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蝕む黒の霧 作者:栗木下

1:魔王降誕

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第16話

パパラパッパー!


 ふう。これでレベル3ですか。50%を屑クロキリにピンハネされ、残り半分をリョウお嬢様に捧げているとはいえさすがに50体もゴブリンを狩ればここまで上がるものですね。


 ああ、私が『鬼の砦』に籠り始めてから既に3日ほど経っています。が、敵には未だに見つかっていません。どうやらこのダンジョンの魔性は揃いも揃って脳筋のようで、≪霧の衣≫を展開して通路の端を歩いていればまず見つかりません。

 私の存在に勘づいているとしたらこのダンジョンの主か、時々遠くから見かける魔法子鬼ゴブリンメイジくらいです。そいつ等にしても気配を隠すという事をしないので、気配を感じてすぐに逃げれば問題ないです。


 さて、このダンジョン『鬼の砦』の構造について説明しておきましょうか。

 と言っても普通に煉瓦で作られた建物が考えもなしに増築に増築を繰り返しました。と言った構造で、通路が何本かあってそこに大小様々な部屋が繋がっているだけで、正直仕掛けてある罠にしろ敵の配置にしろウチ(白霧と黒沼の森)と比べて正直すぎるくらいです。

 いや、ウチが捻くれ過ぎているだけかもしれませんけど。


 とにかくダンジョンの構造や敵の性質を見るだけでダンジョンの主の性格が透けて見えるのは確かです。


 さて、とりあえずスキルとステータス振りをしてしまいましょうか。


--------------


Name:久野 イチコ 

Class:暗殺者 Race:霧人 

Level:3 

HP:330/330 

MP:270/270 

SP:288/288 


Status

筋力 20 

器用 29 ↑1 

敏捷 30 ↑2 

感知 30 ↑2 

知力 14 

精神 16 

幸運 10 ↑1


備考:現在所属ダンジョン外のため幸運以外のStatusは半分。HP,MP,SPは三分の一


Skill

≪短距離転移≫≪霧の衣≫ New!≪短剣習熟Ⅰ≫ New!≪首切り≫


Title

≪黒霧の王の眷族≫ New!≪白霧の暗殺者≫


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 いつの間にか職業が学生から暗殺者に変わっています。取っている戦闘方法のせいですかね?

 ≪短剣習熟Ⅰ≫は乱し水蠆の牙刃を上手く扱うために取った自動発動スキルで、HPが+される効果もついていました。

 ≪首切り≫は相手の首を狙って攻撃を行うスキルで格下相手に不意打ちから高確率で相手を即死させる効果があります。

 ただ、惜しむらくはクロキリの奴にはどちらのスキルも恐らく効果がないことです。何時か反乱を起こすつもりなら奴対策のスキルも取らないと。


 と、この気配はダンジョンの主ですね。急いで離れますか。



■■■■■



 今日も俺の機嫌は最悪だった。理由?んなもん決まっているだろうが


「クソッ!どこにも居ねえ!コソコソ隠れていないで正面から来いってんだ!」


 三日前に潜り込んだネズミが見つからないからに決まっている!

あの野郎一体どこにいるっていうんだ!


 俺はドカドカと自分の作った迷宮を歩いていく。と、


ブーーーーーーーーーー!


 頭の中に突然の警報音が鳴り響いた。そう、謎と言えばこの警報音が鳴らなかったのも謎だ。

 この警報はダンジョンに人間(・・)が入り込めば必ず俺の中でなるはずなのに、被害が出始めた三日前には鳴っていなかったはずだ。


「と、それどころじゃねえな。おい、ゴブリン共。折角のお客様だ!全力でもてなしてやれ!」

 俺は砦中のゴブリンに侵入者を倒すように命令を下す。

 くっくっく。直接戦闘ならうちのゴブリン共が負ける可能性はねえ。なにせ数が桁違いだからな。押せ押せで行けるはずだ。



■■■■■


 やれやれ、あれがこのダンジョンの主ですか、確かにあれでは後2,3ケ月ほどでこのダンジョンが落ちるというクロキリの予想にも納得します。


 なにせ、このダンジョンは主本人の戦闘能力が高いおかげで今は正面からの戦闘になれば大抵の相手は蹴散らせますが、必ず取りこぼしの人間は出している。

 そして何度か同じ人間を取りこぼせばその人間のレベルは上がり、いずれは彼の胸に刃を突き立てられる程に成長する。だから後2,3ケ月。

 いや、軍の連携能力を鑑みるともっと早いかもしれない。


「となると私がやるべきなのは…戦況を拮抗な状態に調節し、仮にどうしようもないほど傾いてダンジョンの主が討たれそうになったなら、少しでも経験値にするために私が討ってしまう。と言ったところですか。」

 私は一人自分のやるべきことを考えて頷く。


「さて、それならまずは正門の方に移動して、戦場から離れた敵からこっそり始末です。」

 私は三日前に入ってきた入口の方に移動した。

次回はやっとスキルを使った戦闘シーンです。

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