いよいよモンスターとの戦闘

 しばらく感慨にふけっていたが、体験できる時間は約20分ほどしかないのであっという間に場所が移動してモンスターとの戦闘が始まった。作中と同じように、いっしょにダイブしているプレイヤーとパーティーを組み、モンスターと戦うのだ。体験ということで弱いモンスターに設定してあるというが、出てきたモンスターはどうみても強そうだ。勝てる気がしない。

 手に武器を装備すると、戦闘が始まった。攻撃方法はよくわからないが、腕を振るとVR空間上の腕が動いて武器の剣を振るってくれる。しかし剣を必死に振っているのにモンスターに押されて、自分のHPのゲージはあっという間に真っ赤になってしまった。弱い……。

 そこでまたコグから説明があった。作中では「ソードスキル」と呼ばれる必殺の攻撃法があるのだが、それが使えるそうだ。目の前にソードスキルを発動させる方法が表示され、それを真似て発動させた。ほかのプレイヤーも発動させたようで、力を合わせてモンスターに勝つことができた。

こんな、どうみても勝てそうにないモンスターと戦えるのも、VR空間ならではだ(画像提供:IBM)
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終わったあとは“戦友”と感動を共有

 ここでゲームは終了。メニューを操作してログアウトすると、目の前のVR空間が消え、再び会場内の景色が目の前に広がった。作中ではこのログアウトができなくて主人公たちはゲーム世界に閉じ込められてしまうのだが、ここではちゃんとログアウトできた。実はかなりほっとした。

 VRマシンを外し、肉眼で会場内を見渡すと「帰ってきた」という実感が湧いてくる。一緒に戦ってモンスターを倒した両隣の見知らぬ“戦友”たちと思わず見つめ合い、「お疲れさまでした」とにっこり微笑み合ってしまった。

 こんな気持ちになれたのは、VR空間上で相手のアバターを見て、このプレイヤーと一緒に戦ったという実感があるからだろう。これまでVR用HMDを使ったコンテンツをいろいろ体験してきたが、自分一人でプレイするコンテンツがほとんど。ほかのプレイヤーと同じVR空間上で一緒にプレイするのは、新鮮で面白い体験だった。グラフィックスがもっときれいになれば、人気アトラクションになるだろう。VRが普及すれば、こうしたゲームが本当に一般化していくのかもしれない。

(文/湯浅英夫=IT・家電ジャーナリスト)

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