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蝕む黒の霧 作者:栗木下

1:魔王降誕

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第18話

いつの間にかランキング入りしているですと!?皆様ありがとうございます。

「死因がおかしい?」


 部下が持ってきた報告に私は眉を顰める。

 私は迷宮X-J1担当の結界監視部隊の隊長で名前を大多知マモルと言い。今は迷宮X-J1から撤退して丸1日が経ったところで、後処理として死んだ部下の検死、負傷者の救護と交代。レベルが上がったものが新しく得たスキルの確認などをしているところである。もちろん迷宮の監視も怠ってはいない。

 そして、そんな中亡くなった部下の検死を行っていた部下が私に報告を上げてきたのだ。


「はい。今回の作戦で死者は10名出ているのですが、その内6名の死因が明らかに今までのものと違いました。」

「具体的には?」

「1名が首を一太刀で切られ、残り5名は心臓と頭を一突きづつされていました。そして、彼らが殺された時、周囲に居た人間はこう証言しています。『雲の化け物が突然現れて殺した』と。」

「雲の化け物…か。新手の魔物か?」

「恐らくは。」

「お話し中失礼します!」


 新しい部下が部屋の中に入ってきた。彼は確か部隊員から情報を聞いて纏める任務をさせていたはずだな。

「どうした?何かあったのか?」

「ハッ!兵から情報を集めていたところ妙な証言が得られましたので、報告に上がりました。」

「妙な報告?」

「はい。先の戦いの最中こちらの部隊が雲の化け物によって崩された後の話なのですが、どうやらその雲の化け物は味方であるはずのゴブリン共も襲っていたようなのです。」

「どういうことだ?」

「分かりません。ただ、証言そのものは複数の兵から得られているため見間違いとは考えづらく、また精神系スキルが使用された形跡もありませんでした。」

「そうか。二人とも下がってくれ。少し考えたい。」

「「ハッ!」」

 私は目を瞑り考えを纏める。


 敵も味方も関係なしに攻撃する雲の化け物。狂人か、敵も味方も分からなくなった何かか…、いや第三勢力という可能性もあるかもしれない。というより状況を鑑みるに第三勢力と見るのが適当か。それならば私が撤退を下す直前に聞いた進言の声。あれが雲の化け物の声かもしれないな。

 さて、そうなると一体どこの勢力が動いている?正直、マトモな頭をしている連中ならダンジョンの様な面倒しかないものは我々に任せ、自分たちはスキルを利用して自分のやりたいことをしているはずなのだが…。


 私の考えは早々には纏まりそうにはなかった。



■■■■■



『ふーん。そっちはそんな事になっているのか。と言うか予想以上に『鬼の砦』の魔王はヒドいな。』

「魔王なら最低でもステータスが30を超えているはずですから、あれは知力と頭の良さはイコールではないといういい例だと思います。」

 私は今、ダンジョン外に出たついでにクロキリに連絡をしている。そして一通りの説明をしたところでクロキリから出たのが今の台詞である。


『まあ、知力ってのは要するに魔法系スキルをより効率よく使えるかを表すもので、そういった判断や作戦の立案なんかにはそこまで関わっているものじゃないらしいから、別におかしくないと言えばおかしくないか。というか魔王で30って元々は6ってことだからなw』

「そんなこと分かってます。それぐらいの脳筋っぷりだったという事です。」

 クロキリが通信の向こうで笑っているのが聞こえてくる。何かツボにはまったのでしょうか。


『まあいいや。こっちはこっちで色々やっているし。そっちもそっちでもう暫くやってくれ。あっ、最初に言った約束事は忘れるなよ?霧人の事が今明らかになるのは拙い。』

「(チッ)分かっていますよ。」

 私は心の中で舌打ちをしながら了承の返事を返す。


『まっ、イチコよ。後2,3週間したら魔王のトドメさえ持っていかれなければ何をしても構わなくなるから期待してな。』

「?」

『その頃にはそこの魔王もダンジョンも用済みってことだよ。魔王が死んだあとダンジョンがどうなるかわからないからそれを確認する意図もあるしな。ああそれと、ダンジョンが潰れたら一度戻ってこい。リョウも交えて報告会をするからな。じゃ、無茶はするんじゃねえぞ。』

 そう言ってクロキリは通信を切った。


 それにしても後2,3週間?どういうことだ?その頃には軍があの魔王の喉元にでも刃を突き付けているという事だろうか。

 何にしてもリョウお嬢様にまた会う機会があるなら是非とも頑張らなければ。


 私は意気も新たに再びダンジョンに潜り込む準備を始めた。

クロキリが…薄い!いや、次回からはクロキリのターンですけどね。


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