V8エンジン搭載によりモータースポーツシーンで脚光
1953年にプロトタイプが発表された初代コルベットは、強固なスチール製のフレームに量産車としては初となるFRPボディパネルを貼りつけた先進的な技術を投入し、流麗な2シーターオープンモデルであった。
しかし、当初搭載されたエンジンは旧態依然とした直列6気筒のOHVエンジンで、そのスポーティなフォルムに似つかわしくない貧弱なものであった。そこでメーカーはマイナーチェンジのタイミングで現在まで引き継がれるV8エンジン搭載車を設定。もともと高いポテンシャルを持っていたボディと相まって、瞬く間にモータースポーツシーンで脚光を浴びるモデルとなったのである。
歴代モデルのなかでも高い人気を誇る3代目“C3”
1968年には3代目となる通称C3へとフルモデルチェンジが実施される。先代のC2(上の写真)に採用されたリトラクタブルライトを引き続き採用しながらも、それまでのアメリカンマッスル的なデザインから欧州スポーツカー的なデザインへと変貌を遂げた。しかし、グラマラスに膨らんだ前後フェンダーと、くびれにも見えるボディ中央部のコントラストが美しいボディラインはコークボトルと呼ばれ高い人気を博し、結果的に14年にも渡る長いライフサイクルとなったのだ。
コルベットに搭載されるエンジンのパワー競争はとどまることを知らず、3代目コルベットに搭載されたエンジンは排気量7.4リッター、パワーは460PSまでに達していた。しかし、その後の排ガス規制や石油危機などの影響もあり、大排気量、大出力のエンジンはラインナップから消えることとなり、1982年にはマニュアルトランスミッションがラインナップから落ち、新たにグランドツーリングカー的なキャラクターが与えられた。
そして2014年にはC7と呼ばれる7代目へとフルモデルチェンジ。伝統のV8エンジンは460PSを発生しながらもリッター8.9km(カタログ値)の低燃費を実現し、マニュアルトランスミッションはついに7速へと進化している。もちろんロングノーズショートノーズのプロポーションはそのままで、アメリカンスポーツカーという1953年に登場したコンセプトは言うまでもなく不変である。
Text by Koichi Kobuna