第21話
日間ランキング2位…だと…。皆様ありがとうございます!
「とりあえず、この人間が誰でどういうスキルを持っているかを教えてくれ。」
と、言いつつメイドさんの手足に封技の鉄枷Ⅰを装着。始末するにしても眷属化するにしても捕獲状態+スキル封印は便利だからねぇ。
で、肝心のリョウの返答と言うとだ。
「その方は那須家のハウスキーパーの一人ですわ。所有スキルは…詳しくは知りませんが確か追跡系だったと思います。」
「追跡系か。何を追うのかは分からないが、バレた原因はそれだな。なら眷属化に関しては後でリョウに説明してもらうとしてとりあえず≪魔性創生≫」
スキル宣言と共に魔力が抜けてメイドさんの下に魔法陣が現れ、そこから光が溢れだす。そして光が収まった後にはメイドさんが霧を纏って倒れている。
「なっ!?何をしているのですか!」
「何って眷属化だけど?ああ、この人に説明するときはクロキリという主がいることは教えてもいいけど、俺が魔王だってことは教えるなよ?後、イチコの事もそうだな。教えたら確実に面倒なことになる。」
「…。」
俺の命令にリョウは唇を噛み締めながら黙って肯く。これは確実に納得してないな。とりあえず話題を変えておこう。
「あー、そう言えばリョウ。お前今レベルいくつだ?」
「今朝上がって6ですわ…。」
「なるほ…」
パラパパッパー!
頭の中でファンファーレが鳴り響く。
「どっ、俺のレベルも上がったな。」
「…。ところで一つ気になったのですけど、レベルというのはこんな簡単に上がるものなのですか?確か私のレベルは昨日5に上がったばかりで、今の私の経験値は全てイチコが稼いだもののはずなのですけど…。」
「あー、どうだろうな?少なくても魔王は補正の関係でかなり上がりづらいはずだぞ?で、このダンジョン内で俺が仕留めた人数から、大体ならイチコが倒した相手の数が割り出せる訳だけど…」
ちなみに俺は元々自分のレベルが3に上がったらイチコを戻そうかな?と思っていた。で、俺のレベルが3に上がるまでの見通しが実を言えば2,3週間だったのである。
「…。」「…。」
俺とリョウの間に沈黙が訪れる。
一分、二分と遠くからフォッグ達の笑い声だけが聞こえる時間が流れていく。
「嫌な予感がしますわ…。」
「奇遇だな。俺もしてきた…。」
「…。」「…。」
再びの沈黙。
本来なら後2,3週間かかると思われていた俺のレベルが1週間で上がった。それはつまり俺の想定外のペースでイチコは敵を倒していることになる。そして、イチコもそうだがウチの基本戦術はどちらかと言えば隠密奇襲暗殺である。これらを合わせて考えていくと出てくる結論としては…
敵に発見されて、戦闘をし続けている。
ということになる。
「今うちの貴重な戦力であるイチコを失うのは不味い!とりあえず俺はレベルアップの処理と新しく出来るようになったことを確認するぞ!もしかしたら短時間なら外に出れるかもしれん!」
「私は彼女を叩き起こして、移動手段を確保しておきますわ!」
「身元がバレない様に細工はしておけよ!」
「当たり前ですわ!」
リョウがメイドさんを連れて上に出て行ったところで、俺はまずStPとSkPを振る。
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Name:クロキリ(蝕む黒霧の王)
Class:魔王 Race:蝕む黒霧の王
Level:3
HP:1810/1810 ↑110
MP:1580/2080 ↑120
SP:2030/2030 ↑120
Status
筋力 40
器用 55
敏捷 56 ↑1
感知 45
知力 61 ↑1
精神 72 ↑1
幸運 10
Skill
≪迷宮創生≫≪魔性創生≫≪蝕む黒の霧≫≪循環≫ New!≪
Title
≪蝕む黒霧の王≫≪白霧の奇襲者≫≪霧人達の主≫
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今回習得した≪霧爆≫は起点指定の水属性爆発系スキルである。効果としては水を相転移して周囲の温度を急激に下げる事によって発生する爆風と冷気で攻撃するスキルで、発動後は一時的に辺り一帯に霧が立ち込める。
というか、念願の高知力と高精神を生かせる攻撃魔法スキルである
で、≪迷宮創生≫で新たに出来るようになったことを確認したところ、こんなものがあった。
・王は民の為に動く
3㎝ほどの白色の結晶が填め込まれたペンダント。分類上は罠。
魔王が創生時にHP,MP,SPを任意量込め、眷属が使用することで魔王を一時的に召喚できる。
召喚された魔王のステータスは込めたHPの量、召喚時間は込めたMPの量、使用者から離れられる距離は込めたSPの量に応じる。
召喚中に魔王が倒した相手から得られる経験値は迷宮外で倒したのと同じ扱いになる。
込めたMPが切れた時点で効果終了。魔王は元の場所に強制送還される。
HP10につき本来のステータスの1%、MP1につき1秒、SP100につき1m離れて活動可能。(ただし、創生の度にコスト上昇。)
魔王のレベル回創生可能。 レベルアップ時に創生可能回数はリセット。
創生前提条件:眷属がいる。魔王のレベルが3以上。
まさに今俺が欲しい道具である。ご都合主義な気もするが、HPを1000(100%)、MPを1200(20分)、SPを1000(10m)を込めて作成。
「おい、リョウ!一時的に俺が外に出るためのアイテムを作ったから受け取ったら『鬼の砦』に突っ込んで来い!使い方は頭の中に直接叩き込む!」
『…っつ!いきなり頭の中に送り込むのは止めてください!ですがアイテムの方はありがたく使わせていただきますわ!』
俺は眷属通信でリョウに話しかけつつ、ペンダントをフォッグに持たせ、車の中に乗り込んだリョウにペンダントを渡す。
「イチコにはまだ死なれたら困るからな!全力で飛ばせ!」
『言われなくても分かっていますわ!それに今もこの先もイチコを死なせるつもりはありませんわ!』
そうして、思惑に差はあるがリョウはメイドさんに説明と叱咤をしつつ『鬼の砦』に向かい、俺は消費したMPとSPを急速回復させるため≪循環≫も利用して回復体勢に入った。