マイコン搭載、ソフトが商品になる

 1976年には、米国でテレビ・ゲーム機にとってもう一つ大きな出来事が起こっている。それは米Fairchild社が、マイクロプロセサを搭載した家庭用ゲーム機「Video Entertainment System」を初めて発売したことである(図4)。同社の8ビット・マイクロプロセサ「F-8」を搭載した。マイクロプロセサを搭載したゲーム機が登場した背景には、専用LSIを使ったゲーム機ではゲームの種類が限られ、ユーザが飽きてしまうという問題があったからである。

 マイクロプロセサの搭載でビジネス形態も変わり始めた。Fairchild社はソフトウエアを格納したROMカートリッジを独立した製品として本体とは別に販売した。この販売手法は、ファミコンを含めたその後のテレビ・ゲーム機に影響を与えた。

図4 ゲーム機にマイコンを搭載
 米Fairchild社は同社の8ビット・マイコン「F-8」を搭載したテレビ・ゲーム機「Video Entertainment System」を1976年に発売した。マイコンを搭載した初の家庭用ゲーム機だったと同時に、カートリッジに収めたソフトウエアを単独の製品として販売するという考え方を打ち出した。(a)は本体の外観。外形寸法は幅315mm×奥行き335mm×高さ90mm。(b)は専用ゲーム・カートリッジ。外形寸法は100mm×140mm×20mm(画像クリックで拡大)

(文/高野 雅靖)

(※本記事は「日経エレクトロニクス」1994年1月31日号の「ファミコン開発物語(第1回)」を再掲載したものです。登場人物の肩書きおよび企業名等は、雑誌掲載当時のものとさせていただきます。あらかじめご了承ください)

TOKYO GAME SHOW 2008 特設サイトはこちら