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第24回 | 大人のための最新自動車事情

意外と安い!?スーパーカーの維持費ってどのくらいかかるものなの?

フェラーリやランボルギーニに代表されるスーパーカーほど、大人の男の所有欲を強烈にかき立てるものはない。しかし、その一方、程度のいいスーパーカーは中古車でも1000万円以上になる超高価なクルマだ。車両本体が高いだけではなく、部品や燃料、タイヤ、さらに税金、保険、駐車場代など、維持するのに「莫大な費用がかかる」ともいわれている。一説に、その維持費は年間数百万円。実際のところ、スーパーカーを所有するにはどれくらいのお金がかかるのだろうか。

「壊れやすい」は過去の話、2000年代に信頼性が大きく向上したフェラーリやランボルギーニ

「いまのスーパーカーは、修理や整備に関してはそれほど費用を心配しなくても大丈夫ですよ」。そう話すのは、東京・千代田区内のスーパーカー専門店「ビンゴスポーツ」の代表取締役で、スーパーカーを知り尽くす武井真司さん。

ひと昔前のスーパーカーは、「レーシングカー」に近いクルマだった。速く走ることだけを目的に作られたため、悪天候や渋滞などは想定していなく、真夏の都心部を走るときは水温計とにらめっこ。走行後はすべての部品のオーバーホールが必要となり、乗るたびにメンテナンスを行わなければならなかった。

また、1970〜80年代のスーパーカーによく聞かれたのが「壊れやすい」という声だ。実際、スーパーカーブームの主役だったランボルギーニ「カウンタック」やフェラーリ「512BB」には、「納車された時点で故障している」「修理費だけでクルマがもう1台買える」といった“都市伝説”もあったほど。

しかし、武井さんによれば、スーパーカーが「壊れやすい」のは過去のイメージにすぎず、現在はまったくそんなことはないという。

「スーパーカーの品質は1990年代に大きく改善され、2000年以降になると信頼性が劇的に向上しました。基本設計から消耗品、コンピューターにいたるまで、すべてが世界基準の品質で作られるようになったのです」

1000万円の中古スーパーカーなら、ローンの支払いや固定費でひと月の維持費は約20万円

それでは、スーパーカーを所有し続けるにはどれくらいのお金がかかるのか。

「スーパーカーを普段使いしたり、頻繁にサーキットに走りに行ったりすれば、消耗品を新品に交換するだけでも、それなりのお金がかかります。しかし、日常的に乗らなければ、じつはそんなにメンテナンスは必要ありません。たしかに、ぶつけると、フェラーリはバンパーを交換するだけでも100万円はかかりますが、部分的な補修なら、専門業者がいるので修理費を安く抑えることが可能です。技術も進歩しているので、昔に比べてはるかに安い費用で直せるようになりました」

とはいえ、クルマを維持するうえで一番大きいのは、なんといっても税金や保険、駐車場代などの「固定費」だ。超高級車のスーパーカーともなれば、それらにかかるお金も相当高額になりそうだが…。しかし、武井さんは「スーパーカーの税金や保険が特別に高いわけではありません」という。

「クルマのオーナーにとって、税金や保険は避けることのできない固定費です。ただ、スーパーカーだからといって、税率が上がるということではなく、保険は基本的に車両価格に比例するもの。1500万円のフェラーリなら、メルセデス・ベンツの『Sクラス』と同じぐらいです。オーナーの年齢が36歳以上だとすれば、車両保険なしなら年間30万円ほどで済むでしょう」

現在は10年120回のローンも組めるので、仮に1000万円のスーパーカーを購入して10年で返済する場合、金利を含めて月々の支払いは約10万円。これに税金や保険、駐車場代や燃料費を加えると、およそ「ひと月20万円」がスーパーカーを所有する維持費の最低ラインとなりそうだ。

スーパーカーの購入を考える人は向上心が強い

スーパーカーは移動のために普段使いする「乗用車」ではない。たとえるなら、ヨットや北米系の超豪華キャンピングカーと同じような、「贅沢な趣味」だ。

ヨットの場合、マリーナに係留する費用だけで年間50〜60万円、そのほかにも上架料と船底の塗装料など、さまざまな維持費がかかる。にもかかわらず、実際にヨットに乗るのはせいぜい年に数回程度。それでも、そのわずかな時間の愉しみのために、オーナーはヨットを所有し続けるのである。

スーパーカーにも同じことがいえる。たしかに、維持費は安くはないが、スーパーカーを持つ歓び、そこから得られるメリットは、お金以上なのだ。武井さんも、スーパーカーを所有する意義についてこう語る。

「スーパーカーを購入しようという人は、向上心が強い人が多い。もともと社会的地位や資産があったわけではなく、スーパーカーを所有した後、人一倍努力をし、会社を立ち上げ、出世したという話もよく耳にします。そういうオーナーが多いので、スーパーカー仲間になればいい刺激になり、もうワンランク上の世界にいけると思いますよ」

(C)NVCarphotography

Text by Tetsuya Abe

取材協力
ビンゴスポーツ 東京ショールーム
住所:東京都千代田区永田町2-12-4 赤坂山王センタービル1F
TEL:03-5511-7722
FAX:03-5511-7723
MAIL:info@bingosports.jp

希少なヴィンテージカーから最新のスーパーカーまでおよそ1000台を取り扱った豊富な実績を誇る。ユーザーが望むオンリーワンのモデルを世界中のネットワークから入手し、豊かなカーライフをサポートしてくれる。また、イタリアのスーパーカーメーカー、パガーニの日本代理店も務める。
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第129回 | 大人のための最新自動車事情

マッチョな軍人たちへ──愛国仕様のダッジチャージャー

『ワイルド・スピード』の第一作が公開されたのは2001年のことだ。主人公ドムの愛車は、圧倒的パワーをもつ古き良き時代のダッジ『チャージャー』。言わずとしれたマッスルカーである。あれから10余年。アメリカでは今、シリーズにたびたび登場する1960〜70年代の『チャージャー』の価値が上昇し続けている。なにしろ、このSUV全盛の時代にあって、現行の『チャージャー』『チャレンジャー』までもが10年間で70%も販売台数が伸びているのだ。そして、この人気を逃すまいとブランドもさまざまな限定車やオプションを設定。今年4月には、なんとも印象的なストライプのカスタムルックが登場した。

モダンマッスルカーの代表車種2台。ダッジ『チャージャー』と『チャレンジャー』

マッスルカーとは、広義では大排気量のV8エンジンを搭載するハイパフォーマンスのアメリカ車を指す。狭義では1968年から1971年にかけて作られた高性能でハイグレードなアメ車のこと。フルサイズのセダンやクーペ、後輪駆動車が多い。したがって、より正確にいうと、現行車種はマッスルカーではなく、ニューマッスルカーなどと呼ばれる。

そのモダンなマッスルカーのひとつが、ダッジブランドの現行『チャージャー』『チャレンジャー』だ。『チャージャー』は2ドアクーペで、いわば生まれながらのマッスルカー。『チャレンジャー』は4ドアセダンで、フォード『マスタング』と同様にポニーカー(手頃な価格のスポーティカー)として誕生した。いずれも現行型は第三世代で、発表されてから10年以上の時を刻んでいる。にもかかわらず、本国では依然高い人気を誇るモデルだ。

その証拠に、4月のニューヨークオートショー2019において、2台の上位グレードに設定可能な特別パッケージが発表されると、それだけでニュースになったほど。パッケージの名称は「stars & stripes edition(スター・アンド・ストライプス・エディション)」。ミリタリーをテーマとする渋いストライプをまとったカスタムルックのオプションである。

テーマは星条旗。フロントからリアにかけて走る極太のサテンブラック・ストライプ

「stars & stripes edition」は、その名のとおり、「スター・アンド・ストライプス(星条旗)」をテーマにしたカスタムルックだ。最大の特徴は、フロントからリアにかけてボディを覆うようにペイントされたサテンブラックのストライプ。この極太ストライプの正面に向かって右側、つまりドライバーズシート側には、シルバーの縁取りが入っている。

シートはブラックのファブリック(布製)で、ヘッドレスト側面に刺繍されたブロンズのスターが目を引く。このブロンズカラーはシートとステアリングホイールのステッチにも使用されている。そのほか、ボディ側面にさりげなく描かれている星条旗、20インチホイール、前後のスポイラー、装備されるバッジ類は、すべてサテンブラック仕上げだ。

選択できるボディカラーは、「デストロイヤーグレイ」「F8グリーン」をはじめ、「グラナイトクリスタル」「インディゴブルー」「マキシマムスティール」「オクタンレッド」「ピッチブラック」「トリプルニッケル」「ホワイトナックル」の全9色。写真の『チャージャー』はデストロイヤーグレイ、『チャレンジャー』がまとっているのはF8グリーンだ。

軍人や愛国精神をもつマッチョたちのために設定されたカスタムルックのオプション

「統計によると、軍人が購入するアメリカンブランドのなかで、もっとも人気があるのはダッジ」。これはダッジのプレスリリースにある一文だ。とりわけ、彼らがもっとも多く選択しているのが『チャージャー』と『チャレンジャー』だという。つまり、軍人や愛国精神をもつマッチョな男たちのために設定されたのが今回の星条旗ルックというわけだ。

愛国精神はともかく、マッスルカーがマッチョな男に似合うのは『ワイルド・スピード』シリーズを見れば一目瞭然。日本人はよほど筋トレしないとむずかしいかもしれない。

なお、「stars & stripes edition」が設定されるのは『チャージャーR/T』『チャージャー スキャットパック』『チャージャーGT RWD』『チャレンジャーR/T』『チャレンジャーR/T スキャット・パック』『チャレンジャーGT RWD』の6車種。5月から発売される。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fiat Chrysler Automobiles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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