家庭用ゲーム機の基本形を確立

 家庭用ゲーム機第1号のOdysseyは、ゲーム機本体と二つのコントローラ、ゲーム選択用カートリッジ、アンテナ切り替え器などから成る(図2)「初めての製品ながら、すでに家庭用ゲーム機の基本形を確立していた」(上村雅之氏)。

 Odyssey は35個のトランジスタなど個別部品で構成している。ゲーム用画像パターンを描画するための信号発生回路や、水平および垂直同期信号発生回路、RF発振回路など回路ブロックごとにモジュール化して組み込んだ(図2(b))。

 コントローラは可変抵抗器を備えている。プレーヤがつまみを回すことで描画用信号の周波数が変わり、テレビ画面の画像パターンの位置が変化する。こうしてゲームを進められる。

 Odysseyは1台で 10種類程度のゲームができる。ゲーム選択用カートリッジを差し換えることでゲームを選ぶ。それぞれのカートリッジには、配線パターンの異なるプリント基板が内蔵されている。このカートリッジを取り換えることで違った描画用信号を発生し、さまざまなゲームを楽しむことができた。

 もう一つの特徴はそれぞれのゲームに合わせた半透明シートを備え、家庭用テレビ受像機に張り付けて遊ばせることである(図2(d))。シートにはゲームにふさわしい絵柄が描かれている。

 さらに当時から、ケープル・テレビ網に接続するというアイデアがあったことは興味深い。Magnavox社の技術者であるGordon H. Allison,Jr.氏の技術論文には「ケーブル・テレビ網を利用すれば離れた場所にいる人がゲームを楽しめる」とある。

図2 35個のトランジスタなどでゲーム機を構成
 1972年に登場した世界初の家庭用テレビ・ゲーム機「Odyssey」。米Magnavox社が発売した。(a)は本体の外観。外形寸法は幅370mm×奥行き230mm×高95mm。(b)は本体内部。回路ブロックごとにモジュール化してある。(c)はコントローラの外観。突起部を含む外形寸法は幅160mm×奥行き85mm×高さ95mm。(d)はテレビ画面に張りつける半透明シート。ゲームの内容によって張り替えて遊ぶ(画像クリックで拡大)