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第4回 | ランドローバーの最新車デザイン・性能情報をお届け

67年の歴史に幕を下ろす名車“ディフェンダー”の軌跡

英国で生まれたオフロード4WD「ランドローバー・ディフェンダー」が、ついに生産終了を迎える。1948年の登場以来、デザインを一新することなく改良に改良を重ね、常に第一級の走破性と堅牢性を維持。世界の道なき道を走破してきた名車だ。長きにわたる歴史の幕が下ろされようとしている今、ディフェンダーの歩みを振り返ってみたい。

世界の四駆の歴史を変えた1台の農作業車

ランドローバー・ディフェンダーの原点は、1948年のアムステルダム・モータショーに登場したオープンピックアップだった。まだ「ディフェンダー」の名はなく、単に「ランドローバー」と呼ばれたこのモデルは、全長3.35mの小さなボディに1.6Lのガソリンエンジンを搭載し、農作業車として誕生した。当時の英国では、乗用車の販売に高額の税金が課せられ、農作業車は非課税だったのである。このランドローバーは予想を覆す大ヒットを飛ばし、一躍その名を世界に知らしめた。

ステーションワゴンやディーゼルエンジンモデルを追加するなど、のちに「シリーズ1」と呼ばれるようになった初代ランドローバーは、バリエーションを拡大し、最初の10年間で21万台以上を販売したという。

1957年には「シリーズ2」に進化し、それまでまっ平らな鉄板だったサイドドアに膨らみが与えられた。しかし、基本的な設計は変わらず、排気量を拡大したりバリエーションを増やしたりなど四輪駆動車としての走破性と堅牢性を磨きながら、1971年まで生産された。

「見た目はそのまま、中身は最新」の伝統

「シリーズ3」の登場は1971年。金網が張られていただけのフロントグリルに、プラスティック製の近代的なデザインが与えられたことが、外観上の大きな違いだ。1979年には、1970年にデビューしたレンジローバーのV8エンジンやフルタイム4WDシステムが搭載されるなど、「見た目はそのまま。中身は最新」という、ディフェンダーの伝統が生まれる。

そして1983年にランドローバー110(ワンテン)が登場。左右に分割されていたフロントガラスが1枚になり、全モデルでヘッドライトとグリルがフラットなデザインとなるなど、後年まで続くスタイリングが完成する。メカニズムの面では、足回りがリーフからコイルスプリングになり、パワーステアリングやディスクブレーキなどが採用され、一気に近代化が図られた。110とは、ホイールベースの長さが110インチであることを表す。2ドアのショートボディはランドローバー90だ。

(C)Greg Donikian

「ランドローバー」がそれまでの車名からブランド名に昇格し、「ディフェンダー」の名がつけられたのは、1989年にレンジローバーをベースに開発されたSUV「ディスカバリー」が誕生した翌年の1990年のこと。ディフェンダーとなってからは、ローバージャパンによって少数が正規輸入された。

生産終了までに残された時間はあとわずか

ディフェンダーの名が与えられてからは、ディスカバリーとともにアップデートが行われ、エンジンなどが改められる。最後に大きなマイナーチェンジが行われたのが、2007年だ。外観はほとんど変わらないものの、インテリアにはディスカバリー3と共通パーツが与えられたモダンなデザインとなった。ABSやETC(トラクションコントロール)などの電子デバイスも装着可能となり、「見た目はそのまま。中身は最新」のディフェンダーらしさがここに極まる。

生産終了の噂は、2000年代に入ってから何度も流れたが、そのたびにいい意味で期待を裏切ってくれたのが、ディフェンダーだった。しかし、年々高いレベルで求められるようになる環境性能や安全性能に応えるのも、そろそろ限界がきたらしい。2015年、ついに生産終了がアナウンスされた。総生産数は200万台超。当初、年内に終了する予定だった生産は、予想を上回る受注台数により2016年初頭まで伸びたという情報もあるが、1948年から始まった歴史に幕が下ろされるまでの時間がわずかなことには違いない。ディフェンダー(守護神)なきあとのランドローバーは、一体どのようなモデルを展開してくのだろうか?

Text by Muneyoshi Kitani

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第16回 | ランドローバーの最新車デザイン・性能情報をお届け

今度の驚きは速さ──最強のレンジローバー ヴェラール

『レンジローバー』シリーズにおいて、「SV オートバイオグラフィー」のバッジはその頂きに立つ最強グレードを意味する。心臓部には圧倒的なパフォーマンスを誇る5.0L V8スーパーチャージャーガソリンエンジン。それでいて、内外装の仕立ては極めてラグジュアリー。まさにすべてを兼ね備えたスーパーSUVである。今年2月、ランドローバーはその特別なグレードを『レンジローバー ヴェラール』に設定。洗練されたスタイリングで驚きをもたらしたミッドサイズSUVに、かつてない速さとスポーティさが加わった。

『レンジローバー ヴェラール』に最強仕様の「SVオートバイオグラフィー」が登場

『レンジローバー』シリーズは、フラッグシップの『レンジローバー』を筆頭に、『レンジローバー スポーツ』『レンジローバー ヴェラール』『レンジローバー イヴォーク』の4モデルが展開される。この並びでわかるとおり、「ヴェラール」は「スポーツ」と「イヴォーク」との間を埋める存在として2017年に登場したシリーズ第4のモデルだ。

その特徴は、とりわけスタイリングを重視した「アヴァンギャルドなレンジローバー」であること。ハンドルを内部に格納するポップアップ式のデプロイアブルドアハンドルも目を引くが、なにより低く絞り込まれたルーフラインが最大のハイライトだ。写真では『レンジローバー スポーツ』に近い印象を抱くかもしれないが、実車を目にすればほかの『レンジローバー』シリーズの角張ったイメージと異なる優美な造形をもっていることがわかるはずだ。なめらかな曲線を描く美しいフォルムは、削り出した卵にも例えられる。

今回新たに登場した『レンジローバー ヴェラール SVオートバイオグラフィー・ダイナミック・エディション』は、このスタイリッシュなミッドサイズSUVの頂点を極める高性能グレード。もちろん、これまででもっとも速くパワフルな「ヴェラール」となる。

開発はカスタマイズ部門の「SVO」。その最高出力は550馬力、最高速度は274km/h

開発を担ったのは「SVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)」。イギリス中部、ウェスト・ミッドランズ州コベントリーにあるSVOテクニカルセンターを拠点に、特別仕様のリミテッドエディションやパーソナライゼーションなどを手がけ、その技術によりパフォーマンスとラグジュアリーを極めた多くの特別なモデルを生み出してきた。

むろん、『レンジローバー SV オートバイオグラフィー』『レンジローバー SV オートバイオグラフィー・ダイナミック』『レンジローバー スポーツSVR』といった上位車種にラインナップされる高性能グレードも、SVOによって開発された車両たちである。

まず目を引くのは圧倒的なパフォーマンスだ。パワートレインは、ほかの高性能グレードと同じく5.0LのV型8気筒スーパーチャージャーガソリンエンジン。最高出力405kW(550ps)/6000~6500rpm、最大トルク680Nm(69.3kgm)/2500~5500rpmを発揮し、0-100km/h 加速は4.5秒、最高速度は 274km/hに達する。とても車重2トンを超えるミッドサイズのラグジュアリーSUVとは思えないスペックである。

当然、この大パワーを路面に伝えるために足回りやトランスミッションも強化された。アルミ製パドルシフトで操作するトランスミッションはドイツのZF製8速クイックシフトATで、専用チューンが施されている。前395mm、後396mm径のブレーキも強化され、エレクトロニックアクティブディファレンシャルやステアリング、ダンパー、アンチロールバー、スタビリティコントロールなどにも専用チューニングが施されている。

駆動方式はオンデマンド4WDで、インテリジェント・ドライブライン・ダイナミクス・システムが前後で駆動トルクを配分し、後輪駆動にもなる。また、SVヴァリアブルエグゾーストシステムにより、走行状況に応じてV8サウンドを変化させることも可能だ。

最強仕様らしくエクステリアはスポーティで洗練され、インテリアはラグジュアリー

エクステリアは、高性能グレードらしくスポーティに仕上げられた。フロントバンパーとリヤバンパーは専用パーツ。より冷却効果を高めるためにフロントには大きなエアインテークを備え、リヤは4本出しの軽量エグゾーストパイプを収めるためにディフューザー形状に改められた。21インチ鍛造アルミホイール(22インチも選択可)とともに、「SV オートバイオグラフィー・ダイナミック」の名にふさわしいルックスとなっている。

ボディカラーはSVOのプレミアムパレットシリーズのブルーメタリック塗装となり、ブラックルーフを標準装備。リヤには「SV Autobiography」のエンブレムを装着した。

インテリアはシンプルで美しく、ラグジュアリーだ。タッチパネルディスプレイを多用したフラットなインターフェイスは「ヴェラール」全車に共通する先進的でスタイリッシュなもの。そこへキルティング加工が施されたツインステッチ・パーフォレイテッドレザーのシートとスポーツレザーステアリングを装備。20ウェイ電動調整機能、さらにシートヒーター&クーラー、メモリー&マッサージ機能を標準装備する。ローレット加工が施されたダイヤルスイッチ類も特別な一台であること主張するラグジュアリーなパーツである。

イギリス本国での価格はおよそ1273万円。そう遠くないうちに日本にもやって来る?

当然ながら、先進運転支援システム(ADAS)も搭載する。おもな装備を挙げると、自動緊急ブレーキ、車線逸脱警告、360度ビュー&パーキングガイド機能付きサラウンドカメラシステム、ブラインドスポットアシスト、レーンキープアシストといった具合だ。

イギリス本国での価格は8万6120ポンド。日本円に換算するとおよそ1273万円だ。すでに、日本市場には『レンジローバー SV オートバイオグラフィー』『レンジローバー SV オートバイオグラフィー・ダイナミック』『レンジローバー スポーツSVR』が導入されている。新たに「ヴェラール」に加わった「SV オートバイオグラフィー・ダイナミック・エディション」が上陸する日も、そう遠くないうちにやって来るに違いない。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Jaguar Land Rover Automotive PLC
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Range Rover Velar SVAutobiography Dynamic Edition オフィシャル動画
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