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第2回 | アルファロメオの最新車デザイン・性能情報をお届け

手が届くスーパーカー、アルファ・ロメオ4Cスパイダー

2014年に国内導入されたミッドシップ・プレミアムスポーツカー『アルファ・ロメオ4C』は、1930年代に活躍したレーシングカー『アルファ・ロメオ8C』、そして、1940年代にロードカーとして名声を得た『アルファ・ロメオ6C』の正当な後継。いわく、「"偉大なアルファ ロメオ”への回帰を表わすと同時に伝統を継承する1台」である。その『4C』のオープントップモデルが『アルファ・ロメオ4Cスパイダー』だ。

スーパーカー並みのパワーウェイトレシオ

『8C』がパワフルな8気筒を、『6C』が革新的な6気筒のエンジン搭載したように、『4Cスパイダー』は、最高出力240ps/6000rpm。0-100km/hはわずか4.5秒で達する加速性能をもつ「1750cc4気筒オールアルミニウム直噴ターボエンジン」を搭載している。最大トルクは350Nm、その80%が1700rpmの低回転から発生することから、非常に速やかなトルクの立ち上がりであることがわかる。

加速性能を実現したもうひとつのポイントが、徹底した軽量化だ。F1や最先端のスーパーカーを検証対象とし、低密度SMC(ガラス繊維強化樹脂)製のボディパネルや手作業で製作されたカーボンファイバー製モノコックなどを採用。1060kg(日本仕様)という驚きの車両重量を実現した。パワーウェイトレシオは4.4kg/psと、スーパーカーと比較しても遜色がないレベルだ。

この動力性能を最大限引き出すクラッチは、パドルスイッチで操作する「Alfa TCT(6速乾式デュアル・クラッチ・オートマチック)」。『4Cスパイダー』に合わせて特別なチューニングが施されており、130ミリ秒の高速シフトを実現する高精度さでドライバーの意志に即応してくれる。

最新の電子制御でドライビングをアシスト

また、エンジン、トランスミッション、電子制御式ディファレンシャルロック、ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール)の設定を最適化する「Alfa Romeo D.N.A.システム」も特徴のひとつ。

悪天候時のコントロール性を確保した「オールウェザー(All weather)」、快適性と滑らかなドライバビリティを実現する「ナチュラル(Natural)」、パワートレイン設定をよりアグレッシブなものにする「ダイナミック(Dynamic)」、レース走行時に車のコントロールを全面的にドライバーに委ねる「アルファ レース(Alfa Race)」の4つのモードで、ドライビングをアシストしてくれる。

歴史に名を刻んだ伝説の名車のシルエット

走りの魅力は官能的なエクステリアからも感じ取ることができるだろう。基本のフォルムは『4C』を踏襲し、そこに、オープントップならではの開放感が加わっている。余談だが、そもそも『4C』は、1967年に航空工学を応用し、鋼管フレームにマグネシウム合金部材を組み合わせた複合構造の新型シャシーを採用し「アルファ・ロメオ」の歴史にその名を刻んだ名車『Tipo33/2 Stradale』のシルエットを用いている。

サイズは、全長3990mm、全幅1870mm、全高1190mm、ホイールベース2380mmのライトウェイトスポーツカー。しかし、サイドビューは、彫刻的なエアインテークを起点に逞しくダイナミックなフォルムがヘッドライトまで達して引き締まった肉体を思わせる。リアフェイスパネルと円形のLEDテールランプは、たくましいリアフェンダーに融け込んで、こちらも筋肉質で力強い姿勢を生み出している。

コクピットは、運転操作に関係する基本コンポーネントのみをシンプルかつスタイリッシュに統合してある。7色のボディカラーに合わせてシートの素材や色を組み合わせることができるのも魅力だ。

『4Cスパイダー』の価格は861万8400円(税込み)。イタリア・モデナのマセラティ工場にて手作業で生産され、低密度SMC製のボディパネルやカーボンファイバー製モノコックなど、スーパーカーに使われるような装備を用いていると考えれば破格の価格。これは、「手が届くスーパーカー」と呼んでも差し支えないだろう。クルマ好きなら、食指が動いてしまう1台だ。

Text by Tsukasa Sasabayashi

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第10回 | アルファロメオの最新車デザイン・性能情報をお届け

赤白のジュリアとステルヴィオ──F1本格復帰に注目せよ

今シーズンのF1開幕戦となったオーストラリアGPは、レッドブル・ホンダが3位表彰台を獲得したことで日本でも大きな注目を集めた。しかし、このレースで首位から1ラップ遅れの8位でゴールしたマシンのことを覚えている人は少ないかもしれない。その白と赤のカラーリングのマシンは、コクピット後方に「Alfa Romeo」のエンブレムが大きく描かれていた。そう、昨シーズンに33年ぶりのF1復帰をはたしたアルファロメオである。昨年は「アルファロメオ・ザウバーF1チーム」としての復帰だったが、今年は「アルファロメオ・レーシング」にチーム名を改めて参戦。それを祝して発表された特別仕様の限定モデルが、F1マシンと同じカラーをまとった『ジュリア』と『ステルヴィオ』だ。

初代チャンピオンのアルファロメオがF1本格復帰。じつはモータースポーツの名門

アルファロメオは現在、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の一員としてプレミアムかつスポーティなセダンやハッチバックを生産・販売している。モータースポーツ好きでなければ、そのアルファロメオが「なぜF1に?」と思うかもしれない。

しかし、1910年にミラノで創業したアルファロメオの長い歴史は、つねにレースとともにあった。F1グランプリが誕生したのは1950年のことで、その最初のレースとなったのはイギリスGP。この記念すべきレースで優勝したのが、じつはアルファロメオなのだ。同年に7戦中6戦で勝利を収める快挙を成し遂げ、初代チャンピオンにも輝いている。

フェラーリを創業したエンツォ・フェラーリがモータースポーツの世界に入ったのも、アルファロメオのテストドライバーになったのがきっかけだ。エンツォはその後、自らのレーシングチーム「スクーデリア・フェラーリ」を設立し、F1を舞台に古巣のアルファロメオのマシンを打ち破る。それにより世界的な名声を得たことで、フェラーリの市販車の認知度も高まった。アルファロメオの存在抜きにフェラーリを語ることはできないのである。

もっとも、アルファロメオのF1復帰は当初、コンストラクターとしてでなければパワーユニット供給でもなく、スイスのF1チーム「ザウバー」との技術的パートナーシップという形にすぎなかった。しかし、今シーズンからはアルファロメオとザウバーの提携関係がさらに進み、「アルファロメオ・レーシング」として参戦。それにともない、メディアの報道やリザルトなどでチーム名が「Alfa Romeo」と表記されるようになった。

これを記念してアッパーミドルセダンの『ジュリア』とSUVの『ステルヴィオ』に設定されたのが、限定モデルの「アルファロメオ・レーシング・リミテッドエディション」だ。「今シーズンこそが本格的なF1復帰」という意気込みが伝わってくるようでもある。

アルファロメオ・レーシングのF1マシンと同じカラーリングをまとった限定モデル

「アルファロメオ・レーシング・リミテッドエディション」の最大の特徴は、トロフェオホワイト&コンペティツィオーネレッドのカラーリングだ。アルファロメオ・レーシングのF1マシン『C38』のカラーは、ホワイトを基調にアルファロメオ伝統のロッソ・コルサ(レーシング・レッド)を組み合わせたもの。これと同じカラーリングをまとっている。

ボンネットに描かれたアイコニックな蛇のデザインは、むろん「ヴィスコンティ家」の紋章だ。アルファロメオのなんとも特徴的なエンブレムは、創業の地であるミラノの紋章「聖ゲオルギウス十字」と、ミラノと北イタリアを支配していたイタリア貴族、ヴィスコンティ家の紋章を組み合わせている。そのエンブレムはリアサイドに赤白反転で描かれた。

足回りもF1マシンのようだ。ブラックのホイールに組み合わされるピレリ製タイヤはイエローのレタリングが入り、ブレーキキャリパーはレッドにペイント。ドアミラーやサイドスカートインサートにはカーボンファイバーが用いられ、『ジュリア』はルーフもカーボンファイバー製となる。よく見ればフロントバンパーにカナード(スラストスポイラー)が装着されていることがわかるだろう。『ジュリア』『ステルヴィオ』ともに、特別仕様車のベースとなったのはラインナップの頂点に立つハイパフォーマンスグレードの「クアドリフォリオ」。それを示す四つ葉のクローバーをあしらったシンボルマークも装着される。

「アルファロメオ・レーシング・リミテッドエディション」の発売時期や価格は未定

エンジンやメカニズムに変更はない。両モデルともに、最高出力510ps、最大トルク600Nmを発生する2.9L V6ツインターボエンジンを搭載し、8速ATを組み合わせる。しかし、ドライバーの足元にカーボンセラミック製ブレーキ、リアにアクラポビッチ製チタンエキゾーストが装着され、カラーリングと同じく“よりレーシー”に仕上げられている。

そのほかの専用装備としては、赤いステッチが入ったカーボンファイバー・シェルのスパルコ製レーシングシート、やはりカーボンファイバーのインサートが入るステアリングホイールとシフトノブなどを備える。これらも、見るからにレーシーな雰囲気だ。

「アルファロメオ・レーシング・リミテッドエディション」の発売時期や価格は発表されておらず、日本に導入されるかどうかも未定。とはいえ、F1ファンならずとも魅力的なモデルであることは間違いない。なお、アルファロメオ・レーシングは第2戦のバーレーンGPでもファーストドライバーのキミ・ライコネンが7位に入り、入賞まであと一歩に迫った。レッドブル・ホンダだけではなく、アルファロメオ・レーシングも要注目である。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Alfa Romeo Automobiles S.p.A.
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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