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蝕む黒の霧 作者:栗木下

1:魔王降誕

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第3話

まずは迷宮作りです。

「さて、早速やりますか≪迷宮創生(ダンジョンクリエイト)≫!」


 スキルの発動を宣言した俺の目の前に半透明のスクリーンとパソコンのキーボードのようなものが出てきた。これでダンジョン内の整備を指示していけということだろう。

ちなみに現在スクリーンにはダンジョン全体を俯瞰したような映像が映し出されており、建物の配置や河川の位置などは俺が人間だった頃の記憶と一致している。


「とりあえず、画面や機能の確認っと、」


 俺はキーボードを操作してダンジョン整備に必要な様々なデータを呼び出していくと同時に分からないことはヘルプ君に聞いていく。

で、一時間ほど調べて分かったことはこんな感じである。

・≪迷宮創生≫では迷宮の構造やディテールの変更。罠の設置ができる。

・≪迷宮創生≫の機能を使うとそれに応じてHP,MP,SPが消費される。

・消費されるHP,MP,SPは魔王のステータスやスキルに応じて変化する。

・消費したHP,MP,SPは時間経過で普通に回復するので問題なし。

・迷宮内に人間がいなければ作業は命令実行直後に終わる。

・迷宮には出入り口を最低一つは付けなければならない。

・迷宮に入れる人数の調節もここで行う。

・迷宮のレベル=魔王のレベル

・迷宮のレベルが上がると階層を増やしたり、複雑な構造物を建築したり、強力な罠を仕掛けたりすることができる。

・各階層には必ず一つは休憩所を設けなければいけない。


「うん。とっても分かりやすいな。じゃ、とりあえずはっと」

 俺はキーボードを操作してとりあえずの出入り口を南側に設定する。といっても結界があるので正確には出入り口候補と言うべきなのだろうが。

これでHP,MP,SPを各10づつ消費。


 続けて俺の描くダンジョン構想的に邪魔な道路や道の舗装を片っぱしから撤去…、したかったのだがそれをやるとHPとSPが各5000程持っていかれるようなので粉砕して石や岩程度の大きさにするだけに留めておく。これでHPとSPを1000づつ消費。

ちなみに撤去というのは綺麗さっぱりに元から無かったかのように消し去るコマンドなので粉砕に比べてコストが重いらしい。


 まあ、それは置いておいて作業を続行。続けてダンジョン内の地面を全て沼地(水深?10cm程)に変更する。これでSPとMPを500づつ消費。


 最後にダンジョン全体に薄い霧(10m先が見えない程度)をかける。これでMPを1000ほど消費。


 で、何という事でしょう。俺が人間だった頃は大学とそれに寄り添うように作られた住宅街、それに加えて長閑な田園風景が広がっていた素晴らしい土地は、全ての地面がぬかるみ建物の上しかまともな足場ない上に常に霧が立ち込める不気味なダンジョンへとリフォームされましたとさ。

気分的にはビ○ォー&ア○ターの曲でも流したいところであるが、この程度のダンジョン整備ではまだ序の口なのでそれは流さない。(ちなみにダンジョン全体に特定の曲を流すような項目も≪迷宮創生≫の中には入っていたので本当に流したりもできる。消費HP,MP,SPは曲ごとに要相談)


 とりあえず現在の残りHP,MP,SPがこんな感じなので一時休憩

HP:590/1600

MP:340/1850

SP:240/1750


 ちなみに沼の深さや霧の濃さは追加でMPを消費したりすればグレードアップが可能なので、とりあえずの整備を一通りやったらグレードアップをする予定である。


「しかしまあ、1年間の準備期間が本当にありがたいな。もし最初からダンジョンが解放されていたらこの消耗でしかもダンジョンの整備すら終わってない状態で、侵入者と戦わないといけない可能性だってあったわけだしな。正直、そんな状態は考えたくもない。」


 と、一通りの独り言をつぶやいた後休憩をしながら、≪迷宮創生≫で設置できる構造物を確認し、俺の構想にあったものを見つけたらブックマークをして簡単に呼び出せるようにしていく。

で、一通り確認したところで効率よく回復するために昼寝開始。

ちなみに魔王化の影響で生きていくのに最低限必要なのは空気中の魔力だけであり、ただ日常を過ごすなら食事も睡眠も不要になっているので、今の俺にとっては嗜好品もしくは効率よくHP等を回復するための手段に過ぎなくなっている。


「まっ、昼寝が終わったら≪魔性創生≫の方にも手を出してみるとするか。」


 そして俺は静かに寝息を立て始めた。

評価・ご意見・感想いつもありがとうございます。


04/08文頭一文字空けの改稿をしました。

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