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第4回 | 大人ライダー向けのバイク

40男の心を開放する三輪バイク“カンナム・スパイダー”

最近のバイク業界は、仕事や家庭にひと段落がついた“リターンライダー”の増加が顕著だ。なかには「昔のようにまたバイクに乗りたいが、もう乗れる自信がない…」と、バイク好きなのに諦めてしまう人もいることだろう。しかし、バイクを諦めるのはまだ早い。昨今、クルマの安定性とバイクの爽快感を融合した三輪のモーターサイクルに注目が集まっている。そのポイントのひとつは、二輪免許が要らず、自動車免許で乗れること。そんな三輪モーターサイクルの「カンナム スパイダー」シリーズを紹介しよう。

自動車免許で運転でき、ライディングも簡単

スノーモービルやバギーなどのレクレーショナル製品を手がけるカナダの企業、BRPが展開する「カンナム スパイダー」シリーズは、日本に上陸して以来、シェアを拡大している三輪モーターサイクルだ。前二輪と後一輪という車体構成は抜群の安定性を誇り、初心者でもレクチャーを受ければすぐにライディングが可能なほど操作は簡単。コーナリング時の挙動を安定させるスタビリティコントロールとトラクションコントロール、ABSを標準装備しているので安心して走れるうえ、二輪免許ではなく自動車普通免許で乗ることができる。しかも、高速道路の利用料金は二輪料金が適用されるため、お財布にも優しいのである。

現在、日本に導入されているのは、豪華装備の「スパイダーRT」とスポーティモデルの「スパイダーF3」の2機種。操作系は共通で、バイクと同じクラッチつきの6速マニュアルトランスミッションか、クラッチ無しで手元のスイッチだけで変速できる6速セミオートマチックの2種類をラインアップ(MTもセミATもバックギア装備)している。6速MTは操作がモーターサイクルと同じなので、より“らしさ”を求める人にうってつけだ。

エンジンは、BRPの子会社であるオーストラリアのロータックス製3気筒エンジンを搭載。3気筒独特の滑らかな回転フィーリングを持ちながら、アクセルひと捻りで異次元の加速を見せるパワフルさが特徴だ。ちなみにロータックスは日本ではあまり馴染みがないが、BMWモトラッドやアプリリアにもエンジン供給をしている信頼性の高いエンジンメーカーとして知られる。

自分をさらけ出すことのできる極上モビリティ

「スパイダーRT」は、車のような快適機能を多く供えたモデルだ。積載製はフロントトランクとグローブボックス、リヤトランクを合わせて155Lを誇り、数日間の旅にも余裕で対応。オーディオも装備し、ラジオやiPodなどを接続すれば音楽を楽しめ、クルーズコントロールもあるため高速道路の移動は快適かつ爽快である。リヤシートは座り心地が良く、バックレストやグラブバーもあるため安心してライダーに体を預けることができる。たとえば、夫婦揃っての旅もきっと新しい発見と思い出作りができるはずだ。

ちなみにRTのラインアップは、6速MTの「スパイダーRT」と6速セミATの「スパイダーRT-S」に加えて、クロムメッキパーツやシートに限定刺繍などを施した「RTリミテッド」(下の写真)を用意。価格は233万8200円~となっている。

「スパイダーF3」は、快適装備を削ぎ落としたスポーティ志向のモデルだ。まるでバイクのネイキッドのように、無駄のないスタイリングが走りの心を刺激してくれる。ただ、24.4Lのフロントトランクやクルーズコントロールが付いているため、快適性までも犠牲にしているわけではない。一泊のツーリング程度なら余裕でこなせるだろう。

F3のラインアップは、6速MTの「スパイダーF3」と6速セミATの「スパイダーF3S」に加え、フロントスクリーンと、リヤサイドラゲージなど快適機能をプラスした「スパイダーF3リミテッド」。さらに、マットブラックの専用カラーやホイールなどを装備しさらにスタイリッシュな外観の「F3-Sスペシャルシリーズ」「F3リミテッド スペシャルシリーズ」(下の写真)がある。価格は215万7840円~だ(ラインアップと価格は2015年モデル)。

自動車に移動手段以外の“オプション”が付いて久しい。積載製や機能性などはその典型的な例だ。だからこそ、たまには原点に立ち返り、そのオプションを捨ててみるというのも面白い。ボディを捨てれば心も解放される。カンナム スパイダーは、ありのままの自分をさらけ出せる極上のモビリティともいえよう。

Text by Tetsuya Abe

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第69回 | 大人ライダー向けのバイク

ドゥカティ ディアベル1260──悪役感溢れるクルーザー

クルーザーとは、平坦で長い直線道路を巡航(クルーズ)することに重点をおいたオートバイのスタイルのことだ。ハーレーダビッドソンやインディアンをイメージするとわかりやすいだろう。広大な北米大陸で発達したことから、日本ではアメリカンバイクとも呼ばれている。それをイタリア流のセンスによって味つけしたのが、ドゥカティ『ディアベル』である。従来のクルーザーと一線を画す独創的なデザインをもつ『ディアベル』は、2011年にデビューするや世界中で大ヒット。そして今回、第二世代へと進化した。

クルーザーでも「走りはやっぱりドゥカティ」。ファンの期待に応えるキャラクター

2010年にEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で発表された初代『Diavel(ディアベル)』は、斬新なデザインだけではなく、従来のドゥカティのイメージと異なるクルーザージャンルに挑戦したモデルとして話題を集めた。じつは、ドゥカティは2014年にフォルクスワーゲングループに属するアウディに買収され、その傘下となっている。レース由来のスポーツモデルというブランドのアイデンティティを脇に置き、経営戦略を優先した結果の新型車と見る者が多かったことも、注目された理由のひとつだったのだろう。

しかし、初代『ディアベル』は見た目以上にスポーティで、実際にライディングを味わった人々からは「やっぱり走りはドゥカティ」との評価を得ることが多い。そうしたユーザーの声は、期待どおりのキャラクターに仕上げられていることを証明するものだ。

その『ディアベル』が第二世代へと進化した。ドゥカティは3月に開催されたジュネーブモーターショーで2019年モデルの発表を行ったが、そこで専用スペースを与えられ、ショーのアイコンモデルとしてお披露目されたのが『ディアベル1260』だ。しかも、2014年のようなマイナーチェンジではなく、すべてを見直した2代目としての登場である。

低回転域でもパワフルな排気量1262ccの「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載

アイコニックな外観は、シルエット自体に大きな変化はない。しかし、全体にボリュームアップしており、重量感も増していると感じる。トレリス(格子状)フレームもまったく新しくなり、ぱっと見た印象としては、よりヒール(悪役)感が演出されているようだ。短いシートエンドとスラッシュカットで跳ね上がるサイレンサーエンドは、リアまわりをすっきりとさせた。同時にマスが凝縮されているようで、鍛えられた筋肉を連想させる。

その細部への作り込みによる質感の高さが評価されたのか、『ディアベル1260』は第二世代であるにもかかわらず、ドイツの権威あるプロダクトデザイン賞「Red Dot Award 2019:Best of the Best(レッド・ドット・デザイン賞)」にも輝いているくらいだ。

エンジンは、初代から継承されてきた排気量1198ccの水冷L型ツインからスープアップされ、1262ccの強力な「テスタストレッタDVT」エンジンを搭載。それにより、最高出力は従来の152hp/9000rpmから159hp/9000rpmへ、最大トルクは12.5kgm/8000rpmから13.2kgm/7500rpmへとそれぞれ高められている。車体重量はドライウエイトで218kgもあるが、これだけのトルクがあれば低速域でも軽快に扱えるはずだ。

ドゥカティ自身も新エンジンについて、「息を呑む加速とスムーズな低回転域のパワー特性を備え、日常ユースにも長距離ツアーにも対応する」としている。そのパワーを受け止めるのは、『ディアベル』のトレードマークである極太のリアタイヤだ。クルマ並の240mmという超ワイドタイヤを装着し、ボッシュ製のコーナリングABSも標準装備された。

特別なコンポーネントを与えられたスポーティ仕様車『ディアベル1260 S』も設定

新型には標準仕様に加えてスポーティな「S」バージョンも設定された。こちらには、専用のシートとホイールが与えられるほか、ブレンボ製M50ラジアルマウント・モノブロック・ブレーキ・キャリパー、オーリンズ製サスペンションなどを装備。さらに、クラッチ操作をせずに変速できる「クイックシフトアップ&ダウンエボ」も標準装備される。

『ディアベル1260』は、すでに1月半ばからボローニャにあるドゥカティの本社工場で生産が始まっており、ヨーロッパでは3月から販売が開始された。日本での発売は7月ごろを予定している。4月13日には大阪で「Ducati Diavel Meeting」が開催されたが、なんとこのミーティングの参加者は現行『ディアベル』のオーナー限定だった。新型のオーナーになれば、こうした特別なイベントへの招待状がドゥカティから届くかもしれない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Ducati Motor Holding S.p.A
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Ducati Diavel 1260 オフィシャル動画
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