DeNA・上茶谷は最後まで隙を見せなかった。9回1死一塁、宮本を外角低めに制球した143キロ直球で遊ゴロ併殺打に。低迷にあえぐヤクルトの攻撃陣を手玉に取り、初完投で新人完封一番乗り。チームを2度目の4連勝に導いた。
「前回は9回に打たれてしまったので、もう一度気持ちを入れ直した。高めはボール球でファウルを打たせ、低めはストライクにと投げ分けられた」
5月25日の阪神戦(横浜)では勝利こそ手にしたが、完封ペースだった9回に糸井に3ランを浴びるなど4失点。完投すらできず体力不足を実感した。反省に立ったこの日は、立ち上がりから上々だった。夏を思わせるような暑さの中、直球は常時140キロ台中盤。カットボールもさえた。5点リードの5回は無死一、三塁から代打雄平を見逃し三振、坂口はニゴロ併殺打に仕留めた。
相手先発は同じドラフト1位で、大学時代に東都大学リーグで競った清水。「意識はした。でも試合に入ったら自分のことに集中できた」と上茶谷は言う。2回1死満塁で巡ってきた打席ではスライダーに食らいつき、中前打。自らのバットで先制点を奪い、ピッチングもリズムに乗った。
ラミレス監督は「全部良かった。特に投げる方では、スタミナをキープして安定していたね」と称賛した。先発陣が結果を残し、2カード連続の勝ち越し。ルーキーの快投で勢いはさらに増し、交流戦前最後の一戦で今季初の5連勝を狙う。 (石井智昭)