りに行ったりすれば、消耗品を新品に交換するだけでも、それなりのお金がかかります。しかし、日常的に乗らなければ、じつはそんなにメンテナンスは必要ありません。たしかに、ぶつけると、フェラーリはバンパーを交換するだけでも100万円はかかりますが、部分的な補修なら、専門業者がいるので修理費を安く抑えることが可能です。技術も進歩しているので、昔に比べてはるかに安い費用で直せるようになりました」
とはいえ、クルマを維持するうえで一番大きいのは、なんといっても税金や保険、駐車場代などの「固定費」だ。超高級車のスーパーカーともなれば、それらにかかるお金も相当高額になりそうだが…。しかし、武井さんは「スーパーカーの税金や保険が特別に高いわけではありません」という。
「クルマのオーナーにとって、税金や保険は避けることのできない固定費です。ただ、スーパーカーだからといって、税率が上がるということではなく、保険は基本的に車両価格に比例するもの。1500万円のフェラーリなら、メルセデス・ベンツの『Sクラス』と同じぐらいです。オーナーの年齢が36歳以上だとすれば、車両保険なしなら年間30万円ほどで済むでしょう」
現在は10年120回のローンも組めるので、仮に1000万円のスーパーカーを購入して10年で返済する場合、金利を含めて月々の支払いは約10万円。これに税金や保険、駐車場代や燃料費を加えると、およそ「ひと月20万円」がスーパーカーを所有する維持費の最低ラインとなりそうだ。
スーパーカーの購入を考える人は向上心が強い
スーパーカーは移動のために普段使いする「乗用車」ではない。たとえるなら、ヨットや北米系の超豪華キャンピングカーと同じような、「贅沢な趣味」だ。
ヨットの場合、マリーナに係留する費用だけで年間50〜60万円、そのほかにも上架料と船底の塗装料など、さまざまな維持費がかかる。にもかかわらず、実際にヨットに乗るのはせいぜい年に数回程度。それでも、そのわずかな時間の愉しみのために、オーナーはヨットを所有し続けるのである。
スーパーカーにも同じことがいえる。たしかに、維持費は安くはないが、スーパーカーを持つ歓び、そこから得られるメリットは、お金以上なのだ。武井さんも、スーパーカーを所有する意義についてこう語る。
「スーパーカーを購入しようという人は、向上心が強い人が多い。もともと社会的地位や資産があったわけではなく、スーパーカーを所有した後、人一倍努力をし、会社を立ち上げ、出世したという話もよく耳にします。そういうオーナーが多いので、スーパーカー仲間になればいい刺激になり、もうワンランク上の世界にいけると思いますよ」
Text by Tetsuya Abe
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希少なヴィンテージカーから最新のスーパーカーまでおよそ1000台を取り扱った豊富な実績を誇る。ユーザーが望むオンリーワンのモデルを世界中のネットワークから入手し、豊かなカーライフをサポートしてくれる。また、イタリアのスーパーカーメーカー、パガーニの日本代理店も務める。