【ドラニュース】【龍の背に乗って】博志のこれから 中継ぎか再調整か 畳まれたままのスパイダーアーム2019年5月31日 紙面から
6点ビハインドの9回に登板を命じられたことが、配置転換の正式辞令だった。これが鈴木博への首脳陣の評価である。もっとも、内々示は29日の登板時に出されていた。勝つときはサヨナラのホームゲームでは、同点の9回以降はいい投手から順に投げるのがセオリーだ。つまり、9回がクローザー。ところが、ベンチが送ったのはR・マルティネスで、10回がロドリゲス。ようやく11回に鈴木博は登板し、打たれた。 この敗戦を受け、試合前には内示が出されていた。彼らリリーバーは、準備のためにブルペン入りする順番が序列を意味する。29日までは最後だった鈴木博が、この試合から両外国人の前になった。つまり僅差で勝っていたとしても、最後を締めるのは彼ではなかったということだ。 「(この日の登板には)いろんな思いがあります。この先も? それはまだわからないが、起用した場面が形になると思う。(新たなクローザーは)それは皆さんで試合を見てもらえれば・・・」 与田監督はブルペン陣への辞令の中身を丁寧な言葉で説明した。楽な場面で・・・。そんな思いもあっただろうが、復調のきっかけにはならなかった。3安打、1失点。敗戦処理の悔しさを自分に味わわせるためか、スパイダーアームも畳んだまま。アドレナリンも分泌されなかったのだろう。15球投げたストレートで、150キロを超えたのは4球だけだった。 クローザーの理想は日本人である。外国人は契約の切れ目に流出する可能性が常にあるし、キューバ人のR・マルティネスには代表チームの優先条項も盛り込まれているからだ。だから鈴木博。だけど現実は厳しい。打てない選手は周囲がカバーできるが、クローザーは挽回不能で白黒が塗り変わるからだ。順番を入れ替え、7回なら任せられるのか。急がば回れで再調整が正しいのか。専門分野での与田監督の決断が問われそうだ。 ▽中日・阿波野投手コーチ(鈴木博に)「5月は同じ展開が続いているので、いったん抑えから外して取り組ませようということ。落ちる球の習得や、制球力の向上、1球の意味を理解するとか、積んでいく部分がある」 ▽中日・鈴木博「投げる出番が来たら投げるだけです。僕から言えることは何もないです」 (渋谷真)
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