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第2回 | 日産の最新車デザイン・性能情報をお届け

進化ではなく深化、世界に誇る『GT-R』2017年モデル

「神話」「伝説」。そんな修飾語を纏える日本車は多くない。もちろん、『GT-R』はそのなかの1台だ。日本が世界に誇るスポーツカーを挙げろといわれたときに『GT-R』に異論を唱える人はいないだろう。『スカイラインGT-R』として1969年にデビューした初代。1973年の2代目、1989年の3代目、1995年の4代目、1999年の5代目と、常に究極の走りを目指して開発されてきた。そして、2007年、「スカイライン」の名とは決別しながらも、走りの魂を受け継いで発売されたのが『GT-R』である。2017年モデルは、発売以来、最大規模となる進化となり、エクステリアやインテリアのデザイン変更、新技術の採用により更なるドライビングパフォーマンスの向上が実現した。

よりスポーティーでシャープとなったスタイル

一見して変化が見られたのが、フロントマスクである。今回から、日産ブランドの共通デザインであるVモーションを取り入れた。デザイングリルにはマットクローム仕上げを施し、最新のメッシュパターンを採用している。また、開口部を拡大させることで冷却性能を向上させながら、空気抵抗は低減、従来の空力性能を維持した。

エンジンフードはグリルから流れるキャラクターラインが特徴的。機能面では剛性を向上することで超高速域での変形を抑制している。フロントスポイラーはレースカー直系の血統を感じさせる新形状。こちらは高いレベルのダウンフォースを維持している。

サイドは流線型のフォルムはそのままに、空気の流れを改善させるため、サイドシル前部を張り出させた。そして、リヤでは定番アイコンであるリング型テールランプは健在だ。加えて、新形状サイドアウトレットなど空気の流れを改善させるためのデザインを採用している。

エクステリアは、空気抵抗、ダウンフォース、冷却性能という3つの性能を高次元でバランスさせた。その結果として、外観はよりスポーティーでシャープな雰囲気を醸し出す。まさに、機能に基づいたスタイルといって良いだろう。

565馬力とそれを支える足回りが生み出す類い稀なる動力性能

インテリアにも大きな変更が加えられた。 インストルメントパネルには職人による精巧なステッチを施した高品質レザーを使用。コックピットには、安定感を演出する水平方向の流れを採用しつつ、メーターからセンターコンソールまでドライバーを包み込むようにレイアウトすることで、運転に集中できる空間を演出している。

パドルシフトは、ステアリングホイール固定タイプに変更。ドライバーが手を離さなくてもシフトチェンジができる角度がより広くなった。また、操作力やストローク量だけでなく、シフトチェンジ時のクリック感も最適化し、操作感がより向上している。

そして、『GT-R』といえば、常に注目されるのが高い動力性能だ。パワートレインは3.8L24バルブV6ツインターボエンジン。最大出力は565hp/6800rpm。最大トルクは467lb-ft/3300-5800rpm。ここに、改良型6速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせ、中速〜高速域においてスムーズな加速を実現している。

565英馬力というとてつもないパワーでありながら、コーナリング性能も進化。ボディ剛性をさらに高め、よりしなやかで正確に動くサスペンションを採用することで、タイヤの接地性を高め、高速走行時の安定性を向上させている。

この動力性能の高さの一端を示すエピソードがある。アラブ首長国連邦のフジャイラ国際空港で開催された特別イベントで、特別なチューニングが施された『GT-R』が、ドリフトの世界最高速度となる時速304.96km/hを達成し、ギネス世界記録を更新したという。

聴覚にも訴えかけるドライビングプレジャー

『GT-R』の特筆すべき点は、スーパースポーツでありながら、快適な乗り心地を提供していることだ。その一端が、室内の静粛性に見てとれる。吸音材・遮音構造の徹底的な見直しにより室内でのロードノイズや風切音を大幅に低減。全ての速度域で非常に高い静かさを実現している。

もちろん、ただ静かなだけではない。新設計の電子制御バルブ付チタン合金製マフラーは、不快な音を低減しながらクリアで心地よいエキゾーストサウンドを実現。室内ではドライバーがエンジンサウンドを心地よく感じるよう音質をコントロールする、「アクティブ・サウンド・コントロール」を採用している。自らのアクセルコントロールに呼応して聴覚に訴えかけるエキゾーストノートは、ドライビングプレジャーをより高めてくれることだろう。

開発責任者を務める田村宏志氏は「新しい『GT-R』は、いつでも、どこでも、最高のドライビングエクスペリエンスを与えてくれる、究極の性能を追求したスーパースポーツカー」と語る。そこにあえて付け加えるなら、「誰にでも」だろうか。

2017年モデルの『GT-R』には発売以来の最大規模の変更となったが、それは、「進化」ではなく「深化」と表現された。より深く走りを追求した『GT-R』。今から発売が楽しみな1台だ。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第10回 | 日産の最新車デザイン・性能情報をお届け

往年のワークスカラーが鮮烈──GT-R 50周年記念モデル

アポロ11号船長、ニール・アームストロングは、1969年に人類として初めて月面へと足を踏み降ろした。『ボーイング747』、いわゆるジャンボジェットが初飛行し、アメリカで歴史的なカルチャーイベント、ウッドストック・フェスティバルが開催されたのも1969年のことだった。この激動の年に産声を上げたのが日産『スカイラインGT-R』。現在の『GT-R』へと系譜を紡ぐ初代モデルである。それからちょうど50年。その節目を祝い、誕生50周年記念の期間限定モデル『GT-R 50th アニバーサリー』が設定された。

『GT-R』の伝説と血統は、1969年に誕生した初代『スカイラインGT-R』に遡る

現行型の『GT-R』は、世界ではスーパーカーとして認知されている。2007年のデビュー当時のキャッチコピーは「新次元マルチパフォーマンス・スーパーカー」。とりわけ最上位グレードとなるNISMO仕様車は、最高出力600ps、最大トルク652Nmと、まさしくスーパーカーそのもの。標準モデルもデビュー時、自動車開発の聖地であるドイツ・ニュルブルクリンク北コースで7分29秒3という当時の量産市販車最速タイムを記録した。

そのジャパニーズスーパーカーというべき『GT-R』の血統は、1969年に誕生した初代『スカイラインGT-R』に遡る。搭載されたS20型エンジンは、レーシングカーである『R380』の2000cc GR 8型直列6気筒4バルブDOHCエンジンをベースに開発されたもの。『GT-R』というクルマは、当初から速く走ることを純粋に突き詰めた一台だったのだ。

2019年は、伝説に彩られた『GT-R』の歴史が始まってから50周年の節目にあたる。それを記念して4月のニューヨークモーターショーで公開されたのが、レーシングストライプをまとった期間限定の50周年記念モデル『GT-R 50th アニバーサリー』である。

往年の日産ワークスチームのレーシングカーを再現したワンガンブルー×ホワイト

まず目を引くのは、日本グランプリシリーズで活躍した往年の日産ワークスチームのレーシングカーを再現した懐かしくも鮮烈なカラーリングだ。基調色は、2020年モデルの『GT-R』の新色としても採用された「ワンガンブルー(4RPM)」。ブルーの透明ベースに光干渉顔料を追加することで、ミステリアスな色の変化を愉しめるように配合されている。

そこへ高品質の専用ホワイトステッカーによるレーシングストライプを組み合わせることで、鮮やかなコントラストを演出。この『GT-R』が50周年記念の特別なモデルであることを強く印象づける。「ブルー×ホワイト」のツートンカラーのほかにも、「ブリリアントホワイトパール」のボディカラーにレッドのストライプ、「アルティメイトメタルシルバー」にホワイトのストライプと、計3種類のカラーバリエーションを設定した。

このうち「ワンガンブルー」は、ボデイカラーと合わせた「50th Anniversary」のロゴ入りブルースポークホイールも標準装備する。さらに、リアエンドには、職人が一つひとつ手作りで加工した鈍く青色に輝くチタン製のエキゾーストフィニッシャを装着した。

今年6月に販売開始。『GT-R 50th アニバーサリー』の価格は1319万2200円から

内装面では、インテリアカラーに上質なセミアニリンレザーを使用した専用色の「ミディアムグレー」を採用。シートの外側にはミディアムグレーよりやや明るいグレーを配色し、スポーティかつ高級感あふれるキャビンを演出する。レブカウンターやシートのヘッドレスト、センターコンソールなどには「50th」「50th Anniversary」のロゴが配された。

価格はボデイカラーによって異なり、ワンガンブルーが1351万6200円、アルティメイトメタルシルバーが1347万3000円、ブリリアントホワイトパールが1319万2200円となっている。2020年3月末までの期間限定モデルで、6月から販売開始されるという。数多の伝説をもつ『GT-R』の50周年記念モデルだけに、予約注文が殺到しそうだ。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Nissan Motor Co., Ltd.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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