［大学サッカー］東洋大浮上のキーマンたち　坪川主将はゴールも狙える万能ボランチ

　第９３回関東大学サッカー１部リーグ（東京中日スポーツ後援）は第７節まで戦った。昨季７位の東洋大はここまで１勝６敗の勝ち点３で１１位ともがく。ただ、昨季も同節終了時点で１１位だったが、その後、奮い立って、全日本大学選手権の出場権を獲得した経験を持つ。下位からの浮上が再現されるかに注目しよう。万能型ボランチを目指す坪川潤之主将（４年・矢板中央）がチームのかじ取り役。得点源であるＦＷ小林拓夢（４年・帝京長岡）の一撃で逆境を乗り越えたい。　（関孝伸）

　球際での厳しい対応やセカンドボールの回収など、主に守備でチームを助ける。ただ、元来が攻撃好きのボランチ坪川はゴールを常に狙う。今リーグ戦で唯一の白星を記録した第４節の中大戦で２得点を挙げている。

　全国高校選手権に出場した経験こそあるが、東洋大で頭角を現すまでには時間がかかった。チームが目指す、パスをつなぐスタイルになかなか適応できなかったのだ。１年時は一番下のカテゴリーでプレーし、Ｉリーグ（育成リーグ）のゲームにさえも出る機会は少なかった。

　「東洋はうまい選手が多くて、でも、僕が高校時代に培ってきた、守備の部分を得意とする選手は少なかったんです。技術レベルを東洋の平均値まで持っていった上で、守備で秀でようと考えました。それがここで生き残る道だと思いました」

　技術面でモデルになる先輩が身近にいた。その選手の映像をひたすら見て、プレーをまねたりしながら、自らのレベルアップに努めた。それは成果につながり、技術力の向上に加えて、判断力を格段に上げるに至った。

　そして、昨季はリーグ戦全２２試合のうち１８試合で先発メンバーに名を連ねた。「（プレーに）波がありませんでした」と安定感を発揮し、チームにとって不可欠の存在へと成長を遂げた。ただ、その立場に満足するつもりはない。手応えを感じるシーズンを過ごしながらも選抜チームには呼ばれなかった「悔しさ」を胸に、今季はさらなる進化へとまい進する。

　「僕がチームの中で効いていると評価されるには、やっぱり勝たなければいけません。チームが勝つことで、僕のよさが際立つんだと思います」

　勝利なきところに明日はない。まだ１勝と出遅れてしまったが、今から巻き返す。チームと自身の評価を高めるため、反撃ののろしをそろそろ上げる。

　◆寺社めぐり　シーズン中であっても時間をやりくりし、寺社をまわっている。パワースポットでエネルギーを感じ、雰囲気に浸る。最近で言うと、信州の善光寺や都内の浅草寺に参ってきた。

　◆人間観察　身近にいる仲間たちを無意識のうちに観察し、癖を見つけては指摘する。指摘されたあとにその人がどうするのか、癖を意識的にあらためるのか、それとも気にしないで続けるのかを引き続き見て楽しんでいる。

＜坪川潤之（つぼかわ・ひろゆき）＞　１９９７（平成９）年５月１５日生まれ、札幌市中央区出身の２２歳。１７７センチ、７２キロ。同市立山鼻南小１年のときに札幌南サッカースポーツ少年団でプレーを始めた。小３から小５まで京都府で過ごし、ズイーガＳＣに所属。北海道に戻って中学校卒業時まで札幌ジュニアＦＣでプレーしたあと、矢板中央高（栃木）に進んだ。同高３年時の全国高校選手権でベスト１６。自身は２回戦で１得点した。東洋大では昨季からレギュラーとなり、今季は主将を務める。

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