第2話
さて、本音を言うと分からないことだらけだが、分からないことは逐一ヘルプ君に聞けばいいだろう。
「というわけでまずは『ステータス オープン』。」
-----------------
Name:蝕む黒霧の王
Class:魔王 Race:蝕む黒霧の王
Level:1
HP:1600/1600
MP:1850/1850
SP:1750/1750
Status
筋力 40
器用 55
敏捷 55
感知 45
知力 60
精神 70
幸運 8
Skill
≪迷宮創生≫≪魔性創生≫≪蝕む黒の霧≫
Title
≪蝕む黒霧の王≫
-----------------
俺の前に先程と一切変わらないステータスが表示される。
で、その中から俺が持っているスキルの一つ≪蝕む黒の霧≫に触れてみる。
-----------------
≪蝕む黒の霧≫
≪霧の体≫+≪蝕む黒≫の複合スキル
・≪霧の体≫
所有者の肉体を霧状の肉体にする。霧状になっている間は物理的な攻撃をほぼ無効化することが可能だが、こちらからも物理的な干渉を行う事は難しくなる。
所有者が意識すれば霧化を解除することも可能。
・≪蝕む黒≫
自分の体に接触している任意の対象に以下の効果を与える。
生物の場合:HP,MP,SPを1/秒で吸収する。
非生物の場合:固体、液体なら削り取る事ができる。
-----------------
…。チートじゃね?これ。物理無効に加えて吸収能力とかレベル1の魔王が持っていていい能力だとは思えないんだけど。
あー、でもあれか。効かないのは物理的攻撃。つまりは剣とか槍とか銃みたいなものだけで火とかは効く可能性があるのか。ちょっとその辺をヘルプ君に…
『その通りでございます。“蝕む黒霧の王”様。霧の体で無効化できるのは剣や拳、弓矢などに限定されますので、科学的なもの、スキルによるものを問わず火のようなものは防げません。
また俗に魔法に分類されるようなスキルは例え物理的なものでもダメージを受ける可能性があるという事を認識しておいてくださいませ。』
「先読み回答ありがとう…。というか聞きたいと思った時点で出てきてくれるのね。」
正直、心臓に悪いことこの上ないな。しかも心を読んでるっぽいからプライバシー皆無じゃねえか。
『心を読んでいるのも含めてその通りです。』
「まるで覚だな。ついでにもう一つ質問。さっきスキルによる火とか言っていたけどスキルを持っているのは魔王と魔王が生み出したものだけじゃないのか?」
これは重要な質問である。正直、外にいる人間がスキルを使えるのだとしたら一年後にダンジョンが解放された後に待ち受けているのは絶望的な迎撃戦になる可能性が高いからだ。
なんでかって?考えても見るといい、こちらは1から10までスキルの考察や修練を一人でやらないといけないが外の人間たちはそれを何十、何百人で協力して行えるのだ。一年もあればその差は絶望的に広がっているに違いない。
『半分違い、半分合っています。』
「半分?どういうことだ?」
『現時点では外にいる人間たちにはスキル保有はおろか職業やステータスの補正もかかっていません。が、迷宮が解放された時点で魔王様方と同じくスキルや職業を得ることになります。
なお、新しいスキルを取得したい場合はレベルを上げてください。レベルを1上げる毎にスキルを1つ取得できます。』
「なるほど。」
つまりはダンジョン解放直後は1年分の知識や実力のアドバンテージを持って、実質的には素人である人間だけを相手にすればいいのか。で、その後の積み重ねに関してはこちらも人間たちも一緒にやっていくことになるのか。もっとも素人状態でも最新兵器が相手にあることを考えたら油断はできないか。
『そういうことです。なお、迷宮に関しては貴方様が定めた指定の入り口以外からは侵入できないようにしたり、一定の人数までしか一度に立ち入れないように条件付けすることも可能となっています。
また、貴方様の懸念事項であられます最新兵器。例えば最新鋭のミサイルなどを用いたとしても迷宮外壁や破壊不可系オブジェクトの破壊は不可能となっていますので、壁を壊されて貴方様の場所まで一直線などという事は起こりません。』
「それはありがたいな。」
戦うペースや人数は自分で調節できるということか。
『以上で質問への回答を終わります。』
「ん。ご苦労さん。」
となるとまずはモンスターを生み出すよりもダンジョンそのものの整備をしてみるべきか。自分のダンジョンの現状がどんなものなのか俺は知らないわけだしな。
構想は…うん。浮かんできた。俺は霧の王なわけだしそれっぽいものにしないとな。
「さて、早速やりますか≪
04/08文頭一文字空けの改稿をしました。
04/17誤字訂正