editeur

検索
サービス終了のお知らせ
第10回 | 大人のための最新自動車事情

アメリカの象徴、シボレー・コルベットの歴代モデル

アメリカのクルマはいつだって自由の象徴だ。小さな頃に見た、あのハリウッド映画の主人公の乗っていたクルマもアメ車だった。日本人にとってアメ車とは、クルマの分類のひとつ、というもの以上のなにかを持っているのではないだろうか。そんなアメ車の中でもひときわ大きな存在感を醸し出しているのが、シボレー・コルベットである。1954年の市販開始から、2014年に登場した7代目となる現行モデルまで、60年以上にも渡って愛される“アメリカの象徴”ともいえるコルベットの歴史をご紹介しよう。

V8エンジン搭載によりモータースポーツシーンで脚光

1953年にプロトタイプが発表された初代コルベットは、強固なスチール製のフレームに量産車としては初となるFRPボディパネルを貼りつけた先進的な技術を投入し、流麗な2シーターオープンモデルであった。

しかし、当初搭載されたエンジンは旧態依然とした直列6気筒のOHVエンジンで、そのスポーティなフォルムに似つかわしくない貧弱なものであった。そこでメーカーはマイナーチェンジのタイミングで現在まで引き継がれるV8エンジン搭載車を設定。もともと高いポテンシャルを持っていたボディと相まって、瞬く間にモータースポーツシーンで脚光を浴びるモデルとなったのである。

歴代モデルのなかでも高い人気を誇る3代目“C3”

1968年には3代目となる通称C3へとフルモデルチェンジが実施される。先代のC2(上の写真)に採用されたリトラクタブルライトを引き続き採用しながらも、それまでのアメリカンマッスル的なデザインから欧州スポーツカー的なデザインへと変貌を遂げた。しかし、グラマラスに膨らんだ前後フェンダーと、くびれにも見えるボディ中央部のコントラストが美しいボディラインはコークボトルと呼ばれ高い人気を博し、結果的に14年にも渡る長いライフサイクルとなったのだ。

(C)Alexandre Prévot

コルベットに搭載されるエンジンのパワー競争はとどまることを知らず、3代目コルベットに搭載されたエンジンは排気量7.4リッター、パワーは460PSまでに達していた。しかし、その後の排ガス規制や石油危機などの影響もあり、大排気量、大出力のエンジンはラインナップから消えることとなり、1982年にはマニュアルトランスミッションがラインナップから落ち、新たにグランドツーリングカー的なキャラクターが与えられた。

そして2014年にはC7と呼ばれる7代目へとフルモデルチェンジ。伝統のV8エンジンは460PSを発生しながらもリッター8.9km(カタログ値)の低燃費を実現し、マニュアルトランスミッションはついに7速へと進化している。もちろんロングノーズショートノーズのプロポーションはそのままで、アメリカンスポーツカーという1953年に登場したコンセプトは言うまでもなく不変である。

Text by Koichi Kobuna

ピックアップ
第129回 | 大人のための最新自動車事情

マッチョな軍人たちへ──愛国仕様のダッジチャージャー

『ワイルド・スピード』の第一作が公開されたのは2001年のことだ。主人公ドムの愛車は、圧倒的パワーをもつ古き良き時代のダッジ『チャージャー』。言わずとしれたマッスルカーである。あれから10余年。アメリカでは今、シリーズにたびたび登場する1960〜70年代の『チャージャー』の価値が上昇し続けている。なにしろ、このSUV全盛の時代にあって、現行の『チャージャー』『チャレンジャー』までもが10年間で70%も販売台数が伸びているのだ。そして、この人気を逃すまいとブランドもさまざまな限定車やオプションを設定。今年4月には、なんとも印象的なストライプのカスタムルックが登場した。

モダンマッスルカーの代表車種2台。ダッジ『チャージャー』と『チャレンジャー』

マッスルカーとは、広義では大排気量のV8エンジンを搭載するハイパフォーマンスのアメリカ車を指す。狭義では1968年から1971年にかけて作られた高性能でハイグレードなアメ車のこと。フルサイズのセダンやクーペ、後輪駆動車が多い。したがって、より正確にいうと、現行車種はマッスルカーではなく、ニューマッスルカーなどと呼ばれる。

そのモダンなマッスルカーのひとつが、ダッジブランドの現行『チャージャー』『チャレンジャー』だ。『チャージャー』は2ドアクーペで、いわば生まれながらのマッスルカー。『チャレンジャー』は4ドアセダンで、フォード『マスタング』と同様にポニーカー(手頃な価格のスポーティカー)として誕生した。いずれも現行型は第三世代で、発表されてから10年以上の時を刻んでいる。にもかかわらず、本国では依然高い人気を誇るモデルだ。

その証拠に、4月のニューヨークオートショー2019において、2台の上位グレードに設定可能な特別パッケージが発表されると、それだけでニュースになったほど。パッケージの名称は「stars & stripes edition(スター・アンド・ストライプス・エディション)」。ミリタリーをテーマとする渋いストライプをまとったカスタムルックのオプションである。

テーマは星条旗。フロントからリアにかけて走る極太のサテンブラック・ストライプ

「stars & stripes edition」は、その名のとおり、「スター・アンド・ストライプス(星条旗)」をテーマにしたカスタムルックだ。最大の特徴は、フロントからリアにかけてボディを覆うようにペイントされたサテンブラックのストライプ。この極太ストライプの正面に向かって右側、つまりドライバーズシート側には、シルバーの縁取りが入っている。

シートはブラックのファブリック(布製)で、ヘッドレスト側面に刺繍されたブロンズのスターが目を引く。このブロンズカラーはシートとステアリングホイールのステッチにも使用されている。そのほか、ボディ側面にさりげなく描かれている星条旗、20インチホイール、前後のスポイラー、装備されるバッジ類は、すべてサテンブラック仕上げだ。

選択できるボディカラーは、「デストロイヤーグレイ」「F8グリーン」をはじめ、「グラナイトクリスタル」「インディゴブルー」「マキシマムスティール」「オクタンレッド」「ピッチブラック」「トリプルニッケル」「ホワイトナックル」の全9色。写真の『チャージャー』はデストロイヤーグレイ、『チャレンジャー』がまとっているのはF8グリーンだ。

軍人や愛国精神をもつマッチョたちのために設定されたカスタムルックのオプション

「統計によると、軍人が購入するアメリカンブランドのなかで、もっとも人気があるのはダッジ」。これはダッジのプレスリリースにある一文だ。とりわけ、彼らがもっとも多く選択しているのが『チャージャー』と『チャレンジャー』だという。つまり、軍人や愛国精神をもつマッチョな男たちのために設定されたのが今回の星条旗ルックというわけだ。

愛国精神はともかく、マッスルカーがマッチョな男に似合うのは『ワイルド・スピード』シリーズを見れば一目瞭然。日本人はよほど筋トレしないとむずかしいかもしれない。

なお、「stars & stripes edition」が設定されるのは『チャージャーR/T』『チャージャー スキャットパック』『チャージャーGT RWD』『チャレンジャーR/T』『チャレンジャーR/T スキャット・パック』『チャレンジャーGT RWD』の6車種。5月から発売される。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Fiat Chrysler Automobiles
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

ピックアップ

editeur

検索