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第6回 | メルセデス・ベンツの最新車デザイン・性能情報をお届け

メルセデス・ベンツの名車『W124』いまだに衰えない人気の秘密とは

メルセデス・ベンツの企業理念にある「最善か無か」の哲学。この哲学を受け継ぐのが、1985年から1995年にかけての10年間にメルセデス・ベンツで製造されていた「W124」というモデルである。W124の人気はいまだに衰えず、中古車市場では高値で取り引きされることもある。なぜW124は多くの人々に愛され続けるのか。デビューから30周年を迎えた節目に、あらためてその魅力を掘り下げてみたい。

中核セダン「Eクラス」の前身となったW124

「W124」とは、メルセデス・ベンツで製造されていた当時のコードネームで、ミディアムクラスの4ドアセダンにあたる。同系列には、5ドアステーションワゴンの「S124」(下の写真)、2ドアクーペの「C124」、6ドアリムジンの「A124」もあり、W124はのちに「Eクラス」へと名称を変え、現在までメルセデス・ベンツの中核セダンとしてラインナップされている。

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デビューから販売終了までの間には、4度のマイナーチェンジが繰り返された。1989年までの前期型で目につくのは、過剰な装飾を加えず、「質実剛健」という言葉がピッタリなシンプルな内外装。その後、1990年に登場した中期型ではドアミラーがボディと同色に変更され、インテリアの端々に木目がより多く取り入れられるようになった。

1993年には中期型のデザインを踏襲しながら、エンジンをSOHCからDOHCに変更。エアバッグが搭載され、その後、最終形となる後期型ではバンパーのカラーリングやフロントライトのデザイン、ウインカーの色などエクステリア面での変更が目立った。それまでの「ミディアムクラス」から「Eクラス」へと名称を変更したのもこのときだ。

(C)FotoSleuth
(C)Phalinn Ooi

「最善か無か」を体現するボディの剛性感

「最善か無か」とは、創業者であるカール・フリードリヒ・ベンツの言葉である。妥協を許さないモノ造りにこだわるブランドにおいても、W124をその「最終形」と称する声も少なくない。

デビューから30年が経過した今でも、人気は健在である。思いを馳せるユーザーはいまだに多く、W124からW124へ乗り継ぐ人たちも存在する。実際、中古車相場を見ると、年式がより古いモデルであっても、比較的高値で取り引きされる場合があるのだ。

魅力のひとつに挙げられるのが、ボディの剛性感。車に包まれ、守られるような感覚というのは、W124ファンの間でよく語られる表現だ。屈強さや頑丈さという言葉もよく見られるが、現存する個体を自らの手で力を注いでメンテナンスし、大切に取り扱う人たちも多い。インターネット上では、W124を取り扱った書籍や雑誌にプレミアが付いている事例が多数あり、長きに渡り愛されているという事実を体現している。

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直列からV型への変わり目に生まれたW124

ドイツ車らしさや、メルセデス本来の乗り味というのも、W124ファンの間でよく使われる言葉だ。先述したボディの剛性感が寄与しているといえるが、背景には、本国ドイツでW124がタクシーに使われていたということがある。包み込む感覚をもたらすほどの強固さは、特に高速走行時の安定性から味わえる。

また、同じドイツ発のブランドで、ライバルのBMWが直列エンジンにこだわるのとは対照的に、2000年代に向かうなかでV型エンジンへの転換を図ったメルセデス・ベンツ。その変わり目にあったW124の魅力を、エンジンに求める声もある。2.4L以下は直列4気筒、2.6L以上には直列6気筒、4L以上がV型8気筒となるが、そのなかでも直列6気筒エンジンを搭載したモデルの人気が高い。

車とは人それぞれの個性を表すものでもある。自分がなぜ目の前の1台を選んだのか、W124は不思議と内に潜むこだわりを誰かに伝えたくなるモデルだ。デビューから30年。長きにわたり愛されてきたのはもちろん、この先もきっとその存在感は語り継がれていくのだろう。

Text by Syuhei Kaneko

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第74回 | メルセデス・ベンツの最新車デザイン・性能情報をお届け

メルセデスAMG A35サルーン──今度の入門機はセダン

メルセデスAMG『A35 4マチック』は、昨年10月にAMGのボトムレンジに加わったホットハッチだ。その上位には、やはりハッチバックの『A45 4マチック』、そしてセダンやクーペの『C43』がある。しかし、メルセデス・ベンツはAMGのエントリーモデルにもっと多くの選択肢を用意すべきと考えたのだろう。3月に発表されたのは、『A35 4マチック サルーン』という名のニューモデル。そう、スポーツセダンの『A35』である。

セダン仕様の『A35』のライバル車はBMW『M240i』やアウディ『S3サルーン』

『Aクラス セダン』は、昨年9月に歴代の『Aクラス』で初となる4ドアセダンとしてデビューした。『A35 4マチック サルーン』は、ひと言でいうと、その高性能バージョンである。ライバルはBMW『M240i』やアウディ『S3サルーン』といったところだろう。

パワーユニットはハッチバックの『A35 4マチック』と同じ2.0L直列4気筒直噴ガソリンターボエンジン。最高出力306ps、最大トルク400Nm、最高速度250km/h(リミッター作動)のスペックはハッチバックと変わらないが、0-100km/hの加速タイムは4.8秒とハッチバックにわずかに遅れをとる。とはいえ、その差は0.1秒なので、ほとんど同等の動力性能といっていい。トランスミッションは7速DCTの「AMGスピードシフトDCT 7G」。駆動方式は車名にあるとおり、AMGパフォーマンス4マチックによる四輪駆動だ。

むろん、サスペンションやブレーキはAMGがチューンした専用のもの。AMGダイナミックセレクトにより、シーンに合わせて「コンフォート」「スポーツ」「スポーツプラス」「インディビジュアル」「スリッパリー」の5つのドライビングモードが選択できる。「スポーツ」「スポーツプラス」では、奏でるエンジンサウンドもより迫力を増すという。

ハッチバックの『A35 4マチック』と同じように見えて微妙に異なるエクステリア

エクステリアは、フロントマスクだけを見るとハッチバックと共通のものと感じる。ひと目でAMGモデルとわかるフロントグリルのツインルーバー、バンパーのフラップ付きエアインテークなどは同じデザインだ。しかし、よく観察すれば、ハッチバックに採用されている特徴的なバンパー横のカナードがセダンでは取り除かれていることがわかる。

なによりも、ハッチバックとの大きな違いは、セダンボディを得たことによってトランクルームを設けたことだ。リアセクションは、トヨタで言うところの「リフトバック」スタイルで、トランク内には幅950mm、奥行462mm、最大容量420Lのラゲッジスペースを確保した。リアディフューザーはハッチバックに比べるとやや落ち着いたデザインとなり、その左右の下からは、AMGモデルらしく2本のエグゾーストパイプが顔を覗かせる。

コクピットも、写真を見るかぎりハッチバックと共通だ。ブラックを基調とし、そこへボディと同色のラインがアクセントカラーとして添えられる。アルティコの人工革張りシート、AMGスポーツステアリングを装備し、当然ながら、AIを用いたデジタル・パーソナル・アシスタントを備える最新のインフォテインメントシステム「MBUX」も搭載する。

サルーン仕様の『A35』はAMG世界への入口。新たな顧客にアピールできるモデル

『A35 4マチック サルーン』の日本導入時期は未定。なにしろ、今年1月からハッチバックのヨーロッパ販売が始まったばかりなのである。そのヨーロッパでは、今年後半からセダンが販売される予定で、日本国内へはその後に上陸することになるのではないか。

「スポーツサルーンは、メルセデスAMGの原点であり、コンパクトセダンのA35はAMGの世界への入口となり、新たな顧客にアピールできる魅力的なモデルとなることでしょう」とは、メルセデスAMGのトビアス・ムアースCEOのコメントだ。先行するライバルのBMW『M240i』やアウディ『S3サルーン』にどこまで迫れるか、要注目である。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Daimler AG
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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