日本よりロングドライブに向いているヨーロッパ
「ノルウェーのフィヨルドのような雄大な自然、中世の街並みがそのまま残るヨーロッパの都市。やはり、日本と違う文化圏の景色の中でドライブするのは新鮮だし、気持ちいいですよ」
そう語るのは、海外ドライブの経験も豊富なモータージャーナリストの九島辰也さんだ。
「そもそも海外は日本よりもロングドライブしやすい環境なんです。たとえば、ヨーロッパでは、大陸を車で長期間かけて移動することがそれほど珍しくない。道もロングドライブを想定しているし、高速道路の運転もみんな上手い。交差点も信号式はあまりなく、多くはラウンダバウト。つまり、運転中にストップする場面が少ない。とにかく車を流すように道路が考えられているんです」
日本にはほとんどないラウンダバウトだけに、最初は戸惑うかもしれない。しかし、慣れてしまえば、そのスムーズさは爽快のひと言に尽きるだろう。
海外自動車メーカーが提供する体験型ドライブ旅行
また、多くの車はメーカーの母国事情に合わせてつくられている。たとえばドイツ車のガッシリとした乗り心地は、速度無制限のアウトバーンでも快適に走れることが前提ゆえ。九島さんも、過去にそれを実感した経験があるという。
「以前、フランス車、1960年代のシトロエン・DSをパリで運転したことがあるんです。フランスって、田舎道とか実はけっこう道が悪い。でもシトロエン・DSは、そういった道も走ることを想定しているから、古い車にもかかわらず、すごく乗り心地がよかったんですよ」
各国の車の実力や個性、誕生の背景を、ハンドルを握って実感、理解できるのも海外ドライブの醍醐味なのだ。
このように魅力あふれる海外ドライブの旅。手軽に楽しむのであればレンタカーが最適だが、どうせならば、もっとスペシャルな海外ドライブをしたいところだ。最近は海外メーカーがユーザー向けに体験型自動車旅行を企画しているケースも少なくない。
ポルシェに乗るドライブツアーを提案する「ポルシェトラベルクラブ」などは、その代表にして老舗だろう。また、航空会社や旅行会社も「スーパーカーのハンドルを握る旅」といったふうに銘打ち、有名メーカーの工場見学やサーキット体験なども含めた海外ドライブ旅の企画が増えている。
「車を運転すると、通常の旅行より地元になじみ、とけ込んだ気持ちになれるんです。地元のルールに沿って運転するのって、ローカルっぽいじゃないですか」
普通の旅では味わえない、海外ドライブの旅。一度、体験してみてはいかがだろう?
Text by Kenichiro Tazawa(euphoria FATORY)
Photo by (C)AIBargan、(C)Sho Yamada