今回は、ブラックニッカの限定ボトル、ディープブレンド ナイトクルーズを飲みます。

潮風を感じる夜の航海の如く

bn_nc1_ナイトクルーズは2019年5月に発売された限定ボトルになります。

ディープブレンドの限定ボトルとしては、昨年のエクストラスイートに次ぐ第二弾となります。

昨年のリニューアルより、夜も更けてからゆっくり飲むことを意図したコンセプトに転換したディープブレンドですが、ナイトクルーズは更けゆく夜の航海の中で、潮風を感じながらゆっくりと楽しむ雰囲気を味わえることを想定しているようです。

ブレンドに使われる原酒については、レギュラーのディープブレンド同様に新樽原酒を主体としながらも、潮の香りも感じられる余市のヘビリーピーテッドモルトをブレンドしているそうです。

飲むにあたって、比較対象として昨年発売された限定ボトル、ディープブレンド エクストラスイートも一緒に飲んでいきます。

こちらは新樽原酒を10年以上熟成させたものにすることで、甘みを追求したボトルになります。
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荒波を乗り越えるかの如く

まずはストレートから。
ナイトクルーズをグラスに注ぐと、液色は少々淡い琥珀色、香りはラムレーズンが主体的に得られます。

口に含むと、余市モルト由来の、塩気を感じるピートが先に鼻を通り、後からラムレーズン、ライムが追いかけます。

味わいは、アルコールからの辛みが強く、長く口に含むのも辛いものがあります。その後はとげのある酸味と苦さが続きます。

一方でエクストラスイートは、レーズン、リンゴの後に栗、バニラの甘い香りが続き、樽の木の香りもやってきます。
味わいは、アルコールの辛みは殆ど無く、程よい酸味と共に甘さも得られます。

ナイトクルーズはチェイサーがないとつらいですが、エクストラスイートはそれほどつらくはないです。

ロックにすると、ナイトクルーズでは潮の香りは穏やかになり、ラムレーズン、ライムが香りの主体になります。その後にはシナモンや黒こしょうなどのスパイシーな香りが広がってきます。
味わいは、ビターが先行し、酸味がジワジワと訪れてきます。

一方でエクストラスイートは、レーズン、ドライマンゴーの農高で甘い香りが先行し、バニラ、ウッディへと続きます。
味わいは、ほろ苦さはあるものの、甘みが全体を覆います。

最後にハイボールでは、ナイトクルーズにおいては潮の香りが先に訪れ、ライムの爽やかさ、ラムレーズンの甘い香りがついてきます。
味わいはビターと酸味が半々にやってきます。

一方でエクストラスイートだと、レーズンの香りが先行し、奥からウッディな香りが追いかけてきます。
味わいは甘みがメインで、酸味がプラスされています。

全体的に飲んでみて、ナイトクルーズという優雅でゆったりした印象とはほど遠く、嵐などで時化た海で荒波を乗り越えていく、このまま沈んでしまわないかという危機感を抱きながら航海する印象に思えました。

エクストラスイートが10年以上熟成した原酒を使っているために顕著になりますが、どうしても原酒の若さが目立ってしまい、ストレートではアルコールの刺激が強く、チェイサーなしには厳しい印象です。
味わいにしても、苦味が先行して、塩気を感じながらゆったり飲む雰囲気にはなれません。

開栓してしばらく経てば柔らかくなる可能性もありますが、限定ボトルとしてはあまり成功したとは思えません。逆に言えばエクストラスイートの出来がとてもいいとも言えるでしょう。

700mL、アルコール度数45度、価格は2000円ほど。

<個人的評価>

  • 香り B: 余市由来の潮の香りを伴うピートが印象的。その後レーズン、リンゴ、栗、バニラ、樽香と続く。
  • 味わい D: 全体的に苦味が前に来る。後から酸味。ストレートではアルコール由来の辛さが強く、飲みにくい。
  • 総評 C: ナイトクルーズとはほど遠い、荒波を乗り越えるアドベンチャーな印象。